「レディ・キラーズ」

今日は会社には行かず、朝からデータセンターに直行して1人きり作業。
カタカタとキーを打ってモニタとにらめっこ。
1人なのをいいことに「うー」とか「ああ・・・」とかボソボソ呟きながら。
(だだっ広いロッカールームのロッカーの1つを開けるとモニタとキーボードがあって、
パイプ椅子に座った僕がそこに背中を丸めて座っている光景を思い浮かべてください。
時々誰かが通りがかる他は周りには誰もいない)
××と××を××しようとして午前中のうちはすんなり進んでいたのであるが、
午後になって高度な××をしようとしだすと××が××なようで××が××してくれない。
「もおっいや!」「こんなのやめやめ!!」
「コード全部引き抜いてやる!!!」
「だから俺はコンピュータなんて信用してねえんだ!!」
ムキーーーーーーッッッ!!!
夕方過ぎると怒り狂わんばかりになる。
自販機でミネラルウォーターを買おうとするのであるが
でかいサイズのしか売ってなくて飲み始めると半分もすればおなかいっぱい。
「もういらねえよ!!」心の中逆切れ。


こんな日はもうこれ以上仕事しても仕方がない。
スケジュールが送れてんだか進んでんだかってのはこの際どうだっていい。
そんなわけで映画を見にいくことにする。
会社に電話して「頭痛い。疲れた。帰ります」と伝えるとソッコーで外に出る。


ほんとならティム・バートンの新作「ビッグフィッシュ」を見たかったんだけど、間に合わず。
コーエン兄弟の新作「レディ・キラーズ」を見ることにする。
トム・ハンクス主演の犯罪もの。
アレック・ギネス主演の50年代イギリスのコメディ「マダムと泥棒」のリメイク。


気分が気分だけに映画見て浮世の憂さを忘れてスカッと壮快になれるといいのであるが・・・。
よりによってこの映画ちっとも面白くない。非常に遺憾なことに。
コーエン兄弟と知らされないで見てたら、
絶対監督が誰か気付かないだろうってぐらい彼らのよさが発揮されず。
「なんでトム・ハンクスがこんなB級映画出てんだ?」と首を傾げたくなるはず。
総じて地味。
今回の製作費の2/3はトム・ハンクスのギャラに消えてしまったんではないか?
と下手なかんぐりもしたくなる。
トム・ハンクス以外には見たことも聞いたこともない役者しか出ていない)


「未来は今」とか「ビッグ・リボウスキ」とか。
ああいう豪華絢爛な大嘘はもうつけないのかなあ。
昔の作品は「うわーなんでこんなしょうもない話で全身全霊かけて映画作るんだろうなあ」
と腹抱えつつも一映画ファンとしてひたすら感心させられたものであるが
ここ2作はただひたすら作品そのものがしょうもない。
どうでもいい小ネタをいかにして大盤振る舞いするかというのが
コーエン兄弟の醍醐味のように思ってたんだけど、
最近の小ネタは絞りカスのようで。


ディボース・ショウ」の方がまだ面白かった。
コーエン兄弟とソダーバーグと新作が出たら必ず見に行ってたのに。
両方とも終わってしまったな・・・。


ディボース・ショウ」と「レディ・キラーズ」って他人の企画で撮った映画なんですね。
レディ・キラーズ」は最初脚本を書くだけだったのが監督が下りたので自分たちで撮ることになったとか。
その辺が作品としての志の低さ、完成度の低さにつながってんだろうな。
それぐらいなら撮らなきゃいいのになー。
次回作はもしかしたら面白いのではないか。
そんな期待を込めてついつい見に行っちゃうんだろうな。


ちなみに、今日「レディ・キラーズ」のプログラムに書いてあったのを読んで初めて知ったのであるが、
「ファーゴ」の冒頭で「Based on a true story」(これは事実をもとにしている)と出てくる。
あれ思いっきり嘘なのだという。
やられた。
「ありえないなー」と思いつつも僕は本当にあれが実話だと信じていた。
本物の映画にはそういう力がある。