本を出します その11

再校ゲラが届いて、月曜は1日部屋に閉じこもってそのチェックを行う。
作者による原稿の手直しはこれが最後。
初稿のゲラの確認と文章の修正の時には
編集サイドからもたくさん赤が入って僕の方もたくさん直しを入れたのであるが、
今回はそういうのもぐっと少なくなる。
文章としては完成形に近付いている。


初校のときにも再校のときもそうなんだけど、編集の方からは
大幅に加筆・修正された場合は発売日の変更や追加料金の発生することがあります、
と太文字で注意書きがなされている。
たぶん「大幅に加筆・修正」をしたがる人が世の中には多いんだろうな。
このエピソードのことを思い出したのでどうしても書き加えたいとか
小説だったら結末を変えたいとかそういうの。
僕の中で今回の旅行記は既に「過去のもの」であるため
僕自身は「これはこれ」とあっさり割り切ってしまっている。
よほど文章が変じゃない限り、手直しする気はない。直したのは文体だけ。
編集側で求められた場合のみ、情報を足したり引いたりしてみた。


「過去のもの」という言い方をしていると思い入れが無いみたいだけど、
もちろんそんなわけではなく。
2004年6月に書いた文章であるならば、
2004年6月に感じたこと・思ったものをそのままの形で残しておきたいというだけ。
そのとき思い出せなくて書けなかったことってのは
結局僕にとって大事なことではないのだから、
今になってどうこうしようとしてもあんまり意味が無い。
ただ、文章がおかしい箇所はたくさんあったから
それはもっと推敲してから出したかったとは思う。
(可能ならば前半部分は全部書き直したい)


今回の旅行記の文章は僕の中では下手な部類に入るので実はかなり恥ずかしい。
周りの人たちは「そんなことないよ」って言ってくれるんだろうけど。
こういうのって作者にしか分からない細部みたいなもんなのかな。


印刷所にはこの前の表紙が入稿されているようなので
今週にはその見本が届くことになっている。
発売日まで2ヶ月を切った。
じたばたしても仕方がないんだけど、じたばたする必要は無いんだけど、
いまなんとなくじたばたしたい気持ち。