夏を取り戻す、海水浴に行く(その4というか、日焼けで火傷の話)

後日談。ここまで来ると海とは直接の関係はなくなる。
日焼けというか、火傷の話。


土曜に海に行って今日、火曜が4日目。
いまだに背中はヒリヒリと痛く、足は真っ赤なままパンパンに腫れて突っ張っている。


体のあちこちが痛いのに、昨日1日出社。
靴下を履いて靴を履いて、1日オフィスにいたら靴の縁にすれる、すれまくる。
家に帰ってきて恐る恐る靴下を脱いでみたら右足首に水脹れができていた。
ひぃ〜。思わず自分でも「うわっ」と声に出してしまう。
さらに、脱ぐときに指を滑らして引っかいた箇所がその後徐々に徐々に水脹れ化していく。
シャワーを浴びたら水分を補給してさらに膨れ上がる。
黄色いスライムが、ヒルのように僕の足首に張り付いている。


今日はもともと休みの予定。
旅行の準備をするつもりだった。
こりゃいかんとアパートの近くに皮膚科があることを思い出し、
診察開始時間になるのを待って駆け込む。
平日の午前中で患者は少ない。すぐにも自分の番が回ってくる。
海で泳いでどうたらこうたら、日焼け止めを塗り忘れてどうたらこうたらと説明して、
まずはTシャツを脱いで腹と背中を見せる。これぐらいはどうってことない。
そして問題の右足首。
「あー」という言葉があがる。
でも、医者の立場からしたら全然たいしたことのないようで、
化膿や炎症を抑えるローションを出しましょうということであっさりと終わる。
スプレーと自分で塗るのとだとどっちがいいかと聞かれて、
自分で塗るほうが薬の効き目は強いというのでそっちにする。


足は下にあるのでどうしても水分が溜まりやすく、水脹れができやすいとのこと。
僕の足にできたのはまだ浅いものなのでたいしたことない、
万一破れても全然構わないし、
明日出社する際に普通に靴下と靴を履いても問題ないだろうと言われる。
(そうは言われてもこの上に靴下を履くにはそれなりに勇気がいる)


せっかくの機会なので、聞いてみる。
僕「自分のような肌の白い人は日焼け止めではなくて
  日焼けオイルを塗ったらどうなるんでしょうか?」
医「日光を浴びると黒くなりますか、それとも赤くなりますか?」
僕「赤くなります」
曰く、(詳細は忘れたけど)僕はタイプAという肌のようで、白人と一緒。
日焼けしようとしても紫外線を浴びるだけなのでお薦めできない、と。
海に行ったときに先輩から借りて日焼けオイルを借りてたら自殺ものだった。
先輩は「貸すよ〜」と言ってたけど。


薬局でローションをもらって帰る。
こんなことなら、無理をしてでも日曜に救急外来に行ったほうがよかった。
あるいは、昨日午前休をとるか。
海水浴と言えども、侮れない。
というか僕、気軽に海に行けない・楽しめない体質ではないか。
改めて突きつけられて「あーあ」という気分になる。


その後せっかくの休みなので新宿に出る。
素足にサンダルとはいえ、ジーパンの裾が例の箇所にすれる。
帰って来て脱いで見ると、たった3時間前に病院で脱いだときよりも成長している!
気の弱い女の子だったらキャーと悲鳴を上げるんだろうな。
でも僕は男の子だから、いい年した大人だから、現実を直視する。
2つ離れた箇所にあったものが、小さい方のが急成長してくっついてしまった。
横長に大きくなる。
ローションを塗るために触るとブニブニしている。
今にも破けそうだが、素足を棚の角にぶつけてひっかいたりしたら一発でいってしまいそうだが、
意外と皮ってものは丈夫でなんとかなるかもしれない。

    • -

さらに気持ちの悪い話を続ける。
耐えられない人は読まないように。


大学院一年の夏休み、茨城の海に撮影合宿に出かけた。
後輩が別荘を持っていて、使わせてもらった。
僕が監督で、撮影もすることになっていた。
初日の撮影のうち午前の部が終わるとさっそく、サンダルの隙間が真っ赤に腫れあがった。
スケジュールも押してるので昼食後そのまま、撮影を続ける。
夜には立派な水脹れが出来上がっていた。左の足の甲に。
次の日も撮影のため、構わず続ける。その次の日も。休んでる余裕なし。ちょっと冷やしただけ。
空いている後輩にお願いして車を出してもらって火傷の薬やガーゼを買って来てもらい、
それを塗ったりなんだりして撮影続行。


最終日には水脹れはソーセージ大にまで膨れ上がっていた。ここまで来るとご立派。
まじで。誇張じゃなくて。
歩くとブヨンブヨンと揺れる。
それをそのまま車に乗って最終日に東京に戻って、
夜は足をかばいながらアパートの部屋で疲れきってぐったりと寝て、
次の日、大学の中の小さな診察室に見せに行く。
困ったことに「完璧だ」と思って僕が自画自賛していたスケジュールは
撮影後も続いていて、その日の夜夜行バスに乗って青森に帰るところまで引かれていた。
既に切符あり。ねぶたシーズンであるため、ある意味プラチナチケット。
そんなわけで東京の皮膚科に行ってる暇はなく、
(というか大学で見てもらえば金かかんないじゃんとそれだけを考えていた)
診療所にておばさんの医者に目をまん丸くされて応急処置だけを受けて、
その日の夜青森に向けて東京駅を発つ。
ブヨブヨと膨れたソーセージを、左足の甲に貼り付けて。
さすがに到着した翌朝、家に戻って荷物を置くと即、青森市内の皮膚科に見せに行った。


診察が始まる。診療台の上に横になって見守る。
医者は恐る恐るガーゼや油紙をはがしていく。
ここまではうまくいった。
そしてピンセットを取り出し、何かを始めた途端、


ペチャ。


水脹れが弾けて、中の黄色い液体がドバーッと流れ出た。


それまでの説明にて
「水分がまた吸収されて、小さくなっていくのを気長に待っていましょう」
なんて言われてたのが、これにより一気に直りが早くなる。
後は毎日軟膏を塗って終わり。
すぐにも普通の生活ができるようになった。


今でもこの時の後が残っている。
左足の甲が妙に黒ずんでいる。


そんなわけで今この右足にある水脹れを熱した針で割ってみたくなるのだが。