Georger Harrison 「All Things Must Pass 50th Anniversary」 \5500
The Ploice 「Every Breath You Take The Singles」 \3080
The Ploice 「Flexible Strategies」 \3080
Prince 「Welcome 2 America」 \2750
Billie Eilish 「Happier Than Ever」 \3630
Keb' Mo' 「Martin Scorsese Presents The Blues
Keb’ Mo’」 \741
Nouvelle Vague 「Curiosities」 \646
2021/09/02: tower.jp
Old Man River 「Good Morning」 \1
(V.A.) 「
大瀧詠一 Song Book I」 \1601
(V.A.) 「
大瀧詠一 Song Book II」 \1100
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The Ploice 「Every Breath You Take The Singles」
ラストアルバムの『Synchnonicity』(1983)か、
解散後のこのベストアルバム(1986)か。
どちらのアルバムにも
”Every Breath You Take”(見つめていたい)が入っている。
あの印象的な
アルペジオのイントロは誰もが聞いたことがあると思う。
CMで繰り返し採用され、ラジオ番組でもよくリク
エストされる。
歌詞を読むととても強迫観念的だけど、
ロックを代表するバラードソングなのは確か。
「Every Breath You Take The Singles」は秀逸だった。
タモリ倶楽部の『ろくさん』で有名なレゲエナンバー ”Roxanne” に始まって、
皮肉に満ちた歌詞がスティングの知性を感じさせる
”Message In A Bottle”(孤独のメッセージ)で弾みをつけて、
実はパンクバンドとしてデビューする前から演奏していたカラフルなポップナンバー
そして”Every Breath You Take”
”King Of Pain” ”Wrapped Around Your Finger” とバラードの3連発で締めくくる。
捨て曲一切なし、バンドのデビューから解散まで
クオリティの高さは全くゆるまなかった。
ファーストアルバムとラストアルバムがどちらも名盤というバンドはそんなにない。
通常、最初はパッとせずに尻上がりに良くなっていくか、
途中でピークを迎えて下がっていくか。
デビュー作が一番良かったけどあとは失速というバンドもある。
5枚以上アルバムを出したバンドで、音楽的変遷を経つつも
最初と最後のアルバムがよかったバンド、
というかどのアルバムも一定以上のクオリティにある
(例えばどのアルバムが名盤カタログに取り上げられてもおかしくはない)
バンドを思い浮かべてみると、
これらのバンドはわかってるから再結成しないか、
再結成してツアーは出ても新しいスタジオアルバムは出さない。
長らくこのベストアルバムはリマスター再発されていなかったと思う。
ジャケットが変わって
輪にかけてカッコ悪かった)
タイトルが「Every Breath You Take The Classics」と若干変わった。
こちらはリマスター音源となる。
”Dont' Stand So Close To Me”(高校教師)は
「The Singles」では再録の86年バージョンだったのが
オリジナルと両方収録され、
”Message In A Bottle”はリミックスバージョンもボーナストラックとして追加された。
一見お得なようでいて、「The Singles」を長く聞いてきた者としては
なんだかしっくりこない。
曲目はほぼ一緒なのに、とりとめなく感じてしまうものなんですよね。
コンパクトな「The Singles」の方が断然、完成度が高いと思う。
再結成後のツアーを東京ドームにも見に行った。
スティング、アンディ・サマーズ、スチュアート・
コープランドの3人だけ。
恐ろしく演奏能力は高いのに全然かみ合っていなかった。
3人が同時に、同じ曲を別々に演奏しているような感じ。
なんとも不思議な音だった。
あくまでビジネスとしての再結成だったんだろうな……
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編集長の
山崎洋一郎が、時々、これは日本のロックの歴史を変えると
宣言する曲や新しいバンド・アーティストを取り上げていた。
といった辺りを覚えている。
上松秀実の ”トラウマ” や
チャットモンチーが ”恋の煙” でデビューした時など。
東京から遠く離れたところから全く新しい才能が出てきたことに
読んでたら煽られて僕も
ヴォーカル・ギター、ベース、ドラムの3ピース、
一見どこにでもあるような普通のバンド。
なのにとても鮮烈な印象を受けた。
混ざりけなしの圧倒的な純度の高さ、透明感。
それは今聞いても変わらない。
曲としては70年代のフォークや80年代のJ-POPを
バンドで演奏しているような印象を受けた。
しかしその全てを、少女の秘密とでも呼ぶべきもので染め上げているというか。
少女が大人になっていく人生の中でもわずかな瞬間、
ときめきやとまどいに満ちた日々をそのまま切り取っている、というような。
実際、デビューミニアルバム「chatmonchy has come」は
徳島と東京を行ったり来たりしている時に録音していて
「耳鳴り」は東京に移り住んだばかりの頃だった。
彼女たちの変化の時が音に直接刻まれていた。
的確だったのだろう。
その後のアルバム、”シャングリラ” や ”とび魚のバタフライ” がヒットした
2作目の「生命力」も悪くはないけど、普通になっちゃったなあと。
彼女たちだけの特別な魔法がとけてしまったように感じた。
少女性で売っていくのではなく
ロックバンドとしてたくましくなっていくというのは正しい選択ではあるけれど。
アルバムが出たら買うけど一度ぐらいしか聞かない。
3枚組のベストアルバムも一応買っている。
しばらく遠ざかってたんだけど、最近になって
過去のアルバムが<Forever Edition>としてリマスターされ、
アルバムの曲順通りにライヴ演奏を集めたボーナスディスクをつけた
2枚組で再発されていたことを知った。2016年のこと。
少しずつ買い揃えるかと「chatmonchy has come」と「耳鳴り」を買った。
ブックレットには発売時に受けたインタビュー、
盛りだくさんの内容。まさに決定版。
冒頭の”東京ハチミツオーケストラ”は
何かがこれから始まるという期待を今も感じさせる。
シングルになった”恋愛スピリッツ”ってやっぱ稀代の名曲だよなあ。
”さよなら Good bye ” ”どなる、でんわ、どしゃぶり”
といった他の曲にもきちんと血が通っている。
それらの曲のライヴバージョンもよかった。
演奏がうまい、ということはないんだけど
彼女たちの仲の良さ、一体感が現れた演奏が心地よい。
これから先、「生命力」以後のアルバムも入手して改めて聞き直してみたい。
いや、やっぱよかったんだな、ちゃんと聞けばよかったな、
と思うことになるのかな。