僕が今社外常駐している神保町の大きなビルの1階エントランスには
なぜかチェンバロが置いてあって、月に2回ほど小さなコンサートを開いている。
エレベーターに貼られているチラシを見ると演奏者は毎回毎回変わるようで、
昼に行われるときは若手のお披露目、
夜に行われるときは実力者による本格的なものであるらしい。
なぜゆえにチェンバロ?という根本的な疑問はさておいて、
昨日の昼はそのミニコンサートにあたる日だったのでせっかくの機会、聞きにいった。
エントランスのチェンバロの前には椅子が並べられ、PA設備も袖には用意されている。
その都度楽器の編成は変わるようで、今回はバロックオーボエとチェンバロのデュオ。
2人ともまだ学生のようで、お世辞にもうまいとは言えない。
特にオーボエ。技術的にどうこうという以前に自信のなさが立ち振る舞いに現れていた。
それが音にも現れる。管楽器は吹く音の強弱であるとか、
それがもろに音色として出るからつらいよなあと思った。
一方チェンバロは僕のような初心者にはあんまり上手い下手がわからない。
鍵盤を叩いた際の音の余韻というものがない楽器なので、
正確に指が動けばそれなりの演奏に聞こえてしまう。
あ、そもそもチェンバロとはどういう楽器なのかと言えば、
形はピアノに似ていて、歴史的にはピアノの前身に当たるのだろうか。
僕としてはピアノと鉄琴を足して2で割ったような音だと思う。
ビートルズで言えば「In My Life」の途中で入ってくる鍵盤楽器のソロ。
あれはチェンバロではないんだろうけど、とりあえずああいう硬質で透き通った音。
15世紀から16世紀にかけて発達し、その後のいわゆるバロック音楽の時代に全盛期を迎える。
しかし19世紀以後はピアノに取って代わられるようになる。
(ピアノの歴史ってけっこう新しいんですよね・・・)
もちろん、昨日聞いた曲目もバロック音楽の作曲家によるもの。
G.F.ヘンデル「Sonata Op.1 no.8 c-moll」
C.P.E.バッハ「Sonate Wq135 g-moll」
※バッハと言っても有名な、J.S.バッハ(ヨハン・ゼバスティアン・バッハ)ではなくて、
その次男のカール・フィリップ・エマヌエル・バッハ。
オフィスビルの一角にてこういう小さな演奏会が開かれるのっていいもんだ。
今度は夜の部の実力者による演奏を聞きたいものだが、時間はあるかな。