PFFアワード2005

映画部第4回鑑賞会ってことで1本は「宇宙戦争」を見に行くことにした。
「さあもう1本は」とリクエストを募ってみたところ、出てきた意見が「PFF
正直「えー・・・?嫌だよお、怖いよお」と思いつつも
映画製作に興味のある若手がこういうのを見るのはいい機会なので、
まあそれもありかと見に行くことにする。


PFFを見に行くのは非常に久しぶり。
入社2年目のときに東京国際フォーラムミヒャエル・ハネケの特集上映を見たのが最後か。
「71 Fragments」と「Code Unknown」を見た。
(どちらも衝撃的だったけど、後者はたぶん生涯ベスト10に入ると思う。
 配給件の関係でなかなか一般公開できないようで、この時見れて本当によかった)
コンペとなるとその1年前、入社1年目の99年が最後となる。
自主映画というものに未練がありまくっていたので休みの日に入選した作品を何本か見に行った。
正直がっかりした。その後グランプリを撮った作品も見たんだけど、どれもピンとこなかった。
「この程度の作品に負けるのか」と思った。自分の作品が優れていたわけでもないけど。
そんなことがあってそれから先、自分には無縁なものに感じられて、見に行くことはなくなった。
知り合いが入選しない限り見に行くことはないだろうと思っていた。
なので後輩が PFF を見たいと言うと古傷に触られるようでなんだかぞっとした気持ちになった。
映画を再開して撮った「on fire」「29」を一応応募してみたものの
例によってかすりもしなかったし。


去年 Top-Team-Theator の上映会で「on fire」を上映してもらったんだけど、
そのとき一緒に上映された「ここからの景」という作品が前回入選してて賞を取っている。
上映会の打ち上げで観客の感想を読んでみたら僕のはどれもこれも否定的なことしか書かれてなくて
「ここからの景」は絶賛に近いぐらいに圧倒的に評価されていた。
そんなこともあって僕はPFFに対して、自主映画というものに対して、後ろ向きな気持ちでいた。

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見たのはFプログラム「BAMBI BONE」「フアンナイ」の2本。
会場は東京国際フォーラムではなく、渋谷東急に変わっていた。
自主映画好きというか明日を夢見る映画人たちばかりの妙に濃ゆい空間の空気を久々に吸った。


「BAMBI BONE」
近親相姦を子供の側から描いた作品。
審査にあたっては賛否両論だったそうだけど、それもよくわかる。
何もそれそのまま撮らなくてもいいじゃないか、って場面が随所に出てくる。
グロテスクではないんだけど、美しくもない。
生々しかったりリアルというのともまたちょっと違う。なんだか中途半端。
でも作品としての質は高かったように思う。
白いビニール袋をかぶった主人公2人の男の子と女の子が滑り台を滑るシーンが
何度も何度も出てくるんだけど撮り方に凝っていて飽きない。
「うまいな」と思わされた。
技術的に完成度が高いので後は、見た人がただ単に好きか嫌いかだけを語る作品となる。
で、僕としてはそこで描かれている内容が好きになれなかった。
途中、遠藤ミチロウが出てきて弾き語りをする。橋の上でギター片手に絶叫。
音楽は猫沢エミモーマスのユニットだったりする。
どういうつながりなのだろうと気になった。
エンドタイトルを見ていると多摩美を中心としたスタッフが集まっているようであるが。
監督は女性で、モデルのようにきれいな人で驚いた。
あと、撮影は3年前だったそうだが、舞台挨拶に出てきた男の子と女の子が2人とも
ものすごく成長していてこれにも驚かされた。全くの別人。子供の成長って早いもんだ。


「フアンナイ」
こちらは「BAMBI BONE」ほどの技術的完成度の高さはなく、正直見ててほっとする。
マイクがいろんな雑音を拾ってて場面ごとに音が全然違ってたりして。
「ああ、この程度でいいんだなあ。僕でも作れるなあ」と思う。
心を病んだ妻を亡くしたばかりの大学講師の男性が、訳あって妻の叔母に会いに行く。
ものすごい田舎。そこでたまたま知り合った女子高生との交流を描きつつ、
同時並行で過去が回想されていく。
僕としてはこっちの作品の方が好き。拙いんだけど。
監督は早稲田の映画研究会の人のようで相変わらず早稲田は強いなあと思わされた。

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ああ、僕もあの舞台挨拶に立ってみたかった。と正直思う。
学生時代のサークル映創会からは3本入選したことがある。
そのどれにも僕は全然関わってなくて、
製作者の関係者ってことには一応なるけど、あくまでただの観客として見に行った。
そして僕は今も、観客のままだ。


なんか作らないことには始まらないわけで、
もう1本ぐらい作って応募してみるかと2本の作品を見ながら考えた。
前からよく言っている着ぐるみ映画の内容をあーでもないこーでもないと検討してみた。
2時間半も頭の片隅で考えていたらようやく形になりだした。
これ、撮るんじゃないかな。秋ぐらいに。


PFFを見に行くことで不本意ながらやる気が出てきた。

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PFFの昨年の入選作品がDVDになったようだ。
もっと昔の作品もDVDにならないかな。


過去のグランプリ作品とか。
(何気に僕は結構見ている。「雨女」「寮内厳粛」「シンク」などなど)


あと、映創会から入選した
イマナリの「世界の優しい無関心」とコバヤシさんの「夏が終わる」
8ミリで作られているので当時関わっていた僕らですら見ることができない。
もう1度見たいものだ。