大名古屋旅行 その5(冷凍マンモス)

マンモスの入場時間までようやく1時間を切る。
ゆっくりと移動を開始する。
これまで来た道と逆方向のルートをたどることにする。
水色の全身タイツを身に纏ったアメリカかどこかのパフォーマー3人組が
通行人たちに囲まれながらにぎやかに肩で連なって歩いたり、
立ち止まって通行人を捕まえようとしたりしている。


企業のパビリオンの並んでいるエリアに差し掛かる。
夕暮になって、辺りは徐々に暗くなり始めている。
巨大なおもちゃ箱のような「ワンダーサーカス」やJR東海のリニア館。
奥の方に行くと人気を2分するトヨタと日立のパビリオン。
これら企業のものは待ち時間がハンパじゃないので最初から目もくれず。
(その分面白いんだろうけど)
サークルKだったか、コンビニですら40分待ち。
通り過ぎて「ありえねー」なんて言ってたら
ちょうどデジカメの電池がなくなりそうになって、「あ・・・入りたい」と思う。
でもマンモスもあるし時間がない。
路上にはキッコロモリゾーグッズのお土産屋や清涼飲料水の自販機はあっても
乾電池であるとかそういう便利なものは売っていない。
なんだかどこに行ってもデジカメの電池に悩まされる・・・。


アメリカやメキシコのエリアに差し掛かる。入りたかったなあ。
マンモス・ラボへと急ぐ。


入場口に到着するとちょうど18時20分の回の受付が始まったところ。
ここからまた列に並ぶ。
この万博で何かを1つだけ見るとなったら、このマンモスではないか。
ロシア連邦サハ共和国(シベリアど真ん中のとにかく広大な共和国)の永久凍土で見つかった
冷凍マンモスの標本。たぶんこういうマンモスがいくらでも眠ってるんだろうな。
待ってると「こいの池」では20時からのショーの予行演習なのか、
細かな水しぶきが大量に上がってそれがスクリーンとなって、
レーザー光線のような光が左右に動く。
「おー、いい瞬間に居合わせた!」と思うもののすぐ終わってしまう。
列に並んで10分か20分ぐらいして、マンモス・ラボの中へ。
これはもう標本の飾られた横長の部屋の内部を動く通路で運ばれていって
すぐにも外に出るというだけ。立ち止まって眺めることは不可。
まあ立ち止まってシゲシゲ眺めるほどのものでもないんだけど。
頭部の標本(立派な丸々とした牙はきれいに残っているものの、鼻はなし)と左足。
「はー、こんなもんか」と漠然とした印象を抱いておしまい。たったこれだけ?
これが目玉っていうなら弱すぎだな。
大阪万博の「月の石」に遠く及ばない。
というかそれ以前にこの愛・地球博そのものが大阪万博に遠く及ばないんじゃないかな。
東京オリンピックがあって、高度経済成長の時代があって、その総決算としての大阪万博
その頃の日本にはまだ活気があり、未来があった。
その後何十年と経過して日本には、
産業としてうまく使いこなせないテクノロジーとわけのわからない借金だけが残った。
そんな時代の万博。やらないよりはましだけど、人々の記憶に残るのは、
100年後の人々の記録として華々しいのは大阪万博の方ではないか。
「月の石」が未来に対する憧れであるのなら、
「マンモスの標本」なんて思いっきり視線が過去。
そこのところがものすごくわかりやすく象徴的だ。


標本室の中は−15℃に保たれている。
なのにノートPCが4台置かれていて何事もなく動いている。
液晶モニターが凍りついたり変色したりしない。
それぞれが気温とか湿度とかそういうのだろうか、状況の変化をグラフにして映している。
あるいはなんらかの科学技術的情報の解説だっただろうか。
今回の万博にて「日本の科学技術の進歩ってすごいな」と思った唯一の瞬間がこれだった。


このマンモス・ラボの近くに「なだ万」が店を出していて、
どこもかしこも食事を提供する店は行列ができているというのに
ここだけはさすがに行列となっていない。
ミニ懐石が5,500円から。
万博に来た外国人にいいのかも。
そういえば、今回気付いたことで一番大事な発見を。
この万博、来てるのは日本人だけで外国人の姿はパビリオンのスタッフや芸人しか見かけない。
つまり、国際博覧会とうたっているのに外国人観光客を見かけない。呼び込めてない。
いいのだろうか、これで?
(僕が気付くぐらいだから、みんな気付いて問題となっているか)
韓国語か中国語っぽい言語を聞いたのは1度か2度ぐらいか。
大阪の言葉ばかり耳に飛び込んでくる。
バンクーバーで万博が開かれていますというときにどれぐらい日本人が入場したのかわからないけど、
日本人なら当時カナダ、バンクーバーに旅行しようとした人は
オプショナルで万博見学に足を運ぶことも考えるはず。それなりに入ったんじゃない?
どうなんだろうな。
結果として名古屋の人たちが最上位で、日本の人たちがその次という万博なのだろうか。


その近くに刀削麺の店(というかホットドッグ屋のような売店)があって、
ここもまた長大な行列ができていた。
東京に住んでたらそんな珍しい食べ物でもないし、
懐かしくてありがたい定番の味ってんでもないんだけど。なんだか不思議だった。