柏「ボンベイ」・上野「みはし」「蓬莱屋」2/3

上野駅到着。
A先輩がうまいあんみつ屋があるというのでまずはそこに行く。
公園口を出て坂を南に下りきったところにある「みはし」という店。活気があり、有名そうな雰囲気。
http://www.mihashi.co.jp/top.shtml
下で食券を買って2回へ上がる。
僕は「氷クリーム金時」にする。
カキ氷にアイスが乗っかっていて、下には金時。
去年はカキ氷を食べることのない非常にさえない夏だったが
今年は6月にしてかき氷。出足は好調。
(ただ単に去年が冷夏で今年が6月にして猛暑というだけかもしれないが・・・)


上野のあんみつ屋だけあって子供からお年寄りまでお客さんが幅広い。
席が開くのを待って座るとすぐにも頼んだのが出てくる。
「氷クリーム金時」最高!
クリームはちゃんと牛乳の味がしてまろやかだし、氷もシャキシャキしている。
特筆すべきはやっぱ「金時」
甘いものがダメで小豆から作ったものが出てくると
「そんな甘ったるいもん食えるか!!」と
知らず知らずのうちに不機嫌になってしまう僕ですら
「あー・・・」ととろけてしまってもいいくらいのおいしさ。
べたついてなくてさらっとした甘さ。
それになんというかふっくらとした餡がモチモチっとしていて・・・。


ロッコで買ったデザートローズがちょうど4人分あったので配る。
N先輩にはサハラの砂をお土産に渡す。
これをきっかけに旅行の話をする。


「みはし」を出るとなんとはなしに上野公園へ。坂を上っていく。
涼しい店内からいっきにじとっとした公園に入っていくとすぐにも汗だくになる。
今年の夏は暑いんだろうなあ。梅雨はどこに行ったんだ?
空は曇っていて今にも雨が降りそうなのに、振り出す気配はなし。
夏の灰色の空は青空とは別のどんよりとした暑さを感じさせる。
停滞したよどんだ空気が空と地面の間に漂っている。


いくら暑くても、一雨来そうでも、休日なので公園は大勢の人で賑わっている。
大道芸人たちが周囲に観客の輪を何重にも作っている。
子供たちの前で伝統的なコマの芸を披露する年配の人や
お笑い芸人を目指す若者たち。
芸として完成されていて拍手の大きいものもあれば
まだこなれてなくて観てる人もまばらなものもあり。


茂みの中に石でできたベンチが集まっている場所があったので座る。
相変わらずサッカーの話をする。
あと、音楽の話。
N先輩いわく「サントラを買ったら抽象音楽って書いてあったんだけど、
そもそも抽象音楽ってどういうジャンルなんだ?」
前衛音楽とはまた違うようで。結局はミニマル・ミュージックの一形態?


どこからか「アメイジング・グレイス」の合唱が聞こえてくる。
東京芸大の人たちが歌っているのだろうか?
それともアマチュアの市民団体が広場で練習?
することもないし、歌の聞こえる方にフラフラと誘われてみたくもなるのだが
ベンチに腰掛けてぼんやりと座っているとそれもめんどくさくなる。


茂みの奥はホームレスの人たちの「住まい」があちこちに建っていた。
木々の間に紐を引っ掛けて青いビニールシートを吊り下げている。
場合によっては「壁」をダンボールで補強している。
入り口近くに花瓶や鉢植えを置いている人もいて、
それなりに優雅な生活をここで送っているようだ。
これって好き勝手に誰もがここに来て同じようなことをしていいのではなくて、
ある種の序列があって初めて成立しているようなものなのではないかと僕は思った。
長いこと公園の中で寝泊りしていく中で顔が知られて偉くなってきて
ようやく先に住んでいた人たちに認められて場所を分け与えられるというような。
つまり公園の中の特権階級。
ここに住んでいる人たちは互いに無関心なのだろか、
それともなんらかのコミュニティーを形成しているのだろうか。
やはりそれなりに社会というものがあって、
公園の中で目に見えない動物的なテリトリー争いが日々繰り広げられているのではないか?
長い人だともうここに何十年と住み着いているのかもしれない。
長老。日本という国家の制度から切り離されて好きなように日々暮らしている。
それとなく見ていたら自転車に乗った40代の男性がふらっと現れた。
どうやら住人のようだ。風呂上りらしく、洗面用具の一式をカゴから取り出して家の中にしまう。
外国から来た観光客が興味深げにこれらの家の群れを眺める。カメラ片手に。


どっか行こうかということになってじゃあどこへ?というと
東京都美術館で開催されているフランドル絵画展のことを僕が言っても誰も興味を示さず。
フェルメールルーベンスレンブラントが来ているのだが・・・。
替わりに博物館のことを持ち出すと何人かがそれならいいとベンチから立ち上がる。
A先輩とはここで別れて、4人で博物館へ。


京都国立博物館。初めて入る。
広い敷地の中は本館・平成館・東洋館・法隆寺宝物館と分かれている。
とりあえず東洋館に入ってみる。
古来からの東洋美術がここには収められている。
西はエジプトから、東は朝鮮半島まで。
それが時代別・分野別に陳列されている。
http://www.tnm.go.jp/jp/servlet/Con?pageId=B01&processId=00&mansion_id=M2
3階建てということになってるのだが、中2階があったりしてやたらと広く感じられる。
全部見て回ってるとキリがない。
宋の時代の陶磁器であるとか、ガンダーラの仏像だとか、ジャワの影絵芝居の人形だとか。
途中でみんなぐったりしてソファに腰を落とすと眠り込む。
ようやく全部見終わったら2時間ぐらいかかっていた。
他に3つ建物があるわけで、ここを本当に見学しようとしたら1日仕事になる。大変だ。
あちこちで美大生たちがデッサンをしていた。


これはこれで有意義なものを見たなあという気持ちにさせられたのだが、
僕の中で「でもさあ、博物館って言えば恐竜の化石とか産業革命じゃないの?」という思いもあり。
後で調べてわかったんだけどそういうのって、
国立博物館」ではなくて「国立科学博物館」の方らしい。全然別の施設となる。
知らなかった・・・。
というか普通知らないか。
中学の修学旅行で来たとき、動物園と美術館とこの科学博物館とが選べたんだよな。
科学博物館の人気が少なかったことをなぜか覚えている。


東洋館の中は静かでひんやりとしていて、
ところどころに置かれているソファもゆったりとしていて座り心地よかった。
入場料は420円。たったこれだけで4つの建物が見学できる。
これなら喫茶店に入るよりもよっぽど疲れがとれる。居心地がいい。
・・・そう思った人が多いのか本館に入ってみたらソファは皆埋まっていて
ほとんどの人が爆睡。疲れきって、人によっては口を開けて。


本館のテーマは日本の美術。
縄文時代の土器から、工芸品の場合つい10年前のものまで。
これ全部見てたら時間がいくらあっても足りないと
1階2階とあるうちの1階だけを駆け足で見て回る。
埴輪や金印、亀ヶ岡遺跡の土偶とか。歴史の教科書の巻頭の写真で見たことのあるものばかり。
そうかそういうのってここにたくさん集まっているのか。
この片足の遮光器土偶の写真って小さな頃から割とよく見かけるけど
あれって青森なんですよね。亀ヶ岡遺跡って。生まれて初めて見た。
ちょっとした感激となる。
ちなみになんで「遮光器」土偶なのかと言えば
目にサングラスのようなものをしているからですね。
宇宙服だの宇宙人だのという説あり。
その他見たものは江戸時代の名工の作とされる刀や薙刀、豪華絢爛とした着物などなど。
尾形光琳作の「硯箱」が特別展示されていた。