レゲエの夏到来

春先にドイツ・フランス・レコメン系のプログレばかり聞いてて、その反動で先週までネオアコ
一方で並行して、ローザ・ルクセンブルグ / Bo Gumbos / どんと が心にしみる時期でもあって。
Bo Gumbos の昔のアルバムで持ってないのを少しずつ買いそろえて、
(名曲はほとんどないのに名盤の2枚目、やさぐれサイケな3枚目、枯れ果てて暗いけどその先に何かありそうな5枚目)
ローザ・ルクセンブルグの蔵出し映像なんかを見ていたりする。
『どんとの魂』というミュージックマガジンが出したムックを少しずつ拾い読む。
奥さんの元ゼルダ小嶋さちほがどんとの好きだった音楽について語っていたのを読んでいたら、
レゲエでは Toots & The Maytals 『Reggae Got Soul』が一番好きだったと。
これは持ってないよなあとCD棚を漁ってみたら、有名な『Funky Kingston』が出てきた。いつの間に買ったのか。


で、iPhone に入れて聞いてみたらこれがなかなかいいんですよね。
その辺のあんちゃんが街角で歌ってて腕に覚えのあるご近所さんが通りがかって一緒に演奏しているような。
隙間が多くて雑なのに、ファンキーなものでグツグツしてるからまあそれでいいや、という。
レゲエというので思い浮かべるイメージにぴったりな音だった。
一回聞いてよくわかんなくて棚にしまったきりなんだろうな。40すぎてようやくよさがわかった。


そこからレゲエ。一変してアメリカのストリート間隔のルードなやつを、ということで Aggrolites をいくつか。
もはや古典といっていい『Club Ska '67』を挟みつつ、
『The Harder They Come』のサントラとデラックス版2枚目のレゲエヒット曲集。
こちらにも何曲か Toots & The Maytals が入っている。
全然別の角度から、Radioheadジョニー・グリーンウッドが選曲した『Johnny Greenwood Is The Controlller』


初期の Dub Syndicate / Creation Rebel / New Age Steppers などの ON-U系はもともと iPhone に入っていた。
その流れで Mark Stewert のソロを。『Mark Stewert』と『As the Veneer of Democracy』
最も実験的で暴力的でパンクな音を求めていた時期はダブに向かったという。
昔 Rockin'on で誰かが書いていたんだけど、ダブって音を抜いてベースの音量を上げただけなのに
なんであんなに攻撃的な音になるのか。しかも無機質で感情を伴わない。
すぐれたダブはどんどん虚無的になっていく。


今回は Bob Marley は聞かず。オムニバス『Rebel Music』が好きですが。
一枚目『Catch A Fire』はキーボードなどを足す前のオリジナルの方の音源が評価高いですが、
僕はどっちもいけたりする。全然別のものとしてそれぞれ面白い。


さて次はどこへ向かうか、
Soul Jazz Records が出してる Studio One のコンピがいいだろうか(どれもジャケが秀逸)、
と思っていたら思わぬ伏兵が。…UB40


『好きにならずにいられない』のカバーが映画のサントラに使われて全米一位となったことで
90年代の売れ線レゲエの代表格、Rebel Music としての魂を売ってしまったかのような扱いですが。
80年代出初めのころはクールを通り越して巨大な冷蔵庫のような音楽だった。重くて、暗くて、スカスカ。
あれはあれで時代の空気をかなり切り取っているのだと思う。
一枚目の『Signing Off』が名盤とされ、UB40ってイギリスの失業手当の申請書の書式のことで、
ジャケットがそのままその申請書という、若者の現実と向き合うというか、まさにその中にいたバンドだった。
この頃だと僕としてはフランケンシュタインがジャケットに描かれた『UB40 Live』がいいかな。
タイトな演奏でダブもあって、それまでの集大成。


今も『おんな酒場放浪記』の〆に流れる「Red Red Wine」の収録されたカバー集『Labour of Love』が
売れに売れまくって味をしめて、それ以後はカバーばっかり。
でもこの『Labour of Love』が今聞いてみるとよくできている。
ストーンズもカバーした「Cherry Oh Baby」で始まって、世代を超えた名曲「Many Rivers To Cross」で終わる。
こういうアルバムを作ろうという意図があって、そこに向かって全くぶれずに完成させたという意味で
これもまた80年代を代表する作品だと思う。
カーステレオで聞き流してもいいし、酒を飲みながら家で一人じっくり聞くこともできる。


調べてみると21世紀になってからは運営していたレーベルを閉鎖したことに伴いメンバーが自己破産とか、
これで何匹目のドジョウなのか『Labour of Love』シリーズを何枚も出していたりとか、失墜感が否めない。
しかし、ブックオフの投げ売りコーナーにこのまま埋もれさせるのはもったいない!
時代がもう一回転回って、そろそろ(80年代の) UB40 も評価されるべき。