日比谷公園

昨日の朝、浜松町の病院に行った帰りのこと。
山手線を有楽町で下りて、このまま何もせず荻窪まで戻るのもなんだな、と思った。


(映画を編集中で忙しいってことになってるけど、
 全部のシーンに同一のごっついエフェクトをかけて
 それをプレビューに反映させる処理を走らせてみたところ
 半日ぐらいかかりそうだったので、暇といえば暇だった)


10時半。銀座をブラブラしてカレーを食べて帰るか、と決める。
CREA eats のカレー特集に乗っていた店「吉葉」に行ってみようと店を探す。
コリドー通りの辺りだよなー、と思って歩いてると見つかった。
しかし困ったことに開店の1時間前。


そういえば日比谷公園って入ったことなかったな、ということをなんとなく思う。
自然と足が向く。あの緑がある辺りだよな、と。
帝国ホテルや宝塚のビルの前を通り過ぎ、日比谷通りを渡って公園の中へ。


「あ、意外と小さいものなんだな」とまずは思う。
それに、そんなに緑のある場所でもない。
都会のオアシスって呼ぶには、こじんまりとしている。
ただの広場を木々が申し訳程度に覆っているような感じ。
寂れてるなあ、と正直思う。
上野公園の忍ばずの池よりはましか。


広場は2つあって、まずは右側の方に行く。
真ん中にヤシの木の生えた大きな広場をベンチが取り囲んでいる。
パーク・ライフ」の舞台となったベンチってここなんだろうか?
小説の中では老人がラジコンの気球(だったか?)を飛ばそうとしていて、
この公園で出会った男女が「何をしてるんですか?」と声を掛ける。


ジョギングをしている人がいて(どこに住んでてここまで来るのだろう?)
体育会の学生たちが輪になって柔軟体操をしていた。


もう1つの広場では真ん中に噴水があって、
その広場の端に沿って白いテントの屋台が並んでいた。
東南アジア風の旋律を持つ音楽が大きな音で流れている。
組み立て式の小さなステージの上にはドラムや様々な楽器が並んでいたけど、
僕のいた時間は鮮やかな色の民族衣装を着た若い女性がちょこんと座って琴を叩いてるだけだった。
(名前分からず。琴のような音がして、細い撥で木琴のように両手で叩くやつ)


周りを見渡して、どうも今日はここでタイのお祭りが開かれているのだな、ということがわかった。
屋台は皆、タイ料理の店。
埼玉や千葉、関東一円のタイ料理屋が集まっているようだ。
タイの人たちがテントの中で肉を焼いたり、トムヤムクンのようなスープをかき混ぜている。
僕はそのうちの1つでグリーンカレーと揚げ春巻きを1本買って食べる。
「吉葉」に行くこともなく、公園の中の「松本楼」(ここもカレーが有名らしい)に入ることもなく、
噴水の端に腰掛けて手軽に屋台のカレーを。まあ、これはこれでいいかと思った。
タイ米の上にかかったアツアツのカレーで口の中がやけどしそうになる。
(それにしても揚げ春巻きっていいよなあ。生春巻きより絶対いい)


1度食べだすとやめられなくなって、
女の子(中学生ぐらいの、本当に女の子。タイの)がビールを売ってる屋台で
シンハ・ービールを買って、また別の屋台で串に刺した焼きたてのソーセージを買う。
タイのソーセージってそういうものなのか、ビーフンと米が入っていた。
陽射しの暖かい気持ちの良い日で、タイの音楽を聞きながら
噴水にまた腰掛けてシンハー・ビールをぐいっと飲み干す。
そんなちょっとした至福の時間を思いがけなく手に入れる。


あれもこれももっと食べたいけど、我慢して広場から出る。
もう1個小さな広場が端のほうにあるようで、
そこでは健康ドリンクのメーカーがお年寄相手に
ウォーキングのイベントのようなものを開催していた。


何の気取りもない庶民の憩いの場なのだな、ということがわかった。
僕はなんかもっと格式のある場所を想像していた。
だからなんとなく敬遠していた。


またなんかやってるかもしれないから、
暇な土日に来てみようと思った。