『小さな村の物語 イタリア』

去年から BS日テレの『小さな村の物語 イタリア』をよく見ている。
土曜の夕方18時と、日曜の朝10時に過去の再放送と。
時間のある時は欠かさず見ている。
今、一番好きなテレビ番組。


青森に帰った時に新聞のテレビ欄を見たら母が赤のボールペンで囲っていて、
18時になってからチャンネルを変えた。
最初はなんて地味な番組だろうと思った。
それが東京に戻って暇なときにたまたまテレビをつけたらやってて、
そこから一気にはまった。


名前の通り、イタリアの小さな村を訪れるという番組。
村は毎回異なる。
北の方だったり、南の方だったり、沿岸部だったり、山深いところにあったり。
あるいはシチリア島であるとか。
僕はローマとナポリの位置も未だわからずにいて、その辺はずっと無頓着なまま。


フォーマットのようなものが決まっている。
その村に住む2人の人物とその家族、身の回りの友人たちを取り上げる。
だいたいのところ、1人は20〜40代で、もう1人は50〜80代。
つまりふたつの世代をということになるんだけど、対比的に描くことはない。
どちらも村を愛して、身の丈に合った慎ましい生活を送っているので
むしろ重なることの方が多い。


淡々とその日々を描く。
朝起きて簡単な食事をして、家事をして、
店を開けたり畑に出たりして、仕事をして過ごす。
昼食の時間になると家に戻ってきて家族と食べて、また仕事をする。
夜になってまた戻ってきて家族と食事。
それで一日が終わる。
週末となると近くに住む息子や娘夫婦や親戚たちが来て大きなテーブルを囲む。
ただそれだけなのに毎回見てしまう。
年配の方を取り上げるときには小さい時の村の生活がどうだったかとか、
必ず夫婦の馴れ初めの話を挟むとかちょっとした味付けもあって、飽きさせない。
カメラはその風景を切り取るだけ。
ディレクターが話しかけたり、
日本人であれイタリア人であれレポーターが出てくることはない。


これがスローライフなんだなあ、こういう生活がしたいなあ、
でも日本にいたらできないなあと思いながら見る。
ほとんどの人がそうなんじゃないか。
2007年に始まってもう10年。昨日が261回。密かな長寿番組。
昨日は出てきたうちの一人が娘が村で結婚式を挙げるというので
一年かけてテーブルの飾りやウェディングドレスの準備をしている。
だけどその結婚式そのものは映さない。そこには入り込まない。
今回も大きな事件が起こることなく、終わっていく。


昼や夜の食事の場面が、おいしそうなんですよね。
必ず作るところから始める。
ありあわせの野菜をトマトソースで煮て、棚の中にあったパスタを加える。
ただそれだけの家庭の味。
僕はほとんどイタリアンの店には入らない。気取っているようでなんか疲れる。
こういう家庭料理としてのイタリアンを出す定食屋みたいな店が東京にも増えないかな。
イタリアで修業したとなるとビストロであるとかそれなりに店を構えたくなるものだけど。


そんなわけで僕もこれから冷凍の挽肉やカットトマトの缶詰だとか、
あり合わせのものでパスタを茹でようと思う。