ロス(9/7)その28 ドジャースタジアム/ダウンタウン

最後の観光スポット、ドジャースタジアムへ。
車は郊外へ。中流階級、あるいはさらに下の階級の人たちが住む地域となる。
家は極端に小さくなり、ごちゃごちゃとまでは行かないまでも密集している。日本のよう。
おしゃれな店も消えてなくなって、生活と密着した店ばかりとなる。
色褪せた簡易食堂やスーパーがところどころに建っている。
スタジアム近辺はヒスパニック系の住民の住む場所のようだ。


坂道を登っていくとスタジアムが見えてくる。
高速の料金所みたいなゲートがあって、警備員に「ショッピング」と言って中に入る。
このゲートのアーチには「This is baseball」と書かれている。
さすが球場だけあってでかい。駐車場もでかい。
試合開始前であっても球場には入ることができて、まばらに車が停まっている。
中に足を踏み入れる。
・・・壮大な眺めに唖然とする。これは見た人でないと分からない。
「でけー」と口をついて出る。
観客席の傾斜は高く、はるか下に緑の芝生が見える。
観客席は青やオレンジ色に塗り分けられている。向こう側もかなり遠い。
日が傾きかけていて、巨大な影ができている。
古代ギリシアの円形劇場ってこんな感じだったんだろうな、と思った。
グラウンドには人の姿はなく、練習の始まる前だった。


正確な名前は忘れたが、スペシャルドジャードッグ(何か違うな)という名物っぽい
ホットドッグが売られていて、これは食べなきゃ!と思ったのだが、
試合開始の何時間も前だったので売店では売ってくれなかった。非常に残念。
いつの日かアメリカの球場で大リーグをみたいものだ。
ホットドッグを片手に、ビールを飲みながら。


球場を背にして駐車場に建つと、はるか向こうにダウンタウン超高層ビル群が見える。
夕日に照らされて、これはこれで壮大な眺めとなる。
アメリカってすげえ」と子供っぽい無邪気な感想を抱いてしまう。
いや、ほんと、アメリカってすごい。


観光はこれで一通り終了。
ダウンタウンにあるホテルまで送ってもらう。
途中チャイナタウンを通過する。
もっとごちゃごちゃしたアジア的猥雑さを感じさせる場所かと思いきやそんなことはなく、
ロスの他の地区のように道路は広く、立ち並ぶ家や店も広々としたスペースを保っている。
ただ、店の看板が英語と並んで漢字で書かれているだけ。
閑散としているという印象すら受けた。
夜になるとネオンに包まれて活気が出てくるのか、
それともチャイナタウンの中心から外れたところを走っていたのか。


ダウンタウンの中心を進んでいく。
行政機関の白い壁の大きな大きな建物がボン!ボン!と通りに建っている。
シビックセンターと呼ばれるようだ。
ホテルニューオークラといった高級ホテルも見える。
搭のような市庁舎の最上階は展望台となっていたのだが、
9.11のテロ以後入れなくなってしまった。


「Kawada Hotel」に到着する。荷物を下ろして、ガイドのおじさんとはここでお別れ。
「Kawada」という名前からし日系人の経営するホテル?と思っていたんだけど、
そもそもリトルトーキョーの近くだった。歩いて2・3ブロックのところ。
ホテルのフロントでバウチャーを見せる。
高級なホテルではないせいか、ヒスパニックの従業員はバイトでやってますという風情。
バウチャーを見せたらコンピューターにちょこちょこ何かを打ち込んで
ルームキーが戻ってくる。お互いに無言で全てが済んでしまう。
ダウンタウンの中心にあることとリトルトーキョーに近いからだろうか、
日本人旅行者が多く利用するのかもしれなく、
ロビーのソファーには日本人の若者が1人座っていて、暇そうに煙草を吸っていた。
誰かを待っていたのか、話しかけるべき誰かを探していたのか。
エレベーターに乗ろうとするとコンビニの袋を持った別の日本人の若者が乗ってきた。


部屋の中へ。なかなかいい感じの部屋だった。
ホテルの中というよりはアパートの中というような雰囲気。
生活観のあるクローゼット、センスのある照明、いかにもアメリカなごつい型の空調、
以前はキッチンとしても使えたのだろうか、流しがある。
荷物を置くとすぐにも外に出る。
まずは高層ビルを写真に撮る。
再開発の真っ最中なのかあちこちで建物が取り壊されている。これも写真に撮る。
現代美術館(ニューヨーク近代美術館MOMA に対抗して、MOCAと呼ばれる)に行きたかったのだが、
残念なことに水曜は休み。別館は10月まで改装中らしい。
ガイドのおじさんが「サンタモニカやハリウッドならば午前1時でも観光客が外を歩けるけど、
ダウンタウンは日が暮れたら危険なので絶対歩いちゃいけない」と言っていたこともあり、
リトルトーキョーを見て終わるだけにする。17時。日が暮れるまで2時間ぐらいか。
ロサンゼルスタイムズのビルの前を歩く。遠くにはウォルト・ディズニー・コンサートホールの
シドニーのオペラハウスに似てなくもない奇抜な形の屋根が見える。
現代美術館の別館は沈黙した巨大なオブジェのようだった。


人通りは少ない。僕のような観光客ばかり。しかも日本人がほとんど。
ホームレスの黒人の夫婦が毛布に包まって眠っている。
白人の男性が看板用の強化プラスチックの白い板の切れ端に絵を描いている。