町田「リッチなカレーの店 アサノ」

今年第一回目の「カレーの会」を開く。
店は僕が行ってみたくて行ってみたくて仕方なかった
町田の「リッチなカレーの店 アサノ」
日本で一番うまいカツカレーの店ということになっている。


カレーのためだけに土曜、町田まで行く。現地集合。
新宿から小田急線の各駅停車に乗ったら1時間かかった。
前の日朝まで飲んでて寝てなかったから確実に座って行きたかったわけだけど、
まさかこんなに時間がかかるとは・・・。遠い・・・。
カレーの会で言えば柏「ボンベイ」に行ったときよりも遠く感じた。


ネットで地図を調べて一番近かったので
集合場所をJR町田駅のターミナル口にしたんだけど、
みんな小田急線で来るので場所が分からず。両者の間はかなり距離がある。
僕も含めて土地勘無し。
集合時間になって全員から続々と「場所どこ?」「迷った」と電話がかかってくる。
いや、ほんとすいませんでした。幹事の力不足。


「アサノ」は路地裏の狭くて暗い通りの中でひっそりと店を構えていた。
吉祥寺のハモニカ横丁のような雰囲気。
店はものすごく小さくて、僕ら5人で行って最初入れなかった。
カウンターだけ。7人しか入れない。


ご主人は確か会社を定年退職した後で店を開いたとのことでかなりの高齢。
小柄で、動作は非常にゆっくりとしていて、
失礼ながら「大丈夫か・・・」とまじで思ってしまった。
注文は?と聞かれて全員迷わずカツカレー。
ポークカレーやチキンカレーもメニューにあるんだけど、
頼むと「なにー?」って感じでカツカレーを薦められると
以前どこかで見かけたブログに書かれていた。
実際、「うちのカツは高座豚を使っていてとてもおいしい」と
僕らの後に来てポークカレーを頼んだカップルに向かって
トクトクと噛み締めるように語っていた。
頑固オヤジなんだけど、なんだか非常にかわいらしい。というかお茶目。
カウンターには何の臆面もなく
店を取り上げたあれこれの雑誌やガイドブックが並んでいて、
わざわざ開いて僕らに読めと差し出す。
「お客さんどこでうちのこと聞いたの?」と聞かれて僕は「クレアです」と答える。
そのクレア・イーツもしっかりカウンターの上にあった。
「クレアと、(ゴスペラーズ黒沢薫の)「ぽんカレー」で店にいっきに
 人が来るようになったんだよね」とご主人はしみじみ語る。
その間手は思いっきり止まる。
僕らは「オヤジ、それはいいから早くカレー出してくれ!」と心の中で悲鳴を上げる・・・


とにかく動作がゆっくり。
頼んでから出て来るまで30分はかかっただろうか?
僕らがカツカレーを頼んだら、豚肉を溶き玉子に絡めてパン粉につけるところから始まった。
その辺の下準備無し。こだわってる。
あまりにもゆっくりし過ぎてて、目の前に立ってるのに何をしてるのか分からず。
そのカツを揚げだすまでさらに10分はかかった。
息子さん(跡を継ぐのか?)が手伝ってるんだけど、鼻にも引っ掛けない様子。
「おまえには大事なこと、いっさいやらせないよ。
 わしが1人で全部全部ぜーんぶやるんだよ」と言わんばかりに。
息子さんは今注文はあれとこれが入ってて、
これはここまでやったからと世話を焼くんだけど全然聞いてない。
大変だ。とてつもない忍耐が必要とされる。
そんで手を休めてオヤジさんは「ぽんカレー」を開いて、
「この人店に来て取材したみたいなんだけど、
 何にも言わずに来て食べて帰ったからわっかんないんだよねえ。
 写真も勝手に撮ってったみたいで。
 言ってくれたらもっと見栄えのいいように盛ったのにねえ」と思い出話。
聞いてて僕らは腹がグーグー鳴りっぱなし。
それはもういいから!!


そんなこんなでようやくカツカレーが出てくる。
カツを揚げてもそれをすぐザクザクと切って乗せて出すということはなく、
おいおい冷めんじゃないの?と心配になるぐらいスローモーに物事が進んでいく。
ご飯を皿に盛って、ハカリで重さを量って、
電子レンジでジャガイモとニンジンを温めて、カツを乗せて、カレールーをかける。
最後に絹さやをちょこんと。
「手際のよさ」という概念一切なし。



なのに、「うまい」



おいしい! おいしい!! おいしい!!!



驚きである。カツもカレーも、魔法がかかっている。
そうとしか言いようがない。
スパイシーで爽快感に満ちたルー。
見てるすぐ目の前で電子レンジに入れて温めて
「おいおい・・・」と思った後乗せのジャガイモとニンジンも
(つまり、ルーの中で一緒に煮込んだわけではない)
しっかりルーと調和してる。下茹での加減が絶妙なのだろう。
そしてサクサクのカツ。
あっさりとしてるのにジューシーで、ルーとのコンビネーション最高。


すごいよ、これ・・・


夢中になって食べて、一瞬で食べ終わった。


吉祥寺「どん花」無き今、
淡路町の「トプカ」を抜いて僕の中では、都内で一番のカツカレーだな。
つうか「トプカ」よりもさらに2・3歩抜きん出てうまい。
町田なのが非常に残念だ。
都心にあったら毎週通ってもいい。


カレーそのものとしても、これまでカレーの会で訪れた中では
柏「ボンベイ」に次ぐうまさ。
もう1度繰り返す。
カツもカレーも、魔法がかかっている。

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その後町田にて午後3時頃だっただろうか?
昼から開いてる居酒屋を見つけて飲む。延々8時頃まで。
ゆっくりまったり語る。
この日一番の話題は
都内でマンションを買うにあたって、子供の数とそれに応じて必要とされる敷地面積と
そこから導き出される間取り選択の可能性、そしてどこの沿線がどれぐらいするか。
みんな30代を過ぎて、やっぱ話題はそういうのが盛り上がる。