歯医者その3(歯磨きのレッスン)

昨日の夜、歯医者に行って歯石を取る治療の続きを行った。
その日やることになっていた右上の歯に関して、
歯茎が炎症を起こしているということで麻酔を打つことになった。
注射器の針をプスッと刺して、針が奥深く差し込まれる。
キュイーンと削るやつならばなんてことない僕であるが、歯医者の麻酔はどうも苦手。
怖いんだよなあ。


歯茎が炎症を起こしていたのはなぜかと言うと歯の磨き方がよくないから。
一言で言うと「雑」、しかも思いっきりゴシゴシとこすっている。
これまで2回歯磨きの仕方を指導してもらっていたが、
今回も指導してもらうことになる。
これまでの美人な歯科医からではなく、割とかわいい系の歯科衛生士から。


つい何年か前に学校で習ったことを繰り返しているだけなのかもしれないが、
懇切丁寧な説明をしてもらう。
歯の間に溜まっている歯垢、白いヤニのようなものは細菌であって、
これが骨としての歯を徐々に蝕んでいくのだということ。
骨をすり減らしていくのと同時に歯茎も痩せ衰えてしまうので
(この状態が昔言ってたところの「歯槽膿漏」、今で言うところの「歯周病」)
歯がグラグラするようになり、いつか棒倒しの棒のように倒れることになる。
入れ歯になった人ってそういうことなのだそうだ。
虫歯で歯をだめにしたのではなく、この歯垢が原因となる。
困ったことに痛みがないため、
長い年月をかけて知らず知らずのうちに歯の健康が損なわれる。


小学校のときに歯の磨き方の講習があったはずですが、覚えてますか?
と聞かれて「あー、そんなのもあったなあ」と思い出す。
だけど習ったことはちっとも覚えていない。
「自己流ですか?」
僕は困ったように「うん」とうなずく。


しばらく歯科衛生士の方に磨いてもらった後で実際に自分で磨く。
台の上に寝そべって、左手で手鏡を持って自分の口の中を覗きこみながら。
「歯と歯茎の間に斜めにブラシが入るように磨いてください」
「鉛筆を持つように握って」
「1本ずつ、小刻みに」
「手に力が入ってます。力を抜いてください」


僕は前回の2回の歯磨き指導で
「歯磨きとは歯を磨くのではなく、歯茎を磨くのだ」と勘違いをし、
歯茎を力を込めてこすっていた。
しかも4月半ばの通い初めの頃はゆっくり時間をかけていたのが、
最近はまた元の雑な磨き方に戻っていた。
そりゃ炎症も起こすよなあ。


歯科衛生士の女の人は説明のたびに僕の目を覗き込むようにし、
僕は手鏡に映っている自分の顔を見ては
「朝剃った髭がかなり伸びてるなあ」とかそういうことが気になる。
一通り終わった後で、まっすぐ見つめられながら、
オカムラさんがきちんと歯が磨けるようになったか、
 次回から私が歯茎のチェックをしますね。よろしくお願いします」
と言われ、ニコッと微笑まれる。
僕に好意をもって接してるわけではなくて単なるお仕事なんだろうけど、
たかだかこれぐらいのことで僕は少しばかり胸がときめく。
「ちゃんと磨くようにしないとなー」と思う。
ある意味騙されてる。


親知らずを抜くかどうかの話は今回出てこなかった。
次回以後に持ち越し。