「親切なクムジャさん」

病院の帰りに、銀座コリドー通り近くの「吉葉」にてスープカレー(うまい!)を食べた後、
日比谷シャンテにて「親切なクムジャさん」を見た。
これは面白かった。無条件に面白いと言える映画だ。
シュールでグロテスク、ブラックユーモア溢れる作品なんだけど、そういう上っ面はどうでもよし。
「これっておもしれえな」と思わせたまま、
見る人の首根っこをガッと捕まえて最後までグイグイ引っ張っていく。
こういう作品なかなかない。「グッバイ・レーニン」を見たとき以来の、
映画が映画として面白いというワクワクした気持ちになった。
(例えば今年だったらクストリッツァの新作「ライフ・イズ・ミラクル」がダントツにいいわけなんだけど、
 ああいうのってどうしても監督として面白いってものになっちゃうんだよな。
 「アンダーグラウンド」を僕が絶賛してやまないのは、
 その監督のものとして面白いという以前に、映画が映画として面白いところにあるのだと思う)


韓国映画。監督のパク・チャヌク
JSA」で脚光を浴びて、「オールド・ボーイ」で審査委員長タランティーノ絶賛によりカンヌでグランプリ。
(このときの最高賞パルムドールはかのマイケル・ムーア華氏911
 僕はまだ「オールド・ボーイ」を見てないんだけど、
 絶対「オールド・ボーイ」の方が面白いんだろうなと思った)
主演の「クムジャさん」にはイ・ヨンエ
僕は韓国映画全然詳しくないのでこの人のこと初めて知ったんだけど、
先日 NHK BS でやってた「宮廷女官 チャングムの誓い」に出ていたようだ。
映画の内容としては復讐物。パク・チャヌク監督の復讐三部作の完結篇。
イ・ヨンエ韓国映画特有の実に正統派な美人なんだけど、
誘拐した子供を殺害したという無実の罪により13年の服役、
出所して真犯人に対して復讐を遂げるというとんでもない役どころ。


(それにしても、なんで韓国映画って「猟奇的な彼女」しかり、
 端正な顔立ちの正統派美人に対して突拍子もないことさせるんだろう。
 しかもそこに一切テレがなくて突拍子もない役を完璧に演じきってしまう。
 違和感を与えることなく。役者も監督もすごい)


劇場内は映画マニアっぽい若者は少なく、
韓流おばさんと思われる妙齢の(どちらかと言えば年上の)女性たちばかり。
韓国映画、「チャングムの誓い」のイ・ヨンエの出ている作品ってことで見に来たんだろうな。
どんな内容なのかは知らないで来たのか、
あるいは復讐物だって知ってもそこのところどうでもよかったのか。
見終わった後どんな感想を抱いただろう?
面白いと言い切れる人はどれだけいるのだろう?
「やっぱりイ・ヨンエってきれいよねえ」ってことになるのだろうか。
ちらっとカメオ出演している俳優を見つけては小声で「あれって×××よね」って指摘しあってたり。
猟奇的な内容で、前衛的な映像が随所に出てくるので、なかなか受け入れにくかったのではないか。
帰りのエレベーターの中で、首を傾げてる友人相手に
「だからあの人は高校時代に出会った先生で・・・」と熱心に説明してるおばさんがいた。
映画が映画として面白いのだから、そういう説明不要なのにな。


映画の配給会社にいる大学の先輩がこの映画を担当している。
「面白いから絶対見に来い」と言ってた。
確かに面白かったですよ、先輩。
こういう作品を担当できるのだから、やりがいある仕事だろうな。