船を下りる。岸を歩く。
地元の人たちが軒先で涼んでいる。大きな犬を連れている。
船の中から見えたホテルへと歩いていく。
お土産屋や海の幸の食べられる食堂が立ち並ぶ商店街を抜けて、角を曲がり
同じように食堂やお土産屋の並ぶ通りに入る。灯台に続くようで坂道になっている。
中では干物が売られ、店先ではイカやとうもろこしを焼いている。
地元の人相手なのか取れたばかりの魚を
発泡スチロールのケースに入れて売っているところもある。
観光地ズレしてなくてのんびりとした雰囲気を感じる。
海沿いの道に出る。日差しがまぶしくなる。
油壺で見かけたように子供たちが水の中に入って遊んでいる。
ホテルに到着。
フロントにてホテルを紹介するホームページにあった「日帰りプラン」を利用できないか聞いてみる。
入浴と食事、部屋で休めて3000円。
もしかしたら3連休なので予約がいっぱいなのではないかと不安だったのだが、空きがあった。
4000円の「鮪づくし」コースは仕入れの関係上前日までに予約が必要だということでそこは諦める。
部屋に案内されるとさっそく温泉へ。
小さくはあるが露天風呂。海が眺められる。富士山も見える。
「海洋深層水」を汲み上げて温泉としているようだ。顔にかかったお湯を舐めてみるとしょっぱい。
ここの温泉は浸かっている時よりもいったんお湯の外に出て
近くに並んだデッキチェアに腰を下ろしているときの方が断然気持ちいい。
お湯で温まった体を時折吹く風にさらす。
ぼけーっと海を眺めていると漁船がゆっくりゆっくりと視界を横切る。
極楽である。
(しかし、いかんせん海水なので髭剃り後がヒリヒリする)
温泉から出て、売店で缶ビールを買う。
部屋に戻る。料理が運ばれ始めている。
先輩がゴルフ番組を見ている。
「オカムラ君もゴルフやろうよ」と言われる。
ゴルフを嫌ってるわけでもないので「あー機会があったらやってみたいですね」と答える。
話のタネに1度はやってみたいものだ。
でもコースに出る前に何回か練習しなきゃいけないみたいでそれが面倒だ。
ゴルフクラブのセットなんて買いたくないし(置く場所ないし)。
それにしても僕はゴルフ無茶苦茶下手そうだ。
スイングのフォームとか姿勢とかが問われるとなると100%向いてない。
やっても辛くて惨めな思いをするだけだろうな・・・。
料理が全て運ばれた頃、ようやく女性陣が戻ってくる。
天ぷらに刺身に茶碗蒸し、一通り揃っている。
最初のうちはこれらのものがなくて、
「3000円のコースだと寂しいもんだなあ」
「4500円のコースにしとけばよかったなあ」と思ったりした。
これで3000円なんてありえんよ、って驚くぐらいにたくさんの品数。
普段こういうものを食べてない僕からしたら
うまいかまずいか以前の時点で満足してしまう。
客観的に言えばそんなうまいものでもなかったが、
3000円で入浴もついててこれだけ食べれるならもう最高です!と思う。
食べ終わってウダウダしてるうちに部屋を出なきゃいけない14時になる。
次のフェリーまであと1時間以上ある。
ホテルを出て、島の観光をするかとまずは裏にある灯台へ。
道を間違えて1度商店街の方に下っていく。
あちこちで焼いたイカが売られていて、腹いっぱいのはずなのに食べたくなる。
灯台は「明治3年」という日本で2番目に古い歴史を持つようなのだが、
行ってみると普通の小さな灯台で中には入れない。
「こんなちっちゃいのか!」と驚く。
ただ、高台にあるので眺めはいい。太平洋が見渡せる。
ちなみに日本で最初に建てられた灯台は同じく三浦半島にある観音崎灯台。
ペリーが黒船を率いて来航したのはその近くにある久里浜ですね。
灯台から下に下りて行って、岩場・海水浴場を歩く。
その前に店の一軒に入ってイカの半身焼きを買って食べる。
甘いタレをつけてさっとあぶってくれる。おいしい。
海水浴場は油壺よりも大勢の家族が集まっているようだ。
油壺と違ってテントを張っている人たちが多い。
馬ノ背洞門へと向かう。
油壺の砂利以上に歩きにくく、途中でギブアップしたくなる。
痛くて痛くてたまらん。拷問のようだ。
しかも昼間なので砂が熱せられて暑い。それでも僕は男の子なので我慢して歩く。
馬ノ背洞門。長い年月の間に波や風雨にさらされて岩がきれいに丸くくりぬかれている。
上の方はもうかなり薄くなって狭い道のようになっている。
危険なので洞門の中に入らないように、上を歩かないようにと注意書きがなされている。
遠足なのか小学生の集団が散らばっている。
引率している先生が「上、歩こうと思ったら歩けるよ。私は昔歩いたことがある」と語る。
14時40分を過ぎている。
そろそろフェリー乗り場に向かわなければ次のに乗れなくなる。
海沿いに砂利道を引き返すのは気が遠くなりそうだったので、
丘を登っていって島の中心部を突っ切るコースを取る。
ハイキングコースってことになっていて小さな道が整備されているが、
周りをうっそうと茂る植物に囲まれていて
ほんとにこれでたどり着けるのかと心細くなる。
歩いてるうちに「海鵜展望台」に差し掛かる。
切り立った崖の上にあって眺めがとてもいい。三浦八景の1つなのだそうだ。
時間がなかったので先に進む。
しばらく歩いていくと県立公園に出る。そのままサーッと通過。
坂道をテクテクと下っていくとやがて海辺に出る。
馬ノ背洞門や灯台のあった方とは反対側。
他の観光客たちの歩いているのについていくと北原白秋の石碑に出る。
北原白秋は一時期この城ヶ島に住んでいたようだ。
海沿いに歩いていくうちにフェリー乗り場へ到着。
出航の10分前だった。間に合ってよかった。
蒸し暑く、温泉に入ったせいか体も温まり、汗びっしょりになる。
待合室代わりのベンチに座っているといきなり地震が。
地面がグラグラと大きく揺れる。
周りの人たちと一緒になって「地震だ!」「津波は来るのか?」という話をする。
まさか津波が来て船が出ないなんてことはないだろう。
とはいえ出航時刻になっても船が到着せず、不安になる。