初めての京都 その7(2日目・京都タワー)

食後は来た道を引き換えして、烏丸通へ。地下鉄に乗って京都駅へ。
2時過ぎ。京都駅に降り立ったときから気になっていたと言っていい京都タワーに上がってみる。
「ミーツ」の世界遺産の方ではみうらじゅんが「勝手に世界遺産」というタイトルで
京都の「裏」名所を紹介している。そのページにも登場していた。
入場券を買ってエレベーターへ。マジで雰囲気が東京タワーそっくり。
エレベーターガールがそこそこ美人なんだけど実はそんな美人ではないという
そのそこそこさ加減が瓜二つ。
その彼女たちの着ている奇妙な色使いの派手な制服。
お土産屋の儲かってなさそうな雰囲気。
そこにいるおばさんたちの昭和に取り残されたかのような佇まい。
レストランの見本のそそらなさ(ベタッとしたプラスチックが色あせている)。
展望台では当事者以外どうでもよさそうな催し物をやっている。などなど。
でも僕としては展望台ってのが好きなんで「まあ、どうでもいいや」と。
一回りして京都の町を一望する。一周するのに30秒もかからない小ささ。
今でこそ寂れているがオープン当初の夏休みなんて
入りきれなくて行列できてたんだろうな。
昭和の子供たちのソワソワした様子が目に浮かぶ。
ジンに昨日聞いたら、できたのはそんなに古いことではなくて、
最初は建設に対して反対運動もあったとのこと。
四方八方どこを見てもびっしりと建物で埋まっていて、
大都市なんだなあと意外な気持ちにさせられる。意外と言うと変だけど。
タワーの地下3階は大浴場になっているそうで、
入場券を持っていると割引になると書かれていた。
温泉に入って残りの時間をゆっくり過ごしたかったが、これもまた別な機会に。


展望台には手相占いってのがあって、
占い師が見てくれるのではなくて機械の上に手を置いたら
コピー機のように光の線が横に走って手相を読み取って診断してくれるというもの。
みんながやってるので、300円という安さもあって僕もやってみた。
結果がプリントアウトされる。
京都タワー 展望記念 ’05.2」とある。
レイアウトの古さから言ってこれこそ昭和だろう。
気になる診断結果はと言うと

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アナタハ シンチョウデ ナニゴトモ ヨクカンガエテ コウドウスルタイプナノデ
トモダチ カラノ シンヨウハ アツイ ヒトデス。 マタ ユメヲ モチ カワッタ コトニ
カンシンモ ツヨイガ イシガ ヨワク ジッコウリョクニ カケル トコロガミラレル。
ゲンジツヲ ヨクワキマエ セッキョクテキ イヨクヲ モッテ コウドウ スルコトガ
ヒツヨウデス。
     ・・・ アドバイス ・・・
カンガエブカク ユメヲ モトメル ヒトデスガ ゲンジツニハ ナニゴトモ ケ
イカクダオレニ ナル ケイコウデス。モクテキヲ シボッテ ヒトツヒトツ ヤリトゲ
ル ジッツコウリョクヲ ミニツケル ヒツヨウガ アリマス。 ショウライハ キカクメンヤ
エンジニヤ カンケイニ ムイタ ヒトデス。 ウンセイハ イッパンテキデ ドリョクヲ
ヒツヨウトスル。

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機械にカタカナで「ケイカクダオレ」なんて言われ、脱力する。
でもまあ合ってんじゃないかな。僕が思う僕としては。


その後の残りの時間を駅ビルで過ごす。
手塚治虫ワールドなるものがあって、行ってみる。
京都劇場にくっついていて手塚アニメの上映を行う場所のようだ。
今この時期は「ブラックジャック
雑誌で有名漫画家が持ち回りでリメイクしてたりして最近また話題になっている。
アニメはまあ見なくていいかと思い、グッズ販売のコーナーだけ入る。
小さい頃からの「ブラックジャック」ファンである僕としては
(↑もちろん家には全巻揃っている)
何か買わずには入られなくなり、クリアファイルを2種類、
漫画のコマをコラージュしたものとピノコ単体のものを買う。


京都駅は10階建て。エスカレーターと階段で斜めにどこまでも上がっていくとやがて屋上に出る。
建物の中にはものすごく大きな吹き抜けがあってそのまま外に出られるなんて、斬新な設計だ。
建築物としてスケールが大きい。これはこれで京都の新しい名所かもしれない。
下から見上げるとはるか前方の頭上に空が見える。
そのどこまでも伸びたエスカレーターの各階ごとに
「JR京都伊勢丹」の中に入っていけるようになっている。
ここの伊勢丹は斜めに作られているのだろうか?
屋上まで入ってみる。雪は上がって青空となり、眺めがいい。遊んでいる親子連れがちらほらといた。


大家さんと会社の人たちへのお土産にお茶の団子を買う。
「よーじや」のあぶらとり紙がお土産として有名な感じだったので
帰りに買って帰ろうと来たとき思ったのだが、思いっきり忘れた。


新幹線の中でビールを飲みつつ
ブラックジャック」が読みたくなって駅ビルの中にあった三省堂に入る。
新装版のブラックジャック秋田書店から出ていた。
これを買って読んでもいいんだけど、家には同じのがあるかと思うとためらわれる。
その後 AVNATI という駅の近くのデパート(?)に入ったとき、
6階に大きな本屋があってそこで手塚治虫の恐怖短編集ってのがあって全7冊のうちの2冊を買った。
AVANTI の中には中古CD屋があって、「おーいいね」とCDを物色。
幸か不幸か欲しくなったものはなし。


コインロッカーから鞄を取り出して新幹線の改札をくぐる。
キオスクで「富士山」ビールを探すが見つからない。
京都駅には無いのだろうか?
夕飯代わりに炙った鯖の寿司を買う。
新幹線に乗り込んでさっそくビールを開ける。
手塚治虫の短編集を読む。満ちたりた気持ちになる。
余りの気持ちよさに名古屋過ぎた辺りから新横浜までうたたね。
隣に座っていた親子は息子が大学に受かって
その手続きをした後だと言うのがその会話からわかった。
眼鏡をかけたおとなしそうな息子はずっと、
新大学生向けの生活マニュアルみたいなものを熱心に読みながらコーラを飲んでいた。


東京駅について中央線に乗る。荻窪駅に着いて家に帰ってくる。
考えてみると結局のところ京都には24時間もいなかったことになる。
飲んでたのは5時間ぐらいで、1人で観光していたのも5時間ぐらい。
それだけなのに強い印象を残している。
また行きたいなあと思う。


僕の中で京都と言って真っ先に思い浮かぶのはボ・ガンボス
頭の中でずっとその曲が流れていた。「ダイナマイトに火をつけろ」とか。
ボ・ガンボスがなぜゆえにあのようにユニークな音楽性をもち、
なぜゆえに鉄壁の演奏力を兼ね備えたか。
その根っこにあるものは京都という土地柄にあったのではないか。
深い理由は無いんだけどそんなふうに思った。
ボ・ガンボスを聞きたくて聞きたくてたまらなくなって、
この前出たばかりのシングル集を聞いた。