スロウライダー「わるくち草原の見はり塔」

12時頃帰ってくる。1週間ぶりの自分の部屋。
食べるという行為が億劫に感じられる一方で腹も減っていて、カップラーメンを食べる。
食べ終わると眠くなる。15時まで寝た。
久し振りに自分の部屋の自分の布団で寝る。気分が落ち着く。


新宿に出る。
ヨドバシカメラで15mと長めのLANケーブルを買う。
ハンズで以前の日記に書いた、携帯を首から下げるためのアレを買う。
(この色がいいなあと思って買ったのだが、携帯の色と合ってない・・・)
タワーでCDを買う。ボブ・マーリーフランク・ザッパ


小田急線に乗って下北沢へ。
クリス君・ミキさんとスロウライダーの公演を観ることになっている。
時間があったら古着屋を回ったりしたかったのだが、
待ち合わせの時間ギリギリに着いたので適わず。
レコファンにだけはサッと入って、マシュー・スィートの昔のアルバムを中古で買った。


雨が降っていて寒いのに、ミキさんは今回も着物。実際、寒い寒いと連発していた。
3人揃うと(本来ならクリス君の奥さんもだったが、体調不良により断念)
ご飯を食べに行く。雨の降る中ブラブラ歩いて店を探す。
「カウボーイ」が目に止まって入ってみる。
いつも気になっていたけど、これまで入ったことはなかった。
腹の減っていた僕はジャンボハンバーグのセットにチョリソー、
それにメキシコ風の豆の煮込み、さらに生ビールをジョッキで2杯。
これだけ食べて飲んだら眠くなるなあと思いつつ、食欲には勝てない。


受付時間始まりまでマックで暇をつぶして取り留めのない話をした後で劇場へ。
駅前の劇場だからってんで「おお、駅前劇場か。すごい出世だな」と思いきや
OFF・OFFシアターの方だった。
客席はとても狭く、ギュウギュウ詰。びっちりと客が入る。
前売りは完売だったのかもしれない。


タイトルは「わるくち草原の見はり塔」
このタイトルはなかなかうまいもんであって、
これまで見た2作品の傾向として悪口ってのはこの劇団にとって重要な要素なんだよな。
意図的な悪口・他意のない悪口。積み重なっていくうちに状況がどんどんおかしくなっていく。
もしかしたら全部のセリフが多かれ少なかれ悪口かもしれない。


アメリカの日系人捕虜収容所が舞台。
男たちは草原に放たれ、妻子は「塔」の中に監禁されている。
男たちは配られたカードを元に「ミカド」や「ミフネ」や「ミソ」といった
ジャパニーズな名前の役割が決められ、従うことになる。
そしてそれは定期的にシャッフルされる。
男たちはそこから1人出て行くことを目的として
互いに監視し合い、表面的に協調し合い、敵対し合う。


前2回見たときはセットの作りこみのすごさに感心させられたんだけど、
今回は驚くほど何もない。新境地か。それとも小屋の制約か。
狭いステージを挟んで両側に客席。
ステージの上にはこれといって特に何もなく、
大バサミ、水道、小さな冷蔵庫、イチゴ畑、木馬といったオブジェが置かれているだけ。
新趣向として客席の両側にモニターが設置され、
そこには時折多少解説っぽい文言が表示される。


例によってパズルのように難解な作品。
誰がいったい何を目的としているのか。
それが猫の目のように変わっていくのでストーリーが追い辛いのが難点。
意欲作だったとは思うが、うまくいってなかったな。
詰め込まれたいろんなアイデア有機的な連関を形成してなかったような。
これまでは難解ながらもストーリーのラインが明確なくっきりとした線となっていて
3次元的な図形を描いていたのが、今回は平板で起伏がないような印象を受けた。
要するに難解なストーリーがときほぐれたとき
前回までは「そうか!」と爽快な瞬間があったんだけど、
今回はストーリーのトリックや意味のあれこれがはっきりしたところであんまり嬉しくない。
そういう違い。見えるものが結局は平板なものだから。


抽象的なイメージの結びつきによりさらなるイメージを生み出す、
演劇の形態にそういうものがあると思う。
今回はそういうのに片足を突っ込みつつ、
これでいいのだろうかと戸惑っているような印象も受けた。
小道具として十字架が出てきて、額縁が出てきて、
どうもクリス君曰く塔は神様のメタファーであって。
何かどこかに結びつきそうなんだけどことごとく何もなさそう。わけがわからなくなるだけ。
これって意図的にそうしているのか、それとも失敗しているのか。
なんかそういうものに頼らなくてもしっかりストーリーを伝えるだけの力があるんだから、
もっと思いっきりフォークやスライダーを投げるような迷いのなさが欲しいなと思った。


そんなわけで今回はなかなか微妙な、過渡期な作品だった。
次回の公演は三鷹市芸術文化振興財団が主催であるが、
今回の経験がどこにどう活かされることになるか?
そこに期待。
既に伸び悩んでいて頭打ちの劇団ではないでしょう?


つまらなかったかというとそうではなく。
この1週間のハードワークで疲れて眠い体で見てたのに
居眠りすることはなくしっかりと見てた。
見せる、見せきる力はこれまで通りあるのだと思う。


それにしても相変わらずこの劇団は女性がちっとも出てこない。