「オーシャンズ12」

久々に夜から朝にかけてという普通の時間帯で寝ることができた。
エラーが発生したら夜中何時だろうと携帯が鳴ることになっていたが、
ありがたいことに鳴らなかった。安定稼動に入りつつある。


23時から7時まで寝たのだが、それでもまた寝たりない。
下手にいつもより多く寝てしまったもんだから
体が「もっともっと」と睡眠を欲しだした、そんな感じ。
だるい体でボストンバッグに荷物を詰めて外に出る。
また今週もホテル暮らし。


データセンターにて昨晩分の動作結果の確認をする。
特に問題なし。ほっとする。午前中の作業終了。
後は夜まで「自宅待機」扱いになっているが、家には戻らない。
今日の夜からまたホテルを取ってあって、
チェックインまでの時間は映画を見て過ごすことにする。


センターを出て、近くのショッピングセンターへと向かう。上の階にシネコンがある。
10時の開店待ち。ドアの前で待っている人たちがけっこういる。
開店してのんびりとエスカレーターに乗って3階へ上がったら
チケット売り場には既に長蛇の列。いつのまに!?と驚く。
エレベーターから続々と人が吐き出され列はどんどん長くなっていく。
ハウルの動く城」「カンフーハッスル」「Mr.インクレディブル」「ターミナル」と
話題作がたくさん上映されているのだから、これだけ入って当たり前か。
都心をちょっと外れたショッピングセンター併設のシネコン
土日もあんまり人が入ってないだろうと思っていたら甘かった。
単館上映系の作品を見るときとは全然雰囲気の違う客層。
つうか普通の人たちばかり。娯楽として映画を見に来てる。
これでもまだ日本映画は斜陽産業なのだろうか?


僕の目当ては「オーシャンズ12」で、昨日から公開されたばかり。
バンバン広告が打たれている。
昨日渋谷では一面に「オーシャンズ12」がデコレーションされたトレーラーまで見かけた。
ここでは1番大きな2つのシアターを使って上映するそうで、
既に予約でいっぱいだったらどうしよう、なんて並びながら心配してしまう。
じっさいのところ朝の初回だったということもあってかそんなに人は入っていなかった。
半分も埋まってなかった。これはヒットならずか。

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オーシャンズ12」はスティーブン・ソダーバーグの最新作であって、
言わずと知れた「オーシャンズ11」の続編。
前作はジョージ・クルーニーブラッド・ピットマット・デイモンジュリア・ロバーツ
という豪華キャストが話題だったが、
今回はそこにキャサリン・ゼタ・ジョーンズまで加わってさらに豪華になる。


犯罪もの。前作はラスベガスのカジノから強奪するというストーリーだった。
今作はキャストとともにストーリーも豪華となり、
アムステルダム、パリ、ローマ、シチリアと世界を股にかけて
アメリカ1の大泥棒(ジョージ・クルーニー扮するオーシャン)が
ヨーロッパ1の大泥棒とNo.1の座をかけて知恵比べを行う。
話はそれだけでなく、前作のカジノ王の影が終始ちらつき、
オーシャン一味(ブラッド・ピットマット・デイモンなど)は
インターポール(キャサリン・ゼタ・ジョーンズが捜査官)にも追われる。
いわゆる豪華キャストに脇役も多く、それでいてストーリーも複雑。
それをすっと見せきってしまうのだから娯楽映画としてはよくできている。
(ただし、ソダーバーグ流の娯楽なので全体的にどことなく地味)


が、ソダーバーグの映画として見るのならば首を傾げざるをえない。
ものすごく無難にまとまっていて監督としての味は無いに等しい。
監督名を伏せられて見せられたら気付かないかもしれない。
(でもまあ、なんとなく絵の雰囲気でわかっちゃうものなんだけど)
ソダーバーグの作品を見た、という満足感がなくてがっかり。
「やっぱこの人はすげえな。天才だな」というワクワクした気持ちが得られない。
これは「オーシャンズ11」のときも「フル・フロンタル」のときもそうだったんだけど。


それに出てくる人が多すぎて、それがみんな薄っぺらいところが難点。
トラフィック」のときも同じぐらいたくさん人が出ていて
そのそれぞれにドラマというか背負っている過去が感じられたんだけど、
オーシャンズ」シリーズではそこの部分意図的にカットしてるんだろうか?
登場人物とその所作と他の登場人物との関連性がものすごく表面的。
「何も考えず犯罪映画を楽しんでくれ」ということなのだろうか?


総じて水で薄めた作品という印象。それなりにうまいんだけど。
前はもっと刺激的でおいしかったのを知ってるがゆえにもっと高いレベルを期待してしまうというか。


ソダーバーグも一時期のピークを過ぎてこれで終わりなんだろうか。
そろそろ勝負時だよな。
同じぐらいいつも期待して見ていたコーエン兄弟
ディボース・ショウ」「レディ・キラーズ」とつまらんかったしな。
でもまた新作が出たら見に行くんだろうな。


そもそも11人いる必要が無い。
前作で11人の紹介が済んだということなのか、
中心の何人か(ジョージ・クルーニーブラッド・ピットマット・デイモンとあの中国人)以外は
何のためにいるのかもよく分からない有様。その他大勢ってとこで。
ケイシー・アフレックなんて「出てたっけ?」って言いたくなるぐらいぐらい印象が薄い。というか無い。
それでも役者としてキャリアの長い貫禄のある人たち(カール・ライナーエリオット・グールド)は
引出しが多いせいか、存在感をきちんと放っている。
ヨーロッパ1の大泥棒ヴァンサン・カッセル(「憎しみ」に出ていた)は割とよかった。


あと、ジュリア・ロバーツネタはいまいちだった。
余りの展開に「えー!?」と寒い思いをした。

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見終わって同じ階のお好み焼き屋でモダン焼きを食べ、ビールを飲んだ。
映画の後のビールはうまい。満ち足りた気持ちになる。
ホテルに入ってさらに缶ビールを飲む。
15時ごろベッドに入って、そのまま20時まで爆睡。
19時ごろいったん目を覚まして、そこから先はずっとトラブル対応の夢を見ていた。


カート・ヴォネガットの「ピアノ・プレイヤー」を読み始める。
処女長編。全体主義社会と化した架空のアメリカを舞台とした作品。
例によって、個人にとって、社会にとって、
自由とは何か、幸福とは何かという問いかけがなされている。
この人の作品はいつどれを読んでも面白い。ぐっとくる。


夜、データセンター入り。雨が降っていた。