みみた走る、みみた跳ぶ、みみた噛む

妻と「最近みみたが横柄だ」という話になる。
家の主として我が物顔で好き勝手に過ごしている。
キッチンラックの格段を器用に伝ってえっちらおっちら冷蔵庫の上まで上っていたのが、
最近はシンクから直接、スタッとジャンプして上っている。
進化が著しい。骨格も前より逞しくなったように見える。
そして冷蔵庫の上の収納ケースの上に丸まって、料理や洗い物をしている僕らを見下ろしている。


夜布団に入ってから、朝目が覚めてからのボール投げも
僕が眠くて、あるいは億劫がって投げずにいると足を引っ掻いたり噛んだりしていたのが、
最近頭や顔を前脚でちょいちょいするようになった。肉球がフニッと当たる。
なんだかわいいなー、と思わずボールを投げてしまう。
それが数日続いたら、やはりヤツは進化した。
ボールを投げずにいると頭や顔を噛むようになった。


最初の日はイタタタと投げていたんだけど、
横で寝ていた妻が夢うつつで曰く、
顔を噛むと投げてくれるものだと学習してしまうから絶対投げない方がいいと。
なので昨日からそうしてる。
みみたが最初のうちまぶたや額を軽く噛んだり舐めたりしてくるが、絶対反応しない。
あくまで寝ているふりをする。布団をかぶる。
諦めてすごすごとどこかに消える。


みみたごめん、と思っていると
ドドドと音がして遠くから走ってきて布団にダイブする。
そして僕が寝ている上を踏んで回って落ち着くと
布団をかぶった僕の顔や頭の上に丸くなる。
敵もさるもの。これで最近5時起き。
この時間にトイレに行きたくて目が覚めるともうだめ。
そしていつも通り5時半に目覚ましが鳴って、カリカリ食べよおよーとせがんでくる。


身体の成長とともにこの家という空間も狭くなったのか、最近しきりに外に行きたがる。
先週一度、バルコニーに出てしまったらしい。
妻が洗濯物を干しているときに網戸を開けていたら、いつのまにか。
壁際をフンフンとにおいをかぎながらノソノソ移動して、
壁に開いた飾り穴から首を突き出して目をまん丸にして外を見ていたと。興味津々。


僕も週末洗濯物を干そうとして、
この話聞いてたのでリビングの編み戸はしっかり閉めてたんだけど
ボールをわざわざ転がしてきて前脚でちょいちょいして、
僕が来たんじゃないんだよ、ボールが転がってきたんだよという感じで小首をかしげる


外に出してあげたいがなあ。
バルコニーの壁を乗り越えて外に出てしまい、テンパって帰って来れなくなる。
車にでも轢かれたら…
何とかたどり着いて家の前にうずくまっているみみたを目にしたら
一週間どころか一ヶ月は泣いて暮らすことになりそうだ。


だから外には出せないのだが、そんなことみみたは何も知らず…
あれこれフラストレーションを抱えたまま家中をドタンバタンと走り続けている。