大名古屋旅行 その2(味噌煮込みうどん)

前の日は会社の人たちと遅くまで飲んでいた。
1時に寝て7時に起きる。微妙に眠い。
荷物を準備する。といっても1泊2日で名古屋に行くだけなのでたいしたものはない。
8時ちょい前に出て総武線に乗る。途中の駅でタツジンさんと待ち合わせして、東京駅へと向かう。
メキシコの話とか、名古屋の食べ物の話をする。
あれが食いたい、これが食いたい、食べ物の話は大いに盛り上がる。
食べたいものの優先順位をつける。
タツジンさんとは普段カレーの会を開いているだけあって、1位は若鯱屋のカレーうどんとなる。


東京駅にて東海道新幹線の改札を通って、ホームへ。
弁等屋にて「すえひろ」の天むすを見つけて、車内で食べる。さっそくうまい。
最近見た映画の話をしているうちに名古屋に到着する。
1時間40分。すぐですね。
映画の話はジョージ・A・ロメロの最新作「ランド・オブ・ザ・デッド」など。
ロメロは60年代、70年代、80年代とゾンビ映画を作ってきて、
各年代で作るということで90年代も撮りたかったのだが、
様々な事情により不遇をかこち、制作を断念する。
(たぶん映画会社が相手にしてくれなかったのではないかと思われる)
ロメロはいい映画作ってるのになあ、とタツジンさんと言い合う。
「ゾンビ」は題材が題材なので損してるけど、人間を描いたドラマとして非常に秀逸ではないかと。


10時45分到着。名古屋駅にてオーヤマさんと会う。
北口で待ち合わせなのに南口に出てしまって、「北口ってどこだ?」とウロウロする。
駅は混雑している。万博効果だろうか?
オーヤマさんとようやく出会い、「エスカ」の地下街で昼食へ。
カレーうどん?名古屋人は誰もそんなの食ってないぞ?」と一蹴され、
(確かに今調べてみたら関東にもたくさん出店されていた。だったら東京で食べればいい)
味噌煮込みうどんを食べに行くことになる。
エスカ」の中にあったのは「山本屋本店」
昼になると行列になるらしいが、少し早かったのですぐ入ることができた。
メニューを見てみる。名古屋コーチン入りが2,310円。いきなり高い。
でもせっかく来たんだしこういうの食べねば、と思う。
シンプルなのは1,100円ぐらいだったか。他はみんなこれを注文する。
名古屋の地ビールってのがあったんだけど、1,680円と高かったのでこれは諦める。
普通に生ビールを飲む。
皿いっぱいに出てくるお新香をつまみにして。このお新香がなかなかうまい。
店員から前掛けを渡される。これは名古屋で普通のことなのか。
遅れてヤンマが到着する。
味噌煮込みうどんが運ばれてくる。
「ふたを取り皿にしてご利用ください」と言われる。
オーヤマさんは皿で食べるが、僕はめんどくさいのでそのまま鍋から食べた。
濃くのある熱々のだし汁にコシのあるうどん。うまいよね、やっぱ。
そういえば注文するときに「固さはいかがなさいますか?」と聞かれた。
昔はこんなこと聞かれなかったのに、味噌煮込みうどんがポピュラーな食べ物になって
名古屋の外から来た観光客が食してみるものの
「これ煮えてない」と怒りだすといったことがあちこちで頻発したため、
一応聞くようになった。
名古屋の外から来た僕としてはこれはこれで十分うまいものの、
讃岐うどんのようにツルツルしたうどんだったらもっといいなあなんて思ってしまう。


食べてる間に話題となるのは「大佐」と呼ばれる映画サークルの伝説の先輩のこと。
この前の連休のときにオーヤマさん・ヤンマ夫妻が会ってきたばかり。
なんでも、大佐は今、尼崎のデザイナーズマンションに住んでいて、
そこになんと、「2001年宇宙の旅」の撮影で実際に使用された椅子
(近未来的な丸っこい形をしていて、色は真っ赤)を置いているのだという。
大阪にそういうプレミアもののインテリアを扱う店があって、そこで購入。
価格は100万円。すげー。
(一応断っておくが、大佐は金持ちでもなんでもなくて、まあ平たく言うと「趣味人」ということになる)
後で写真を見せてもらったんだけどインテリアは白と赤で統一されていて、とんでもない部屋だった。
人が住む場所とは思えないぐらいにきれい。
なのにブラインドを上げると普通に尼崎の低い家並みが連なる。素晴らしくアンバランス。


店を出ると地下鉄を乗り継いでオーヤマさんのマンションへ。
愛知大学の近くにある。できたばかりだろうか、ピカピカでものすごく高いビルだった。
祝日だというのに、学食が開いている。便利な大学だ。
この一角は昔、下級の武士が住んでいたとヤンマが解説する。
オーヤマさんの家は相変わらずバリで買った○○やモンゴルの××など、
様々なオブジェ・ガジェットが飾られていてかっこいい。
壁には「No New York」や Brian Jones の「Joujouka」や Billie Holiday などのLPが。
麦茶を飲んで一段落する。
ヤンマがこれいいよーと言うので「男宇宙」というCDを聞く。
(というか聞かされる。上海で聞かされたのは堺マチャアキ山下毅雄
これがまた例によってとんでもないシロモノで、
1曲目というか1発目が大山倍達の呼吸。曲ではなくて、呼吸。
その後、横山やすし野坂昭如のシングルが続いて、長嶋茂雄アントニオ猪木の語り。
勝新岡本太郎、なぜか江夏豊菅原文太は「日本万歳音頭」なんてのを歌っている。これは買いだ。
解説は湯浅学湯浅学も一読してこの人だと分かる特徴というか癖のある文章を描くが、
ここに収められたのはこの人の書いた中でも最高傑作だろう。


万博へ。入れるかどうかわからないが、とにかく行ってみようということになる。
地下鉄に乗って、今池で乗り換えて本郷へ。
今池は名古屋を代表するバンド(だと僕は思っている)フラワーカンパニーズ
最初の頃のアルバムに「今池の女」というタイトルの曲があったのでその名前を覚えていた。
どんなところかと聞いたら、いわゆる夜の街で、
新宿歌舞伎町から気が抜けたような感じの場所とのこと。


名古屋で移動となると地下鉄がメインのようで、環状線も走っている。
地下鉄じゃなければバス。
名古屋中心部のバス停は道路脇の歩道にあるのではなく左右の車線の中間に作られている。
バス専用の車線が用意されているため、渋滞に巻き込まれないとのこと。
こういうのを聞くと「名古屋の人ってそういうとこうまいね」と思う。


駅の中を歩いているといわゆる「名古屋嬢」っぽいゴージャスな巻き髪の女性を多数見かける。
女子高生まで巻き髪。どこをどうカットしてどこにどう部分的にパーマをかけたらこうなるのか?
という不思議な巻き髪の女性がほとんど。
食べ物がゴテゴテしていて独特の雰囲気を放っているのにどことなく通じるように思われる。


本郷にて下りる。
本来ならば東山線終点の藤が丘で「リニモ」に乗り換えて万博会場まで、
というのが想定される普通のルートだが、余りにも混んでいるようなので「本郷」からタクシーに乗る
地元の人たちの間ではこれが便利とされているようだ。
シャトルバスが出てる?というので探してみるが見つからず。
その代わりに大型の乗り合いタクシーが定期的に出ているようで、行列ができていた。
万博会場にまだ近付いてもないのに早くも列に並ぶことになる。
乗り合いタクシーは来る気配がなく、しかも次の分には乗れそうにない。
元々がタクシー乗り場であったため通常のタクシーも客待ちをしている。
前に並んでいたおばさんたちの集団がタクシーに乗り込む。
「ねえ、乗ってかない?誰か1人」と声を掛けられる。
5人で乗ったら乗り合いタクシーに乗るのと変わらない額になるということのようだ。
乗り合いタクシーは1人一律500円。
別なおばちゃんたちの集団も僕らに「ねえ、お兄さんたち、1人こっち乗ってかない?」と大声で。
恐るべしおばちゃんパワー。
1人増えたところでたかだか100円ぐらいしか安くならないのに。
旅先でもケチるのか・・・。


僕ら4人もタクシーに乗る。
万博会場までは渋滞に巻き込まれなければ
だいたい2,300円だということで、乗り合いタクシーとそれほど変わらない。
僕らの走っている前を例のおばちゃんたちが走っていると
ヤンマが「あれ、抜いちゃってくださいよ」と運転手にお願いし、抜き去ると派手に喜ぶ。
運転手はわざわざ2度3度と車線を変更して
信号待ちのタイミングでおばちゃんタクシーの前にぴたっと停まるということもやってのける。
その後おばちゃんタクシーを後ろに従えて万博会場へ。
運転手は気さくな方で会場までの道のりであれこれ万博の話をしてくれた。
宿はどこもいっぱいで、事前に予約を取ってない人たちは
豊橋や、場合によっては伊勢!にまで行かざるをえないとのこと。
しかもそういう人たちは遠路はるばるタクシーに乗って伊勢まで行くらしい。
JTBが補助金として多少、キックバックしてくれるみたいだけど、いったいいくらかかるんだろう?
万博会場に近付くと白タクや民間の駐車場が近付く。
自分の家がたまたま会場近くに土地を持っていたので駐車場にして高額のお金を取るというやつだ。
万博期間、荒稼ぎ。最初は2,000円、2,500円だったのが
入場者数の上昇と共に次第に値上がりしていって9月に入ってからは5,000円にまで到達。
さすがに新聞で叩かれるようになって、僕が目にした駐車場では4,000円に値下げしていた。
強欲そうなオヤジがあちこちでパイプ椅子にふんぞり返っている。醜悪。
「予約のみ」と書かれた札を掲げて、遠方から運転してきたカモが道路をやってくると近づいていって
「1台だけなら入れてやれるよ」と耳打ちして1万もふんだくる、そんなとこもあるらしい。
なんにせよ公営の駐車場に停めたい人たちが押し寄せて朝は大混雑となるのだそうだ。