「あの頃ペニー・レインと」「ストーリーテリング」「グッド・ウィル・ハンティング」「クレイドル・ウィル・ロック」

DVD借りてきてたくさん見まくるのも今日でおしまい。
ほんとはもっと見たいんだけど、やらなきゃいけない他のことをしなくては・・・。
次にレンタルから借りてきて映画を見るのはいつになることか。
(去年のゴールデンウィークに借りてからまるまる1年間新宿の TSUTAYA には足を運ばず)


編集がやばい。マジで終わらない。
完成するのいつだろう?

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あの頃ペニー・レインと


「シングルス」「ザ・エージェント」「ヴァニラ・スカイ」で知られる
キャメロン・クロウ監督の青春時代を描いた半自伝的映画。
70年代中盤。15歳にしてローリングストーン誌のライターに抜擢され、
10代のうちにロック界の大物たちにインタビュー。若くしてロック批評界の中心人物へ。
(その後20代前半に映画界へ転進)


そのキャメロン(映画内ではウィリアム)少年、
15歳のときの人生の一大転機ともいえる出来事が映画の中心。
中堅バンド「スティルウォーター」という(架空の)バンドのツアーに
同行して記事をまとめるというもの。
学業優秀・品行方正。正直が何よりの取柄のウィリアム少年が
「セックス・ドラッグ・ロックンロール」じゃないけど
70年代前半というもっともロックミュージックが乱痴気騒ぎだった頃の
男性5人組のバンドのツアーバスに乗ってホテルで寝起きを共にする。
もちろんホテルは行く先々でどこもかしこも年中パーティー状態。
ウィリアムの母親はヒステリックに心配しまくるし、
ルーピーたちは「きゃーかわいい」とペット扱い。
そんな混乱した日々の中、ウィル少年は
地元のグルーピーのボス的存在であるペニー・レインに淡い恋心を寄せるようになる。
その一方でバンドの中心人物であるギタリストのラッセルと親交を深めるのであるが、
ラッセルと他のメンバーとの折り合いは悪く、ツアーを続けていくうちに溝は深まるばかり。
あちこちでトラブルを引き起こすことになる。
裏話は書くなと口止めされ、果たしてウィル少年は記事を書き上げることが出来るのだろうか?
ラッセルはペニー・レインのことが気に入って自分のものにしてしまい、
15歳のウィル少年はいてもたってもいられない。
もー若さはじけるって感じの、甘くてドキドキする青春映画。


この「スティルウォーター」の元になったバンドがなんだったっけ?
ってのがさっきから気になって仕方がない。
キャメロン・クロウのこの早熟なキャリアのスタートの仕方は伝説的な話であって、
僕はこれまで何度か読んだことがあったんだけど、
僕が持ってる本のどこかにそのバンドがなんだったかってのが書いてあったんだよなあ。
ロックファンならたいがいその名前を聞いたことあるはずなんだけど、
今はそれほど知名度は高くない。
あーなんだったか。もどかしいことこのうえない。


内容が内容だけに当時のロックの名曲がふんだんに使われている。
僕みたいな人からすればそれだけで心地よい。
ウィリアム少年が家出した姉が残していったレコードを見つけ出すシーンがあって、
Joni Mitchell「Blue」 / Jimi Hendrix「Bold As Love」 / The Who「Tommy」
といった「ロックの名盤」とされるレコードのジャケットに目を輝かせる。
僕がまだ幼くてロックのなんたるかを知らなかった頃、
「名盤ガイド」みたいな本のページをめくっては同じように目を輝かせていた。
あれは岡村少年、15歳の頃だった。

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ストーリーテリング


トッド・ソロンズ監督の今のところ最新作。
「フィクション」「ノンフィクション」と題された2部構成で
「どっかゆがんだアメリカ社会」をブラックユーモアこめて描き出す。


思えば「どっかゆがんだアメリカ社会」を題材にした映画ってたくさんあるなあ。
アメリカン・ビューティー」しかり、
「ボーリング・フォー・コロンバイン」しかり・・・、
いくつか挙げてみようとしたのであるが、たくさんありそうなのでやめておく。
アメリカに限らず「ゆがんだ社会」ってテーマの好きな僕は
日々そればかり見てるような気がする。
フランス映画ではあまり扱わないテーマなので、それゆえに僕はフランス映画を観ることが少ない。
(今初めてわかった)


一見正常で常識的なのに
どこか頭のおかしな人たちばかりが出てきて、差別に関する言及など
他人を直接的に間接的に傷つける発言が最初から最後までびっしり途切れることなく交わされる。
「心」を持った人は知らず知らずのうちに傷ついているし、
無神経な人は傷つけても傷つけられても気付かない。
結果、どうでもいい人たちがよってたかって無力な人間を傷つけている。
救いようのない状態。(アメリカ社会の救いようのない情景だけで映画が成り立っている)
「病んでる」ってこういうことなんだろうなーと思わされる。
何をもって「病んでる」ってことなのかをいとも簡単に指し示した映画。


映画のお約束としてありえるんだかありえないんだか
状況は悪いほうに悪いほうに転がっていって、
「なんだこりゃ」と苦笑するしかなくなる。


ある意味この人は天才だと思う。ジョン・ウォータースが天才ならば。

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「グッド・ウィル・ハンティング」


ガス・ヴァン・サント監督、
マット・デイモンベン・アフレックのコンビが脚本。
爽やかな、アメリカ青春映画の金字塔。


マット・デイモンベン・アフレックの2人がやけに若いなー。
ドロップアウト気味の精神科医を淡々と演じたロビン・ウィリアムズはやはりよかった。


今回10本借りてきて見た中ではもっともいい映画だった。
今更僕が特に言うことは無し。


有名な映画なんだけどまだ見てなかった。
公開当時に見てたら感動しただろうなあ・・・。


時間を置いてもう1回観たい。

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クレイドル・ウィル・ロック」


ミスティック・リバー」にて幼少時代のトラウマに囚われて暮らす
さえない中年男を演じて今回アカデミー助演男優賞を獲得したティム・ロビンスが監督。
デッドマン・ウォーキング」もうそうだったけど、ものすごく知性派。


大恐慌時代のアメリカ、1936年。
失業者救済のためのいくつもの施策が政府の手によって実行に移される中で
演劇関係者向けに「フェデラル・シアター・プロジェクト」というものがあった。
失業者たちが窓口に並んで、演劇関係の仕事をもらう。
劇場の裏方になったり、役者として演じたり、音楽を演奏したり、大道芸だったり。
公共事業としての大衆演劇。(歴史的事実)
劇場の1つでは、かのオーソン・ウェルズが演出する社会派ミュージカル
クレイドル・ウィル・ロック」の稽古がドタバタと行われている。
貧しい劇団員たちがそれぞれ生活を抱える中で
どうにかこうにか初日までこぎつけたのであるが、
時代は共産主義に対してヒステリックなまでにピリピリとしていた頃。
「フェデラル・シアター」自体が共産主義的だと糾弾され、不況のため予算も削られる。
社会派ミュージカルなどもっての他、ということで上演は急遽中止に。
劇を見たいという市民たちに対して、
オーソン・ウェルズや劇団員たちはどのように応えたか?


これら縦糸に対して
まるで前世紀のヨーロッパ貴族のような社交界的生活を送る鉄鋼王の生活、
画家として有名なディエゴ・リヴェラとフリーダ・カーロ夫妻が
大富豪ネルソン・ロックフェラーの要請でロックフェラー家の所有するビルに
巨大な壁画を描くことになる顛末、といった横糸もあって、
映画はたくさんの出演者たちが入り乱れて重層的にキビキビと進んでいく。


後半の熱狂的な「クレイドル・ウィル・ロック」舞台上演シーンが圧巻。
それまで生活に疲れた中年男性に徹していたジョン・タトゥーロが活き活きと輝きだす。
エミリー・ワトソンも例によって幸薄い役柄を好演。


この映画を観ていて僕が興味を持ったのは30年代の文化、
劇作家ではテネシー・ウィリアムズアーサー・ミラーはこの時代の人たちだったか。
映画監督ではエリア・カザンジョセフ・ロージー
そしてオーソン・ウェルズ。「市民ケーン」見直してみようかなあ。
(映画の中にも新聞王ハーストが登場していた)
この人の業績って一度どこかで辿りなおしてみたいものだ。
カフカ「審判」を映画化したやつって今見れるんだろうか?
世間では英語教材イングリッシュ・アドベンチャーの「名優」という認知のされ方なのかなー。
もったいない。


話は変わるが、ティム・ロビンス夫人であるスーザン・サランドン
9・11以後の政治的発言の過激さにより
アメリカ国内では煙たがられているのだという。