ボレロ

昨日の夜家に帰ってきて「何か1曲聞いてから寝るか」と思ったとき、
ふと聞きたくなったのがラヴェルの「ボレロ
コマーシャルでよく使われる、聞けば誰もがわかる有名な曲。
昂揚感溢れるっつうか、聞くと手っ取り早く気分が盛り上がるので大好きです。


あれだけCDを持っていながらほとんどがロック絡みでクラシックは全然持っていない。
そもそもよくわかってない。
敷居が高いような気もするし、それでいて間口が広いし。
どこから入っていいか困ってしまう。
なので印象に残った曲でなおかつ名前のわかった曲の入っているCDを
気の向いた時にパラパラと買っただけ。10枚あったかどうか。


サティとドビュッシーバルトークのいくつかと
ラヴェルの「ボレロ」やムソルグスキーの「展覧会の絵
印象的な旋律を持っていてどことなく奇妙な雰囲気の曲が好きということになる。
時代は19世紀末から20世紀の初め頃まで。
感覚的なもの、生理的なものを最も大事にした時代であるように僕は思っている。


展覧会の絵」はフルオーケストラのもいいんだけど、
いつだったかHMVかどこかでたまたまクラシックのコーナーに足を踏み入れた時に
リヒテルというピアニストの独奏がかかっていて、
それが普通ありえないぐらい金属的で冷め切った音で、
聞いてて時間が止まったかのように感じたことがある。
今でも部屋の中で聞いてて耳を奪われる。凍りつく。
音の響きが尋常じゃない。


モーツァルトシューベルトもベートーベンもよくわからず。
ピンと来ない。
きれいな曲だとは思っても、気持ちがそれ以上先に進まない。


グレン・グールドがはやった時に僕もベスト盤を買ってみたことがある。
その弾き方に何か新しい感触を感じたような気がしないでもないが、
それ以前の人たちの古典的な解釈による演奏ってやつを知ってるわけではないので
やはりピンと来ない。


10代の頃は、20代まではロックを聴いて、
30代はジャズを聴いて、40代以後はクラシックを聴くことになるんだろうと
何の根拠もなく思っていた。


いつかはわかるようになるのか。
わかったらもう引き返せなくなるんだろうな。


それにしても「ボレロ」はなんであんな感動的なんだろう。
同じリズムが繰り返され、同じフレーズが繰り返され、
その間楽器が増えていくというただそれだけの単純なものなのに。
「呪術的」というと大袈裟だけど、
理性を超えた部分に訴えかけるような何かがあるのだと思う。