宇都宮餃子ツアー 3/4

「2軒目行くべし」と店の外に出る。
すぐ近くなので「正嗣 宮島本店」に行ってみたらとんでもない長さの行列ができていて
やられた!と思う。並んどけばよかった。
「正嗣」は夜にして、僕のリクエストで「輝楽」へ行く。
ちょっと行列ができていて中に入るまでしばらく待つ。
うまいことカウンターの席が6つ空く。並んで座る。
かなり年季の入ったカウンター。壁も、テーブルも、椅子も。
何もかもが不揃いで、商店街が不要になったのを譲り受けたのではないかと思われる。
そしてそれが、もしかしたら何十年も使われてるのかもしれない?
と思うぐらいどこもかしこも中華料理の油で真っ黒くなっていた。
もちろん厨房の中も相当年季が入っている。
これで繁盛しているのだからまずいわけがない。
店と同じぐらい年季の入った店主と思われるおじいさんが餃子を焼き、チャーハンを作り、
ものすごく小柄なおばあさんが麺を茹でる。
僕は名物の水餃子と焼き餃子、それに誰かがおいしそうだと言ったのでタンメンも注文する。
さっき餃子にライスにビールを食べたばかりで腹いっぱいなのに。


すぐにも焼き餃子が出てくる。
野菜のたくさん入った柔らかな餃子がこんがりきつね色になっている。
僕的にはシンフーの餃子よりもこっちの方が好き。
誠実で丁寧な味わいがあったから。
(シンフーが誠実さや丁寧さに欠けるというわけではもちろんない)
餃子が餃子であって、それ以上そこには足すものも引くものもないという
シンプルかつ、奥行きのある味わい。これなら毎日食べられる。
水餃子が400円、焼き餃子が280円、タンメンが450円。安い。
たくさん食べて1000円ちょっと。
他には野菜炒めライスや広東面や普通のラーメンもあった。
どうしてこういう大衆食堂が他にはないんだろう?


少し遅れて出てきたのが水餃子。これがまた絶品。
基本的なスープはタンメンと一緒か。多少薄口になっている。
最初はそのスープの味だけで餃子を食べ、次の餃子は焼き餃子のタレで食べて、
最後はスープの中にラー油を小匙一杯と酢を同じぐらい、醤油を数滴入れて食べる。
(↑カウンターにそうやって食べるとおいしいと貼り紙してあった)
うまい!!
タンメンも食べて腹いっぱいなのに全て飲み干してしまった。
味の決め手はラー油なのかな。
この日入ったどの店もラー油の入った小さな壷の中に唐辛子の粒がたっくさん沈んでいる。
これをすくって、小皿の中に入れる。
どの店も餃子そのものはもちろん、ラー油にも独自のこだわり・製法があるのではないか?


「輝楽」また訪れて食べたい味である。


2時半頃になる。もう何もする気になれず。
どこかを見て回るぐらいなら休みたいという意見が多くなる。
その一方で腹ごなしにボーリングをしてもいいかなあという案も出てきて
自転車で通り掛かった警官に聞いてみたところ
あることはあるが駅の反対側まで歩いていくことになり、
かなり遠いということがわかって断念する。
そう言えば「輝楽」まで来る途中に小さな丘があって、
そこに神社があったなあということを思い出し、まずはそこへ行くことにする。


交差点に差し掛かったところで春木屋という大福屋を見かける。
後輩の1人が、以前宇都宮に来たときにここで買って食べたという。
店先を覗いてみる。
ここはどうもジャンボ大福というのが有名なようで(残念なことに売り切れで実物は見れず)、
注文があればさらに大きな超ジャンボ大福も作るという。
ジャンボドラ焼きは直径20cmはあっただろうか。
甘い物好きな後輩たちが小物を買ってその場で食べる。
僕は「黒カレー」の持ち帰り用ルーというのに目がいく。
隣に喫茶店があって、ショーケースにカレーも並んでいるのだが、ルーが真っ黒。
なんか気になって1つ買ってしまう。530円と割と高い。
次の日食べてみたら結構おいしかった。
苦味のある癖のある味が評価の分かれるところと思われるが、僕はおいしいと思う。
このルーの色は黒ゴマによるものか。


神社の階段を上っていく。
二荒山神社。なんとなく風が涼しくなったように感じられる。
観光地として割とポピュラーなようで大勢の観光客が拝観していた。
僕らはそのまま通り過ぎて別の出口から丘を下りていく。
しばらく歩いて、八幡山公園へ。
ツツジ撮影会」と立て看板が入口に立っている。
中に入るとピンク色のツツジがあちこちに咲いている。
こちらもまた小高い丘になっていて、階段を上っていく。
上っていった先には屋台が並んでいた。
「みんみん」も店を出していたが、その日の販売を終了した直後のようで片付けに入っていた。
もう腹いっぱい、食えない、と思っていたのに食い意地が張っている僕は
ついついアイスクリームを見つけると「あー冷たいもの食べたい」と1コ買ってしまう。


丘の端にアドベンチャーブリッジという吊り橋がかけられていて、
道路を挟んで向かい側のもう1つの丘に渡ることができる。
橋へと向かう途中の階段に腰を下ろすとみんな疲れ切って立ち上がれなくなる。
僕は元気のある後輩の1人と吊り橋を渡り、子供用の遊園地をブラブラ歩き回る。
広場の端から端まで渡されたロープに滑車がくっついていて、
捕まって向かい側までガラガラガラと勢いよく移動する、
こういう遊び場ではよく見かける例のやつを僕らは子供たちに混じって楽しむ。
その後滑り台、板ではなくてアルミかなんかの細い円柱がゴロゴロ回転することで
滑りをよくしたタイプの滑り台に乗った。


吊り橋を戻る。
みんなはまだ疲れきってぐったりと座り込んでいる。
腹ごなしをしないことにはどうしようもない僕は1人公園内にある宇都宮タワーを上る。
いわゆるテレビ搭。でもそんなに高くない。
300円払って入場券を買ってエレベータに乗るんだけど
30階とかそういう高さにはならず2階までしかない。
展望台には「日本一の地平線の町宇都宮」と書かれていて、笑ってしまう。
こんなの言ったもん勝ちじゃん!
よく言えば、目の付け所がうまい。
宇都宮は四方を山に囲まれてはいるが、基本的に平野のようだ。
確かに方角によっては遠くに地平線が見える。
360度見渡してみるがこれと言ってみるものはなし。
典型的な地方都市のようだ、宇都宮は。