ケンの奥さんの芝居の稽古を見に行く

先日青森に帰省してケンと津軽半島を回って僕の家に泊まったとき、
夜飲みながらいろいろな話をした。
その中でケンの新婚の奥さんが演出する芝居のことが出てきた。
5月の6日(金)・7日(土)・8日(日)に西荻窪の「ガザビ」という場所で
タイトルは「蜘蛛」
http://homepage3.nifty.com/gazavie
こんなふうなことが書かれている。
「実在した連続殺人鬼ペーター・キュルテンの記録を元に、その男の像を描く」
「昭和二十年代、終戦直後の東京。通り過ぎる雑踏の中で男はただ女を愛した」
まあ、これだけではどんなだかよくわからんのだけど
隣の駅だしゴールデンウィークだし、見に行ってみようと思う。
ケンとは8日の昼の会にするかということに決まる。
ちなみにペーター・キュルテンって手塚治虫が漫画に描いてますよね。


ケンはゴールデンウィーク後半に東京に行くようで、
そのときに公演前の練習に顔を出すという。
「ああそういうの興味あるなあ、見てみたいなあ」と思い、
くっついていくことにする。4日(水)の夜に行ってきた。
高校時代は演劇部。
大学時代は早稲田の劇団の手伝いをしたこともあった。
ああいう現場の雰囲気を久し振りに覗いてみたくなった。


4日は夕方、新宿のツタヤでDVDを借りた。
会員証の期限が切れるため、更新を兼ねて毎年この時期借りに行く。
ゴールデンウィークで時間があってたくさん見れる時期だしちょうどいい。
今回借りたのは「猟奇的な彼女」「カレンダー・ガールズ」ソダーバーグの「ソラリス
ここ何年か劇場で見逃したもの。


19時に西荻窪駅待ち合わせ。そのまま北口にある公演会場へと向かう。
2日前なので、会場入りして通しのリハや照明や音響の合わせを行っているようだ。
行ってみたらまさに照明の段取りの真っ最中。
「そこでサスを入れて」「これぐらいでいいですか?」
舞台前方に立つ役者にライトが当たる。
「もうちょっと弱くなんない?」「でも前のシーンで似たのやりましたよ?」
というような感じ。
あと1時間はかかると言われて、じゃあメシでも食うかといったん外に出る。


僕は西荻窪にそんな詳しいわけではなく、適当に歩いているうちに駅前に出る。
商店街から路地裏に入るとやけににぎやかな焼き鳥屋があって
客がびっちり入っていて煙がもうもうとたちこめている。
「すげー」と思ってここにする。
西荻窪名物なんだろうな。「戎」という店。
焼き鳥が1串90円でとにかく安い。
店員も客の注文を聞いたりジョッキを運んだりでとにかく忙しい。
カウンターに座ってると絶えずぶつかってくる。
店長と思われるおやじが常に怒鳴っている。
「おい、注文取ったのかよ」
もちろん店員たちも声張り上げっぱなし。もちろん注文や連絡事項は全員唱和。
「ハツなくなりましたぁ!!」「ハツなくなりましたぁ!」「ハツなくなりましたぁ!」
いいですね。こういう焼き鳥屋。
荻窪駅にも北口に「鳥もと」という似たような気になる焼き鳥屋があるが、
もう長いこと住んでても入ったことがない。
1人じゃさすがにこういうところは入れない。
(そもそも僕はこういう飲み屋だろうとバーだろうとスナックだろうと1人で入れない性分)
みんなが頼むので「ピリ辛コンニャク」と「マカロニサラダ」を僕らも頼んでみた。
値段が安いのでそれなりの味なのだが、
こういう繁盛していて景気のいい店で食べて飲んでるとなんだかおいしく感じられた。
それぞれビールを大ジョッキで3杯、小ジョッキで1杯飲む。
(この店には生中というものがない)
かなり酔っ払う。ずっと青森の話をしていた。
今日は何しに西荻窪まで来たのか、趣旨を見失う。2時間飲んでた。


劇場に戻る。
驚いたことに(驚くことでもないか)まだ照明の合わせが続いていた。でも、かなり最後の方。
「4時間押してます」とのこと。
「では58番のキューで奥に当てて」というのをずっとやってる。
そのたびに役者が所定の位置に入って。大変だ。
僕とケンはそれを1時間ほど見学する。何気に最終シーンを見てしまった。
この日はこれだけで終わってしまう。
ゲネプロ(照明・音響も入った最終リハ)前の通しの稽古は明日に回されることになった。
「明日1日しかなくてうまくいくのだろうか」なんて心配してしまう。
IT業界だとリリース2日前にこういう状態ならば
上司に怒鳴られるわお客さんも切れるわでリリース延期になるけどなー。
でもなんとかなっちゃうんだよな。演劇もシステム開発も。


久々に現場の空気を吸うのはいいもんだった。
客席後方には照明の卓が後ろにあって音響もその隣に。
テーブルの上には様々な飲みかけのペットボトルや食べかけのお菓子が散乱している。
かなり修羅場。


この公演のため、新婚でせっかくのゴールデンウィークだというのに
ケンと奥さんは全然顔を合わせる機会なし。
奥さんは舞台のことで頭がいっぱいのようだ。。。


うまく行くことを祈っとります。
(と言っても最終日だが)