「タッチ」

もう3週間も前のことになってしまうけど、17日の土曜日に
映画部の月1定例鑑賞会ということで「タッチ」を見に行ってきた。
この時期とりたてて見たい映画は1つも無し。
強いて言えば「タッチ」?そういう極端に低いモチベーションで映画館へと向かう。


人気作品ってことで混んでるかと思ってたんだけど
日々やシャンテシネはそうでもない。土曜とはいえ初回だったからか。


「タッチ」ってこれまで何度読んだことか。
高校時代に友達から借りて全巻読破して、
大学院2年生の夏、青森に帰省して論文の準備をしていたときにも
1日2冊ずつ愛蔵版を買って読んだ。
僕的には生涯ベスト5に入るなあ。たぶん永遠に。


ってことで、いくら犬童一心が監督であったところで
漫画の思い入れが強すぎて映画の方はいまひとつに感じるのではないか?
というのが頭の片隅にひっかかりつつ見る。
で、結果としてその通り。
東宝でアイドルを主演に据えて撮るってことで
「仕事として手堅く撮る」ってことなのか可もなく不可もない王道路線の演出で
ジョゼと虎と魚たち」で感じたきらめきのようなものは全く感じられなかった。
(「ジョゼ・・・」は僕の中で昨年の邦画No.1となる。「誰も知らない」を抑えて)
まあ、仕方ないか。


やっぱ長澤まさみだよなあ。この映画。
もうなんというか、長澤まさみだけを見ていて2時間終わった。
「タッチ」だろうとなんだろうと関係なくこれは
長澤まさみの、長澤まさみによる、長澤まさみのためだけの映画。
映画館には東宝「シンデレラ」オーディションのポスターが貼られていて、
長澤まさみ主演映画であなたがデビュー!」と書かれている。
「タッチ」はその前宣伝のようなものだ。


映画を見ていて痛感するのは漫画版「タッチ」に出てくる各キャラクターの完成度。
恐ろしいぐらいによく練られてるのが今更ながらよくわかった。
これをまったくそっくりに実写化するのは不可能で、いかに追いつくか、
あるいは追いつくのを諦めて独自路線に進むかってのが問われることになり、
上杉達也上杉和也役の2人は野球経験ありの双子が演じているものの
方向性は前者であって見てて「似てないねえ」ってことばかり気になってくる。
演技がうまくないのか、それとも役者としてのオーラに乏しいのか。
その一方で長澤まさみは後者。
断じて朝倉南ではない。似ても似つかない別物。
でもそれって「朝倉南に遠く及ばない」って意味では全然なくて、
幼なじみの双子の男と育ってきて、野球部のマネージャーをやっている
17歳の女子高生として、「朝倉南」と名乗る必要性の全くない
独自のキャラクターを確立してしまっている。
いっそのこと「タッチ」原案の別の映画にしてしまえばよかったのに。
それぐらい、長澤まさみが優れていた。まぶしかった。
新体操をやるシーンがないのが残念だ。非常に、非常に、残念だ。


新体操に限らず
原作と違う箇所というか端折られた箇所が多々あって、
原作のファンとしては「うーん」と首を傾げてしまうことしきり。
勢南高校の西村がなぜ出てこない?
後半、明青学園を率いる鬼監督はなぜ出てこない?
新田明男が出てくるのはいいとして、なぜマネージャーに成り代わる妹が出てこない?
この辺も残念だ。この3人が僕、かなり好きなんだけどな。
出てきても詰め込みすぎで収拾つかなくなるのはわかってる。
いっそのこと思い切って2部構成にすればよかったのに。
今作では上杉和也の死後、上杉達也が野球部に入部したものの、
試合で負けてしまうことで1度は野球を投げ出す、
だけどもう1度野球に戻っていくところで終わるっていうのでも
青春映画としては全然成り立つのではないか。
そんで続編で上記3人が出てきて、明青学園が甲子園を目指すと。3年の夏に向けて。
そんなんだったらよかったのに。
今作の続編がいきなり出てきて、
それが甲子園での戦いを描いたものだったら僕は激怒するぞ。


あー。もう1回最初から読み直さなくては。


なお、映画には萩本欽一欽率いる「茨城ゴールデンゴーズ」が出演している。
欽ちゃんのセリフよかった。

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この日映画部としては、その後クリス君の家で、
秋に撮る作品の内容を考えて大体のところ方針が決まった。
その後飲んだ。
ダウンタウンの「ごっつええ感じ」のDVDを見て、
スロウライダーの山中君が脚本を書いた「新しい生き物」の録画を半分見て、
女王の教室」の最終回をところどころ見た。
もちろん、「女王の教室」はそれまでの回を1度も見ていない。