銀杏BOYZのデビューアルバム2作がようやく発売された。
「Door」「君と僕の第三次世界大戦的恋愛革命」
2枚組ではなくて、2枚同時発売。
GOING STEADY が解散して2年ぐらいになるのに
その間峯田和伸の音源は全く出てこなかった。
「アイデン&ティティ」に主演したとか
(映画初出演だったのにこれはとてもよかった)
ライブを再開してあちこちでキレまくってるとか
いろいろ情報は伝わってきていた。休眠しているわけではない。
いつ出るんだろう、いつ出るんだろうと時々思い出しては気になっていた。
それがまずはシングルで、ということはしないでいきなり2枚同時に出すとは。
相変わらず無茶苦茶である。
聞いてみたら音もまた相変わらず無茶苦茶。
「・・・これ、解散する必要があったのだろうか?」と思ってしまった。
演奏力って意味では何も変わってない。
でも、音の圧力というか込められた意気込みというか魂は全然違う。
GOING STEADY の方が魂抜けてたとかそういう意味ではない。
GOING STEADY の方が等身大の悩める青年たちだとしたら、
その腑抜けたところもそのまんま出しているのだとしたら、
銀杏BOYZ はなんか人間ではない何ものかの権化みたいになっていて、
暴発する感情それ自体が憑依して実体化したようなだ。
聞く人の首根っこ捕まえて地べたを引きずり回すような音。
泣きながら、「だって人間ってそういうもんだろう!!??」
「あの娘のことが好きなんだよう!!」とむせび泣きながら。
ここまで無防備で無軌道に裸の己を差し出すことのできるのは立派なものである。
日本語ロックの魅力の1つとして「不器用だけど、ひたむき」というのがある。
ブルーハーツに始まり確固たるジャンルの1つとして確立している。
(最近ではサンボマスターがそう。「サンボマスターは君に語りかける」もいいアルバムだった)
GOING STEADY / 銀杏BOYZ でこれはその頂点を極められた。
峯田和伸は10年に1人の逸材であるように僕は思う。
2枚のアルバムの中では
「青春時代」「若者たち」「夜王子と月の姫」
「惑星基地ベオウルフ」「銀河鉄道の夜」「駆け抜けて青春」
などなど GOING STEADY の曲も再演されているが、
これはオリジナルの方がよかった。
つたない方が絶対伝わる曲たちだし。
というか轟音になっただけで完コピだという辺りが笑える。
なんにせよ聞いて思ったのは
いくらリアルな爆音がCDの中にとどめられたところで
これは家で部屋で1人聞くものではないのだなということ。
ライブで聞かなければ意味の無いもの。
ステージの上ででたらめな演奏をしているメンバーたちを前にして
同じように鬱屈した気持ちを抱えている若者たちにもまれながら聞くべきもの。
とにかくライブを見なければ。