日曜の午後、先輩の娘と会う

昼、大学の先輩の家までもう1人の先輩と車で行って、
先輩の4歳になる娘と一緒に4人でファミリーレストランにて食事をした。
先輩の娘に会うのは初めてだった。
のんびりとした雰囲気の先輩とは正反対の、非常に活発な女の子だった。
知らない人に会うということではしゃいでいたのかもしれない。
絵を描くのが好きということで(母親は昔プロの漫画家だった)
ファミレスの中ではスケッチブックを広げてずっとお絵かき。
スチールの箱の中には色鉛筆が何十本と入っていて、めまぐるしく色を変えていく。
何の迷いも無く線を引いて塗りつぶして、どんどん描き込んでいく。
リンゴの親子(お母さんと娘、赤ちゃん)とか、お姫様とか。
興味の対象が一瞬にして変わると、突然描くのをやめてしまって次の紙に移る。
2時間いた間に4枚か5枚は描いただろうか。
描くのに飽きた頃、女の子はお姫様に関するお話を語り始め、
父親に向かって画用紙の上に書き取ってくれという。
自らお話を語りだして書き残そうとしたのは今日が初めてなのだという。
絵本ができるね、と僕らは言い合う。


例によって映画の話や超常現象、僕の本の話になる。
昔編集者をして最近はライターの仕事をしていた先輩は
「売れる本は装丁とタイトルと営業で決まる」と言う。
(中身は割とどうでもいい)
営業ってことで言うと最近だと例えば「電車男」の成功のケース。
インターネットでもそこそこ話題になっていたが、
出版された途端あちこちで取り上げられるようになった。これぞ営業の力。


○○ちゃんは誰が1番スキ?と質問すると「ジブン」と答えが返ってくる。
2番目を聞いてもやはり、「ジブン」
「じゃあお父さんは?」「ジュウゴバンメ」お父さん苦笑い。
「お母さんは?」「ジュウキュウバンメ」
話を聞いてるとどうも1番から14番目まで全部ジブンで、15で1コ飛んで
16から18までもジブンなのだという。
子供の世界ってほんと不思議なもんです。


ファミレスを出て引き返す。
先輩の住んでいる社宅の周りを女の子が三輪車で元気に走り回る。
いつだってエネルギーが満タン。「子供ってすごいなあ」とベタながら思う。
その後近くの公園に行って砂場で遊ぶ。
見かける子供たちはみな薄着で走り回っている。
僕を含めて見ている大人たちはみんな寒そうにしている。
ダウンジャケットを着ていても公園にじっと座ってるのは寒かった。
女の子は父親に砂を乗せた皿を渡して、「サラをたべて」と言う。料理を、ではない。
「皿は食べられないよ。歯が折れてしまうよ」「いいの。サラをたべてください」


グルグル回る遊具で女の子が無心になって回る。
その間僕らはまた世間話をする。
先輩が時間のあるときに書いた小説について。
茨城県のとある地域に風習?として残り続けているある種のシャーマニズムについて。
沖縄の森に生息する幻の生物について。


遊び疲れて家に戻る。
ぐったりした女の子は父親にだっこされて眠そうな目をしてこの世界を眺める。
それがいきなり、「ねむくなくなった」とキョロキョロしだす。
子育てって大変だ・・・。