青森帰省1日目②

青森駅到着。ボストンバッグを駅のコインロッカーに預ける。まっすぐ家には帰らない。
「味の札幌」でいつものように味噌カレー牛乳ラーメンを食べる。
うまい。なんであんなにうまいんだろう。


「味の札幌」は以前「ブックサプライ」があったところに移転していた。
「ブックサプライ」は昔僕が高校時代からよく足を運んだ古本屋で、
割とたくさん中古CDが置いてあったので大学生になっても会社員になっても
帰省するたびに必ず1度は立ち寄った。
典型的な店員が値段を分からないでつけている店で、
青森であんまり有名でなかったりすると半端じゃなく安かった。
Flipper's Guitar の「ヘッド博士の世界塔」を600円で買った。
Underground Resistance の初期の曲の入った「Remix」のコンピレーションもだいたいそんな値段で買った。
その反面河村隆一や福山雅治なんかだと高くなる。
Foetus, KMFDM, PIG など インダストリアル系のCDを買っては売ってる人が
なぜか青森のこの辺にいるようでそういうののいくつかは僕のところに流れた。
その「ブックサプライ」もここ1・2年のうちのどこかの帰省のときに閉店していた。


ラーメンを食べ終わった後、これまたいつもの床屋へ。
待っている間、実に1年1ヶ月前に読んだ「美味しんぼ」の続きを読む。
カレー編を読み終わってラーメン編に移る。
(僕の中で手塚治虫フィーヴァーが終わったら次は「美味しんぼ」になりそうだ)
「あの、今度、本を出すことになって・・・」とカバンから本を取り出して渡す。
いきなりのことだったので驚かれる。そりゃそうだよな。


髪を切った後は夜店通りの古着屋巡り。またしても店がいくつか入れ替わっていた。
平日だったので高校生の姿はなく、高校卒業後1・2年ぐらいして
どこかで働いている茶髪の若者が彼女を連れて買い物、そういう光景が目立った。
僕はあちこちの店に入ってめぼしいものをピックアップした後で
もう1度それらの店に戻って試着して買った。夏に着る半袖のシャツや長袖のシャツなど。
もうここ何年か東京で服を買うことはめっきり少なくなって
青森に帰省したときにまとめて買っている。
東京の休日にて服を買うためだけにどこかに出かけるということがなくなった。
着るものに興味がなくなったのではなくて、
若い頃なら、学生時代なら、どこかの街に出かけて半日かけて
あれこれの店に入って結局何も買わないことになってもなんてことはなかったが、
今だとそういうのって億劫なんだよな。
(なんかこういう話、青森に帰るたびに書いてるような気がする)


「CONVOY」へ。
カーゴパンツを買うつもりでいた。あるいはジーパンでいいのがあったらそれでもいいかと。
最近はジーパンもここでしか買わなくなっている。
店員に「REPLAY」穿いてますねと言われて、ここで買ったものなんですという話になる。
あれこれ薦められてカーゴパンツを1本買う。
本当は灰色とカーキ色の中間のような微妙な色合いのジーパンでとてもいいのがあったのだが、
大きなサイズしか残ってなくて諦める。


前にも書いたかもしれないが、青森にも「A BATHING APE」がある。
買える人・買って着る人がいるのは驚きである。
(着たところで大方周りの人はわからないのではないか)


AUGA のパラダイス・レコードにて中古CDを買おうと思って行ってみたら
残念なことに店がなくなっていた。
青森にしては珍しくマニアックなのも売ってたのにな。
だからお客さんの入りも悪く、
いつ行っても若者向けの派手なファッション・ビルの一角とは思えないぐらい閑散としていた。
僕はたまに帰省するたびにここでごっそりCDを買っていた。
いろんな掘り出し物をここで見つけた。Peter Ivers の国内盤だとか。
ソフトロック、ガレージパンク、などきちんとジャンル分けされていて
扱われている商品が東京と遜色ない。
僕みたいな客がたくさんいたらよかったんだろうけどねえ。
1年に1度か2度訪れてみては時間をかけて棚を眺め、たくさん買っていく。
普段住んでる場所じゃないからちょくちょく来ることはできない。
前回買おうと思ったけどやめたのが半年後にもまだ売れ残ってたりして
「ああ、まだこれあったのか!」なんて再会があったりして。
こういうのってとても楽しい。
そういう楽しみがなくなって青森に戻ってくる理由がまた1つ消えてしまった。
それにしても「ブックサプライ」もなくなって
この辺の人たちは今後どこに中古CDを売るのだろう?ブックオフ
ああ「お宝物」がどこかに眠ってるかと思うともどかしい気持ちになる。


AUGA ではアルフォンス・ミュシャ展が今日からちょうど4日間で開催されていた。
へー青森にミュシャ?と思う。しかも入場無料。絵葉書までくれる。
なんか怪しいんだけどとりあえず行ってみる。
受付でアンケートを書かされる。住んでる場所だとか何でこの展示会を知ったかとか。
あと、好きな画家。クリスチャン・ラッセンだとかヒロ・ヤマガタの名前が並んでいる。
「しまった、あの会社か」と思う。
ミュシャのオリジナルのリトグラフや絵葉書や、雑誌の切抜きが並んでいる。
そういう意味では本物。でも見てるとあれこれ話し掛けてくる。
男性の係員のあと、女性の係員が入れ替わり立ち代わり。
がっちりキャッチしたら逃したくないようだ。
ミュシャに興味がおありですかと聞かれて、「ええ、まあ」と答える。
東京でついこの間展覧会があったけど僕は見に行けなかった。
(このときのポスターを見たら、多くの人が「あれか」と思うはず)
余りにもフレンドリーに気さくに、あれこれ話し掛けてくるので答えないわけにもいかなくなる。
(↑どっちかというと宗教団体のようだ)
東京に住んでて、見に行きたくても見に行けなくて、
今たまたま帰省して見かけたので入ったみたいなことを僕は話す。
デザイン関係の仕事ですか?と聞かれて全然関係のないIT関係だと僕は答える。
ミュシャの好きな人はグラフィックデザインの人だったり、漫画家の卵だったり、
ゲーム業界のデザイナーだったりとそういう専門的な職業の人の傾向が高いのだという。
どれか気に入ったのはありますか?と聞かれて、適当に「あれ」とか「どれもいいですね」と答える。
買わせようという気なのだろうか?
オリジナルのリトグラフはどれも80万から100万ぐらいした。
「ローンを組んだら」買えなくもない額。長居したら買わせようとするのだろうな。
ま、裕福になったらミュシャの小さなリトグラフは欲しいところではあるが。


東京ではこういう展示会にいらっしゃることはありますか?
どういうのを見ますか?例えばラッセンは見ますか?
・・・げんなりしてくる。
僕はラッセンを飾っている会社は信用しない、仕事したくないとすら思っているため
その僕が自分でラッセンを買うことなどありえない。金もらっても自分の部屋に飾りたくない。
「東京に住んでらっしゃるのなら、あれこれ足を運ばれてらっしゃるんでしょうね。
 どういうのがよかったですか?」と聞かれて、
例えばジョージア・オキーフとか答えようものなら話が長くなりそうなので
というかさらに長い話をまくし立てられそうなので、
ピカソとかですかねえ」みたいなことを答える。
この機会にリトグラフを作成する機器の体験がどうのこうのと引っ張り込まれそうになったので
「すいません。電車の時間が近付いているんで。2時間に1本なんです」
みたいな適当なことを言ってほうほうの体で会場を後にする。
青森では1枚でも売れるのだろうか?
というか本当にあれはオリジナルなのだろうか?
疑い出したらキリがない。


駅ビル LOVINA の新星堂に入ったら、今青森で話題の「マニ★ラバ」のCDが売られていた。
yahoo ニュースで取り上げられていたのだが、
青森ではもう長いことベストセラーの1位なのだという。
30日には東京に進出する前の故郷出発ライブを行う。場所はなんとアスパム
青森市内の工業高校出身。「あー、あそこか」と思う。
中学の同級生も何人かそこに進学した。


夕方になり、バスに乗って家に帰る。
1年1ヶ月ぶりの家。
洗面所には僕のコップが用意され、僕の歯ブラシがそこに立てかけられていた。