ロス(9/9)その31 日本到着

日付変更線をまたいで、9日になる。


日本上空へ。霧がかかっている。
着陸するも到着ゲートの空き待ちでしばらく滑走路で待たされる。
隣の隣の席のアメリカ人男性は英語と日本語で訪問先のルートの書かれた紙を
クリップボードに挟んでいる。新宿、小田急線、下北沢という文字が見える。
飛行機から降りる。入国審査が事務手続き的に終わる。
税関では免税の方に並ぶ。
前の人がスーツケースを開けていて、「しまった」と思う。
去年ドバイから戻ってきたときは素通りだったのに今回はしっかり見るのか。
「煙草は200本まで免税」だけど数えたら思いっきり200本越えてそう。
こういうの見つかったときってどうなるのだろう?
税金を払うだけで終わるものなのだろうか。(いくらだろう?)
それとも虚偽の申告をしたってことでなんかやっかいなことになるのか。
ドキドキする。僕の番になる。
「対象となるものはありますか」「ないです」
「リュックサックを見せてもらっていいですか」
来た・・・。リュックサックを下ろして台の上に。
係員はリュックサックを開けることはなく、
肩に掛ける部分のふくらみを触ってみて中に何か隠してないか探っただけ。
それで終わり。ほっとする。


両替をする。226ドル余っていた。2万5千円になる。
7万持っていってこれだけ余った。ほんとお金を使わなかった。
海外旅行ってものが自分の中で珍しいものではなくなって、何も買わなくなってしまった。
絵葉書ぐらいか。かさばらないし。
あとはデジカメで自分で撮った写真があればいい。
会社で配るお土産や移動と食事にかかるお金だけか。


帰りの電車の中で読むものがなくなった。
出発ロビーの方には本屋があったよなあと上がっていく。
出発ロビーに行くとなんとなく懐かしい。
到着ロビーとは明らかに雰囲気が違う。
これから出て行くという、初々しい雰囲気。
これから旅に出るという人がうらやましくなる。
僕だって時間とお金が許すならまた次の場所へと旅立ちたい。
本屋では江國香織の「泳ぐのに、安全でも適切でもありません」を買う。
タイトルがいいなあと思ってずっと気になっていた。
この人の本を初めて読んだ。
僕は女性じゃないのでなんとも言えないんだけど、まあ面白いんじゃないかと思う。
だけど今回の旅行で読んだ吉田修一パーク・ライフ」や村上龍「空港にて」と比較すると、
文学的感動は薄い。(それぐらいこの2つが濃ゆいってのもあるんだけど)


京成線に乗る前に母に電話して「今、日本に着いた」と伝える。
無事帰って来たことを母は喜ぶ。
僕が行ったのはメキシコなのに、ハリケーンは無事だったかと聞かれる。
母の中ではアメリカもメキシコも一緒なのだろう。
台風の話になる。日本にもすごい台風が直撃したと。杉並区も被害にあったらしい。
善福寺川が氾濫したようだ。


上野に到着する。
お客さん主催のカットオーバを祝した打ち上げが行われるので、そのまま会社に行く。
リュックサックだけの姿で現われた僕を見てみんな「身軽ですねえ」と驚く。
髭生やしてソンブレロをかぶってなかったので、「普通ですね」と残念がられる。
屋形船貸切ということで集合時間は早く、僕が着いた途端「会社出るぞ」と言われた。
屋形船はお台場で30分停泊。きれいな夜景を見る。
メキシコの煙草をあちこちに配り歩く。
帰りは都営新宿線の一之江というところに船が止まる。江戸川区か。
11時間半も飛行機に乗ってきたばかりだというのに、2次会に行って、そのまま朝まで。
2次会の店は25人入れる場所をということでリュックサック背負った僕が初めての町を探し回る。
終電でどこの駅で降りたのか不明。バーで、ダーツをやって過ごす。
もうほとんど記憶がない。
始発の時間になるとなぜか秋葉原で下りて、みんなでマックに入って朝食。
家に帰って来たのは7時。よれよれになってベッドに潜り込む。


そんなこんなでようやく、旅が終わり。
土日はひたすら疲れてた。


その後、全米オープンアガシは決勝に進むもののヒューイットが2連覇。
僕はコニー・ウィリスの「ドゥームズデイ・ブック」を読み始めた。これまた分厚い。
東京は相変わらず暑い。いつになったら夏が終わるんだ?


おしまい。