どうして宇宙人は僕を迎えに来てくれないのだろう?

この広い宇宙に、宇宙人という存在がいるのなら
どうして彼らは僕を迎えに来てくれないのだろう?
小さな頃から、たぶん10歳の頃から、ずっと念じ続けてきた。
届いてないのだろうか?僕の声が彼らに届かないのだろうか?
20年間待ち続けている。
これで僕はもう31歳だ。
どうして、来てくれないのだろう?


僕をこの地球という星から連れ去ってほしいと思う。
どこか別の星に連れて行ってほしいと思う。
僕が今地球人であるなのは何かの間違いであって、
まだ小さな頃に置き去りにされて、救出されるのを待っている。
この肉体を脱ぎ捨てて、新しい姿に早く生まれ変わりたい。


僕は真夜中の川辺に立ち、
まばゆいばかりの光が頭上から降り注ぐ光景を想像する。
赤と黄色と、そしてそれらを圧倒する真っ白な光。
僕の体はふわっと持ち上げられ、宇宙船の中に吸い込まれる。
遅くとも次の日には太陽系を離れていて、銀河系の中心へと突き進んでいく。
僕は彼らの言葉を学び、全てを受け入れる。


地球という星は今危機に瀕している。
このままだと僕は名も無き地球人として朽ち果てることになる。
ああ、その前に、手遅れになる前にこの僕を救い出してくれ。
僕をその箱舟に乗せてくれ。
僕以外の人間を連れて行くのなら僕は嫉妬する。
僕は流刑なのか?ここは流刑地なのか?
ここはどこなんだ?
僕は誰なんだ?


この広い宇宙に、宇宙人という存在がいるのなら
どうして彼らは僕を迎えに来てくれないのだろう?
僕はIT関係の会社でSEとして働きながら、
朝晩地下鉄に揺られながら、
時には地球人の友達と酒を飲みに行って、
時には1人きりでこの星の海を見に行って、
そんな時間を過ごしながら、
心の奥底でずっと待っている。
待ち続けている。