メキシコ(9/4)その8 国立人類学博物館

通りのこちら側にあって、近付くとまた屋台が増えだして人通りが多くなる。
メキシコ人たち。昼に近付いてみんな外に出るようになったのか。
よく考えると今日って日曜だからそもそもメキシコの人たちが休日を過ごしに来てるんだよな。
観光客の姿はそのメキシコ人たちの中に紛れ込んでしまう。


この人類学博物館は「地球の歩き方」でも4ページ割いているぐらいに、非常に重要な観光スポット。
メキシコ古代文明の全てがわかる。ここに集められている。
まずはここに行ってメキシコの歴史に触れてみたまえ、ということか。


11時30分。日も出てきて暑くなる。
行列ができている。若い人が多い。保護者連れの小学生から、大学生のカップルまで。
大学生のカップルが休日に人類学博物館に来て熱心にあれこれ眺めてるわけですよ。
指さしてあれこれ言い合って。この国は。
物陰でヒシと抱き合ってたりもするけど。
熱心ってことで言えばみんな老いも若きもレポート用紙やノートにあれこれメモを取っている。
展示物の解説を書き取ってるのだろうか。
これが学校の宿題ではなくて自主的なものであるとしたらたいしたものである。
この熱心さ。いつか日本の学力はメキシコに追い越されてしまうのではないか。


中に入る前にセキュリティチェックがある。
中は大混雑。なんでこんなに人が入るのだろうと素直に不思議に思う。
日本ではこんなこと絶対ないよな。上野の博物館とか。
もしかしてメキシコシティは他に娯楽がないのか・・・。
先に売店に入ろうとしたらノーノーと拒否され、
どうもカバンを持っているとよくないようなので手荷物預かり所に持っていく。
列に並ぶ。カバンを持っていくと警官が奥に持っていって引き換え用の札を渡してくれる。
列に並ぶのを億劫がったオヤジとか太ったガキがいきなり列の先頭に割り込んで札を差し出すが、
警官は相手にしない。ちゃんと秩序があるようで好感を持つ。


博物館に入るのは無料だが、展示室に入るにはお金を払わなければならなかった。
38ペソ。地球の歩き方には日曜無料と書いてあるが、
これはどうもメキシコシティの人たちは無料ということのようだった。
だからこんなに大勢の人たちが詰め掛ける。
外国人観光者は日曜も関係なく入場料を取られる。
メキシコの人たちに混ざって並んでいたら警官にチケットを買うようにと言われた。
まあ、仕方ない。


いったん外に出て、ロの字型になっている展示施設へ。これまた端から端まで広い。2階建て。
中庭には噴水がある。
とりあえず手近の展示室に入る。
古代のあれこれを展示している。
床に穴が開いていて人骨共に大きな仮面が埋まっているとか、そういう手の込んだ展示物が多い。
古代人の作った人形であるとか、陶器であるとか、首飾りや甕。
どうも1階は人類の始まりからマヤ・アステカ・ティオティワカンなど
中南米の各遺跡の考古学的資料を展示していて、2階はその遺跡時代から近代に至るまでの
メキシコの人々の風俗を紹介しているようだ。
どういう暮らしを送っていたか、どういう装飾品を身にまとっていたか、どういう工芸品を作ったか。
ちゃんとルートが定まっていて、その通りに進んでいけばすっきり理解できるようになっているのに、
僕はそれを知らなくてとにかく手当たり次第に進んだ。
せめて1階の後に2階を見ればよかったのに、それもランダム。
なので2階でソンブレロをかぶってギターを弾いている人たちの等身大の人形を見た後で
人類の曙ってことでアフリカの類人猿の骨格を見ることになる。
(ちなみに、この類人猿コーナーが最も混雑していた。正規ルートでは最初の個所だったからか)


僕としてはこういうの興味あるから見に来ているわけであるが、
詳しいかと言えばそんなことはない。マヤとアステカとどっちかが古かったのか分かる程度。
マヤもアステカもティオティワカンも見てて区別がつかない。
ゆっくりじっくり見てると何かつかめるのだろうけど、
人も多いし展示物も多いしでどうしても駆け足となってしまう。
すぐにもおなかいっぱいとなる。
遺跡の模型に壁画に様々な出土品に石像にレリーフに古墳・・・。
外に出ることもできて、外は外で当時の人々の住居を復元したものが見れるようになっている。
見ていて何もかもがごっちゃになる。
グルグル目が回りだして、何もかもが目の前を素通りするようになる。
そんなわけで、ここ半年書いていた小説にてユカタン半島のチャック・モールの像について
書いていて、その現物を見るつもりでいたのに、すっかり忘れてしまった。
一応、目玉の1つである「Stone of the Sun」(アステカ文明のカレンダー)は見た。
大人の背丈2人分はあるかというぐらい大きい石の円盤。きめ細かい模様が描かれている。
その他の重要展示物も見たはずなんだけど、何がなにやらわからぬ。見たはず。
とにかく視界に入り込んだものが多すぎてオーバーフロー。
博物館ぐらい1人で回れる。って思ってたものの、
ティオティワカン遺跡を見に行った後で
日本語ガイドの解説を聞きながら回るって方がよかったかもしれない。
解説のほとんどがスペイン語で英語では書かれてないし。


なお、ここはフラッシュを使用しない限り写真撮影フリー。
ビデオカメラも別途料金を払えば可。
メキシコシティの学生たちも携帯で写真を撮りまくっていた。
携帯はかなり普及しているようだ。
モトローラの広告もあちこちで見かける。


日本人らしき姿を見かけたのは1度だけ。男子学生っぽい2人組。
それ以外にはアジア人らしき人すら見かけない。


売店で自分へのお土産を買う:
絵葉書4枚 18ペソ
メキシコシティを写真で綴ったもの 50ペソ
人類学博物館の有名な展示物を写真で綴ったもの 15ペソ


人類学博物館前の広場の屋台にて、昼食。
並んでいる屋台がいいだろうと僕も並ぶ。「RICAS TORTAS」と書かれている。
とりあえずタコスではない。巨大なホットドッグ?
ホットドッグ用のパンを半分に切って、片側のパンにはレタスや豆やタマネギ、アボガドを乗せる。
鉄板の上で肉を焼いてもう片側のパンをその上に乗せる。
この2つを一緒にして出来上がり。
種類がたくさんあって、僕はチョリソー(唯一わかったスペイン語)のにした。チーズ入り。
これが17ペソ。
他の屋台でメキシコのコカコーラを買って飲む。10ペソ。
ちょうど買った頃、小さな広場にて民俗芸能?の披露が行われていた。
高いポールから伸びたロープに足首で吊るされて回転している男たちが笛を吹くというもの。
赤と白の民族衣装を身にまとっている。
人類学博物館に入る前に笛の音が聞こえて行ってみるとちょうど終わったところだった。
後で見ようと思っていてちょうど見ることができた。
日曜は一日に何度も何度もこれを披露するのだろう。大変だ。
見終わると近くの噴水に腰掛けて食べ始める。
ホットドッグは食べ応えあるし、コーラは冷たい。最高。


通りを渡って、向かい側の公園へ。
人出最高潮。
子供向けに写真を撮る店では派手な色の着ぐるみの動物(思い出せない・・・)が子供たちに手を振る。
湖のボートに長い長い行列ができている。
屋台のおばさんやお兄さんが盛んに声を掛けている。
コーラやその他清涼飲料水が大きなバケツのような容器の中で氷で冷やされている。
湖の上のステージでは合唱団が歌っている。
歩き回っているうちにピエロが芸を開始する前のところに出くわす。
ピエロの写真を取ろうとして目が会うと、
彼は「どこから来たのか?」と人懐っこく質問してくる。
「日本」と答えるとにこやかに笑って「メキシコへようこそ!」そして握手をする。
彼は僕のためにわざわざポーズを取ってくれる。
(そして、モロッコのようにお金を要求されたりしない)
こういうことがあると僕は一遍に、「メキシコっていい国だなあ」と思ってしまう。