三浦半島ドライブ④

少し遅れて船が到着する。
油壺から来たとき同様島を一周するのであるが、船が揺れる揺れる。
風が強くなっていたからか、それとも地震の影響で津波なのか。
フライングカーペット並みに右に倒れて左に傾いて。
そのたびに波がざっぱーんと。
思いがけずワクワクした気分になるが船酔いする人ならいっぺんでアウトだろうな。
「彼氏に連れられてきましたー」って感じの若い女の子がキャーキャー騒ぎまくる。
船は平然と走っていて乗務員のおじいさんたちも何事もなく仕事しているから
この時間帯はいつも風が強くていつもこんなもんなのかもしれない。
疲れと眠気がここになって出てきてものすごく眠くなってくる。
甲板のベンチに座っててウトウトする。
どんなに揺れてようが関係ない。


船が着いてからどうしますか?三崎に行ってマグロ食いますか?
と先輩に相談するものの「腹いっぱいだからいい」と。
眠いんで油壺の温泉に入って、休憩所で寝てるってのも提案したのであるが、これも却下。


フェリーを降りると海水浴場は何も変わることなくのんびりと海を楽しんでいる人ばかり。
船の上で僕らが直面した小さな大冒険が嘘のよう。
駐車場の方に上っていこうとしたら
偶然会社の後輩夫婦が生まれたばかりの子供を抱えているところとばったり出会う。
とんでもない偶然。驚く。


とりあえず油壷を出ることにする。時間はまだ16時過ぎ。
駐車場近くの自販機を見たら「Mountain Dew」と「スコール」を見つける。
珍しい。神奈川だと売ってるのだろうか。
「スコール」なんてもしかしたら初めて見たのかもしれない。
名前だけはたまに聞くことがあるんだけど。
缶には「愛のスコール」「スコールとは乾杯という意味のデンマーク語です」
「乳性炭酸飲料」「THE ORIGINAL MIX」「SINCE 1971」などと書かれている。
販売者は南日本酪農共同株式会社となっていて、宮崎の会社だった。
もう30年以上売られているのか。たいしたもんだ。
飲んでみたらなにげにうまい。なんだかどこか懐かしい味。


さてどこに行くかってことになったとき、後輩の女の子が
友人が葉山で買ってきたケーキがおいしかったことを思い出す。
「いいねー」という声が上がる。
昼あれだけ食べたので気分的にはマグロよりもデザートの時間。
(結局マグロはホテルで食べた3切れだけ・・・。3食マグロとはいかなかった)


朝来た道を引き返す。とんでもなく混んでいる。
油壺も城ヶ島もそんなに人がいなかったのになぜこれほどまで混むのか?
不思議でならない。
彼らはいったいどこにいたのか?三浦海岸から回ってきたのだろうか。
渋滞。カーナビを見るとどこまでも渋滞を示す線が。
(どうでもいいことですが、なぜカーナビでリアルタイムに渋滞情報を感知できるのか、
その仕組みを先輩に教えてもらった。ペーパードライバーだと世の中知らないことばかりです)
三浦縦貫道路の入口を超えると急に渋滞が解消される。
ここから先は快適なドライブになる。


三浦半島が初めてである以上、葉山もまた初めて。
名前としてはよく聞くけど。御用邸とか「葉山マリーナ」とか。
もしかしたら日本を代表する裏リゾート地なのだろうか?
助手席からキョロキョロ眺めるのであるが、見たところただの田舎。
ところどころ代官山から引っこ抜いてきたかのようなおしゃれな店があり。
御用邸の側を通りかかると「おー」と思う。
探索したら何かと興味深いものがあるんだろうけど、
ヨットをやらない人がここに来ても退屈なだけなんだろうな。
あるいはお金持ちでないと楽しめないとか。
そもそも地図を見たら電車が走ってない。不便そう。
車を持ってなかったらバスで移動することになるのか。
地元の人からしてみればそれでいいのだろう。
全般的にプライドが高そうだ・・・。


ケーキ屋の名前は「鴫立亭」
駐車場に車を停める。格式ありそう。
ほんとかどうかわからんが、皇族の方も召し上がるとのこと。
ジーパンにサンダルの僕なんて入れてもらえるのだろうか?とついつい思ってしまう。
中に入ってみる。
入口すぐでケーキを販売していて、その先が喫茶店のようになっている。
わざわざここまでドライブしてきたと思われるOLっぽい女性たちが入れ替わりに帰っていく。
奥には筋金入りで金持ちっぽいおばさんたち。
ケースの中にはいろんな種類のケーキが売られている。
ショートケーキだろうとチーズケーキだろうと長くて絶対覚えられないような名前がついている。
どれを食べるべきか?よくわからなくなってきて僕は一番地味なチーズケーキにしてしまう。
密かにテンパる。色が3色以上あるものは認識不能となる。
値段はどれも意外と安くて400円ぐらい。
こういうところなら1コ1000円はくだらないんじゃないかってびびっていたのであるが。
逆にコーヒーの方が高くて、600円だった。


チーズケーキが運ばれてくる。
何も考えずバクバク食べてしまって、
食べたあとにハッと「これってうまかったのだろうか?」と思う。
おいしかったのは確か。
だけど普段ケーキを食べ慣れてないのでどれぐらいおいしいものなのかがよくわからない。
駅前のごく普通のケーキ屋のケーキを
お土産にもらって食べることが年に2・3回あるかどうかだから
舌がケーキ慣れしていない。比較できない。
ケーキ屋なんて男性が1人で入る場所ではないでしょう?
男性2人で入るならなおさら。


店の入口には細長いガラスのケースの中にとても大きなデコレーションケーキが飾られてあった。
お菓子の城といったところか。
店の中の雰囲気もヨーロッパ中世の田舎って感じだったなあ。
(どんなもんか知らずに適当に↑言ってるが)
お菓子の家。大人になって適度にうら寂しくなったメルヘン。
魔女が住んでそうでヘンデルとグレーテルを待っているような。
暖炉があって、馬車のような手押し車が置かれていて。
ロウソクの光が似合いそうな。


あと、お菓子のブタやカエルが売られていたことを覚えている。
どのケーキもほんと手軽な値段で、
都心のあのバカ高い高級な店のケーキってなんなのだろう?と思う。


店を出ると後は帰るだけ。
さっき混んでたから高速混んでるんだろうなあと思ったのだが、そんなことはなかった。
汐留までは渋滞につかまらず順調に東京まで戻ってくることができた。
汐留に700万で販売されている1Rのマンションがあるという話になり、
渋滞で停まっていたときに「あれだ」と見つかる。
モザイク状の蟻塚みたいな外見。
汐留でワンルームで700万。高いか安いか。
100万か200万なら買うけどなあ。セカンドハウスとして。
それでも本拠地は荻窪のアパート。


東京駅の地下の中華料理の店でラーメンを食べて解散。
楽しい1日だったなあ。


それにしても温泉またすぐにも入りたくなってきた。
どこか近場にいいとこないものか。