旅行記を書く

やる気が出てくる。
ふとしたことから旅行記のコンテストの締め切りが今月末にあることを知り、
せっかく書いたのだからモロッコ・ドバイ旅行記をまとめて応募してみようかと思い立つ。
先週は会社の昼休みに人知れずコツコツと作業していた。
1日ずつ書かれた横書きで行間開け放題のオリジナルの文章を
一まとめにして縦書きのそれらしい文章に仕立て上げる。
半角英数字で書かれてたのを1個ずつ見つけては全角に置き換えるとか地道な作業もせっせと。
今日は朝早起きしてクーラーの効いた部屋に閉じこもって
全体的な文章の手直しをした。
誤字脱字・表記を直すだけでなく、文章を補ったり削除したり。
分量が分量なのでもしかしたら今日1日じゃ終わらないんじゃないかというのが怖かったんだけど、
ようやくさっき終わった。今、一息ついているところ。


オリジナルの日記では原稿用紙に換算して439枚だったのが
今回の作業で3/4の323枚にまで縮まった。
それでもとんでもない分量だ。
ロッコ・ドバイから帰ってきてからは毎週毎週土日はひたすらこの文章を打ち込んでいた。
こんな長い文章を書いたのは初めてだし、恐らく最後になるだろう。
(僕はもし仮に小説家になったとして、長編を書きたいという気持ちは全くない)


ある程度のクオリティーのものにはなってると思う。
300枚なんて書けるんですよ、誰でも。その気になれば。
時間と熱意さえあれば。
とはいえ300枚という分量を均一な質感で統一し、
一定のテンションを持続させることができているかと言えば
それってかなり難しい。素人ならば。
僕は長年トレーニングを続けてきたのである種の技術力でその辺はなんとでもなる。
自分で読み返して、そこのところはクリアしていると思う。最初の関門。
後は読んだ人がこういうの面白いと感じるかどうかだよなあ。


とは思うものの、今回の旅行記が採用されるとはちっとも思ってない。
まず間違いなくダメだろう。文章力以前の問題。
先日ある人と話して、「でもこれってモロッコ行きたくはならないですよね」と言われた。
「そうか・・・」と思う。
100歩譲って「旅行に行きたくなるか」ってとこでもアウトだろう。
つまりこれは商品性がない。


旅行記で言ったら、アメリカに住んでいる祖母を訪ねて
生まれて初めて日本を出た12歳の女の子の思い出を明るく楽しく綴った
素敵な文章の方なんてのがあったら断然そっちの方が世の中に好まれるだろう。
ハラハラドキドキ、それでいてスイートでキューティー
向こうでかっこいい男の子に出合って淡い恋心でも芽生えたら最高だ。
そんな旅行記があったら僕ですら読みたい。
あるいは暗くて後ろ向きな話ならば
アジアのとある国を遊びで訪れたOLが拉致・監禁されて堕ちるところまで堕ちて
昼も夜も分からないような場所で××させられて何年かすごした後に命からがら脱出したとか。
それぐらいの凄みがあるのなら、手記として価値が生まれてくるだろう。


結局僕が今回書いた旅日記は凡庸なんだよな。
サハラ砂漠まで行こうが、交通事故に遭おうが。
こんなの面白いのだろうか?とすら思う。
人によっては面白いのかもしれない。そういう人がきっといるのだと思う。そう信じている。
だけどわかりやすい魅力が、それを箇条書きにできるようなポイントがない。


世の中には僕よりも文章がうまくてスケールが大きくて斬新で
普遍的で読みやすい文章を書いている人は大勢いる。腐るほどいる。
そして僕と同じように小説家になりたいと思っていて日夜僕より努力している。
そして自らの商品性を見出してそこに賭けていく。
僕にはまだそれができていない。


道のりはまだ険しい。


でも出さないよりは出した方がいいので、応募はしてみる。

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応募に当たってはタイトルが必要なんだけど、いいのが思いつかない。
誰かなんか考えてください。よろしくお願いします。


・・・タイトルが出てこない時点で商品性として弱いってことなんだよね。