僕の音楽遍歴 その6(中学校3年)

どういうきっかけなのかは覚えてないが、ビートルズを聞き始める。
英語の授業に役立つからなのかもしれないし、
洋楽を聞くということがかっこいいことに感じられたからかもしれない。


中1か中2の冬休みに「Past Masters」の Volume 1 , Volume 2
2巻組のテープを買ったのが最初。
でも最初のうちは聞かなかった。よくわからなかった。
そもそも英語の歌を聞くという行為の意味が。
それがある日突然ピンと来て、本格的に聞き始める。
本格的と言うとまああれだけど、要するに休みの日は一日中聞いてるような状態である。
中3から高1ぐらいにかけてがピークで、高3までは普通にヘビーローテーションだった。
どれだけ洋楽にのめりこんで詳しくなっていっても、1番はビートルズだった。


「Past Masters」を繰り返し聞いてた時期があって、それが物足りなくなってくると
中3ぐらい(89年ごろ?)には青森市内にもCDレンタルの店が増え始めたということもあって
アルバムをちょこちょこ借りてきてはテープにダビングするということを繰り返した。
受験も終わって合格してという春休みに
それまで聞いてないやつをまとめて借りてきて、全部揃った。
その中には62年のデビューの前の音源なんてのも入っていた。
最初の頃は何がオリジナルのアルバムだったのかがよくわかっていなかった。


たぶん中3のことだったのではないかと思うが、ひたすらビートルズについて学習した。
シンコー・ミュージックから出ているビートルズ関係の文庫を買っては読む毎日だった。
歴史や音楽観や発言やその他いろんな物事について。
青森市で手に入りそうなものは片っ端から吸収していった。
今となってはいろんなことを忘れてしまっているが、
当時はいっぱしのビートルズ博士の気分だった。

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それまでブルーハーツばかり聞いていてパンクな思想が身につき始めていた
僕はもちろんジョン・レノンに憧れた。
反抗的で、拗ねたところがあって、孤独で、普遍的な愛を求めていて。
ビートルズの曲の中でも、ジョンの曲ばかり好きになった。
ポールの曲は出来過ぎというか技巧的で、一言で言うと甘すぎた。
ジョンの曲は天賦の才能に導かれて作っているようなところがあって、
剥き出しの魂が込められているように感じられた。
後期で言えば「Revolution」「Don't Let Me Down」「Across The Universe」といった辺りだ。
(今では中期の「Day Tripper」「Girl」「Paperback Writer」の方に天才を感じる)
人間という未完成な存在が、神様に近付くためにもがいている、そんな印象を僕は受けた。


ジョン・レノンが死んだ日のことをなぜか僕は覚えている。
僕はまだ5歳で、幼稚園に通っていた。
テレビではずっとその暗殺事件について語っているか、
ビートルズの歴史を辿ってジョンの曲を流していた。
大勢の外国人がブラウン管の向こうで大声で泣いていた。
政治家とは別の、何か大事な人が死んでしまったんだなということが子供心に伝わってきた。


僕がその後ビートルズを後追いで聞き始めた頃には、神様は死んでしまっていた。

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高校生だったときに洋楽を聞いていた人ならば誰もがやるように、
僕もテープの編集ばかりしていた。
ビートルズのテープは死ぬほど作った。自分の好きな曲ばかり集めたやつの。
いつ作ったとしてもこういった曲が入る。思いつくままに上げてみる。
「Dear Prudence」「A Day in the Life」「Here, There, And Everywhere」
「Hello Goodbye」「Let It Be」「I Feel Fine」「Yes, It Is」「Help !」
「Something」「We Can Work It Out」「Sexy Sadie」「Julia」「Till There Was You」
「No Reply」「All I've Got To Do 」「Two Of Us」「I Want You」「Come Together」


1番好きな曲は「A Day in the Life」で、その次は「Dear Prudence」かなあ。
これは高校のときからほぼ変わらない。
「A Day in the Life」はもっとランクが低くて、
20代後半になってからかな。僕の心の中で No.1 になったのは。
中学生の時は「We Can Work It Out」が1番だった。今ではそれほど魅力を感じないけど。


「Yesterday」や「Hey Jude」といった定番は元からあんまり好きではない。


好きなアルバムで言えばいろんな変遷を経て、今では「Let It Be」だ。

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高校生までで余りにも聞きすぎたために、大学に入ってからは全然聞かなくなった。
今もほとんどというか全く聞かない。
嫌いになったかというとそういうわけではない。
結局のところ、ロック50年の歴史の中で最も偉大なグループはというとビートルズなのは間違いない。
いつかまた僕もビートルズに戻っていくのだと思う。
そしてまたテープを作るんじゃないかな。
そのときにはMDかCD−Rか、なんになってるかわからないけど。


それにしてもいつかビートルズのアルバムを全部揃えようと思っているのだが
(実は全部持ってなかったりする)
いつかデジタル・リマスターされるはずと踏んでいるのでずっと買わずにいる。
Beatles 1」はデジタル・リマスターされた曲が収録されているので、
残りの曲全部もデジタル・リマスタリングされているのではないか。
それとも今現時点でもイギリスのどこかで延々と作業が続けられているのか。

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あと、よく書いてる話として、
「Anthology」も「Live at the BBC」も「Let It Be Naked」もみんな出る度に買ってたけど、
どれも1度聞いておしまい。何回も聞くものではないな。
「税金」だと思って毎回買ってる。


高校生の頃、青森市で手に入るビートルズのブートレッグを買い漁った時期がある。
正直に告白するけど、万引きすらした。
ほとんどがデモを集めたもの。主に「ULTRA RARE TRAX」のシリーズ。
「Swingin' Pigs」とかいうレーベルのもので
サングラスをして葉巻を吸ってる豚のイラストが描かれていた。
観客の声しか聞こえない、武道館公演のやつも買った。


ビートルズについて語りだすと、
特にアルバム1枚1枚のそれぞれの曲の話になると長いから、
とりあえず今日はこの辺で。

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ちなみに、ストーンズ
中学・高校の時には何がいいのかさっぱり分からなかった。
そのよさが分かり始めたのは20代に入ってからだ。
ゴダールの「One Plus One」を見たりとか、そんなんで
今では断然ストーンズの方がいい。
あのダーティーでセクシーでワイルドで、だけど寂しがり屋で、
その裏返しでそっけなくてぶっきらぼうな感じ。たまらない。
男として憧れるのはやはりストーンズだ。
ビートルズは優しすぎる。