コード化、情報量、ネーミングルール

5月頭より、とある成長著しい勢いのある会社に常駐している。
オフィスは丸の内、東京国際フォーラムの裏のビル街の中にある。
ロの字型のフロアが細かく区切られてその中に企業がテナントとして入っている。
その区切られた中の1つの大部屋が
顧客の本社の会議室ルームということになっていて、
その中の最も大きな空間の1つを何ヶ月か借りきって仕事をしている。
会議室ルームには大小様々なミーティングスペースがあって、
それぞれ「丸6左4橙」「丸6右8緑」などと名前が付けられている。
(そんで僕らのいる部屋は「丸6右12」となっている)
ここで働き始めてからすぐ、「名前を表わしている」ということはわかったが
どういう意味なのかまでは完全に把握できなかった。


・「右」「左」は会議室ルームの入口から見たときの、そのミーティングスペースの位置を示す
・右端の「色」はそのミーティングスペースに設置された椅子やテーブルの色を示す
・その隣の数字は椅子の数を表わす


ここまではピンと来た。
だけど最初の2桁「丸6」がわからない。
どの会議室も固定で「丸6」で始まっているというところに着目したらすぐにわかったんだけど、
僕はずっとこの「丸」は椅子やテーブルの形のことなのではないかと思っていた。


正解は「丸の内の6階」ということになる。


この5桁のコードの意味がわかったとき、「はー、頭いいなあ」と感心させられた。
さすがは勢いのあるベンチャーだ。


普通会議室の名称なんてものは「5−3」などと付けられて
5階の3番会議室ってことなんだろうけど味も素っ気もない。
というか5階はよくても、3番目って何?どこ?何の3番目?ということになる。
その会議室を使い慣れてる人で無い限り具体的なイメージが湧かない。
しかも、仮に新宿と代々木にオフィスがあった場合、
「今日の会議は5−3です」
「どっちの?」
「新宿の方の5−3です」
というような会話になりかねない。なんか意味が無い。
つまり、全社標準的なコード化がなされてなくて
ネーミングが曖昧なものだったりする。
まあどの企業もこういう場合
「新宿の5−3」「代々木の5−3」と無意識のうちに使い分けて
暗黙的に、慣習的にコード化がなされてるんだろうけど。


「丸6左4橙」というふうに付けられていると
全体の中での位置関係の定義があり、それが細分化されていくことになる。
もっと特筆すべきはそれぞれのミーティングスペースの区別が
椅子の数や色でなされていることであって、
視覚で訴えるものをコード化していると普通とてもイメージしやすい。
感覚的に「あー、あれか」となる。
(1度行ってみないことにはどの部屋のことなのかわからないという欠点はあるが)


「頭のよさ」と一口に言ってもいろんなものがあるけど、
その1つとして例えばこういうことが成り立つと思う。
「大量の情報をコンパクトな形に圧縮し、受け手側にスムーズに伝達できること」
冗長なのは困る。
かと言ってなんでもかんでもコード化して短縮して詰め込めばいいってものでもない。
瞬時に理解できてこそ、意味のあるものになる。
その辺のバランス感覚の良さを僕は「丸6左4橙」のケースに感じた。


日々いろんな企業と接していく中で
こういう観点に限らず何らかの形で「やるなー」と感心させられたとき、
その企業からは多くを学んでみたいという気持ちになる。


今日は単に会議室のネーミングルールの話ってことになるんだけど
こういう工夫って案外どこでもやってんのかな。
うちの会社だけか?「5−3」なんて言ってるのは。

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話は全然変わるが、
同じフロアの別の会社では女子社員はみんな一昔前の事務職っぽい制服。


いい。とてもいい。