今年を振り返る(映画部)

昨日に引き続き、今年のキーワード「映画部」について。
昨年末勢いで「映画部」なるものを立ち上げて、今年の4月より本格的に活動を開始。
何をどうしたら軌道に乗るのだろうとあれこれ悩んだものの答えは出ず、
有効な手が打てないまま1年が終わった。
苦し紛れに月に1度映画を見に行ったことと
突如降って沸いたように「世界の終わりに」の撮影を行って完成させたこと。
必要最小限のことはやったけど何もかも僕が中心で
僕の思いつきとスケジュールありき。
これはいかんよな。


人が集まって形作られる組織ってやつをいかにして有機的に動かしていくか。
わかりそうでわからない。
部員たちが自発的に「こういうことが面白そうだからやってみたい」と手を挙げてやってみる。
それを周りの人たちがサポートする。部長はその方向性を影になり日向になり導いていく。
会社の部活動なのだからそういうものであるべきだと僕はなんとなく思ってきた。
というか最近にしてようやくそう思うようになってきた。
来年のキーワードは「脱岡村」
僕が映画を撮らなくてよくて、どちらかというとプロデュースする立場にありたいものだ。
作品のプロデュース、あるいは、なんか楽しいことのプロデュース。

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「世界の終わりに」について。


この年になってもちゃんと継続して作品を作ってるのって偉いよ、と最近あちこちで言われる。
好きでやってるのだから偉いも何も、ってのが言われた本人の気持ち。
商業映画の監督になる気持ちは今更全くない。それでも作ってる。楽しいからね。


野球に草野球があるのなら、映画に草映画ってのがあってもいいと思う。
映画をつくるという気持ちが沸き起こって映画をつくり始める、
専門学校で技術を学ぶ、映画業界で職に就く、っていうのが
どうもあいまいなまま一緒くたにされてるのが今の自主映画界・日本の商業映画界のような気がする。
もっとコアなところで活動している自主映画の人のことはよくわからないけど。
そんなんじゃなくてもいいのになあ、もっと気楽に、
カルチャーセンターで講座があってみんなで合唱をするってのと一緒でもいいのになあと思う。
そりゃ作った作品は評価されたいし、見た人を何かしら感動させたい。
作っていくうちに脚本とか撮影技術とか演出とかどんどんうまくなって
より良質な作品を提供できるようになるべきだ。
だけどそれは今個人の魂が職人的に高まっていくしかないのが実情。
どうして今の映画業界・映画産業はこんなにも閉じられているんでしょうね?
裾野が広まっていくことによって生まれるべきものが、今、一切育たない。


愚痴っていても仕方がない。
というか日本映画界に対しては特に思うところのものはないんだけど。
今のところ、これからも、一観客を脱することはないだろうし。


作品について。
完成して1ヶ月たつが、なんだかよくわからなくなってきた。
これまで作ってきた作品の中では最も受け取りやすいものになったとは思う。
映画というパッケージ/フォーマットとしてはこれまでで最もまとまったものを作ったし。
なので、高いハードルそのものは超えた。
でも、それによって提供されるものとしては今ひとつであって、
端的に言って取り立てて面白いものではないのだと思う。
出てくれた人たちには大変申し訳ないんだけど。


1つには準備不足ってこともあるし、1つには僕の魂の込め方ってのもある。
前者としては音の撮り方にもっと注意を払うとか、
各シーンの状況の構築をもっと綿密に行うとかいろいろやるべきことは他にあった。
撮影が1日にしかないのならば特に。
ドラクエなんてやってる場合じゃなかった。


後者については、気合が入ってないとかいうことでは決してない。
でもどこか薄味なんだよな。
どうしても「砂の映画」とか「29」とか
私小説的ドキュメンタリー風なものの方が僕は圧倒的に好かれて
脚本があって物語りになっているものはつまらなくなってしまう。
僕が持てるだけのもの全てをぶちまけて自分というものをさらけ出すのではなく
どうしても一歩引いた立場から語ろうとしてしまう、
ってのがいろんなことを中途半端にしてるのだと思う。
「29」ってのがぶちまけすぎで、人によってはなんだか息苦しいぐらいなのを
整理してコンパクトに僕の中のこの部分だけ、というふうに提示しようとしたのが
「世界の終わりに」のはずなんだけど。
なかなか難しいもんです。


演出というものが
「場を提示する」「その作品という世界観/空間を構築する」ってことだとしたら、
僕は昔からずっと、身の回りの与えられた人員とその関係性の中から
糸を見出していって形作るっていう方法論を続けてて
(というかそれしかできない)
今作のそれは完成の域に達したと思う。
「世界の終わりに」という価値観や空間は構築できた。
これはこれでなかなか難しいことが達成できたはず。
でもそれが面白いかどうかは別問題・・・。


あーうだうだ思い悩んだまま時間だけが過ぎていく。


それにしても自分のこと、自分の作品のこととなるといつも暗いことしか書けない。