「大人の遠足」横浜キリンビール工場編

3月18日(土)の続き。午後。
川崎のブックオフで中古CDのセールを物色したりなんかして暇をつぶした後、
京浜東北線で2駅隣の新子安へ。
横浜のベッドタウンなんだろうな。
昼に訪れた扇町とはまた別な意味で何もない。
「オルト横浜」という複合ショッピングスペースが駅の隣にあって、
コーヒーを飲むとしてもドトールかマックぐらいしかなく、ドトールに入る。
アメリカンを飲みながらリチャード・ブローティガンの「西瓜糖の日々」を読む。


時間が来て、待ち合わせの場所へ。
もうみんないい年してるので普通に何人か遅れてくる。
キムさんはものすごく早めに来ていて、
サッカーのグラウンドを見つけると
そこで行われていた小学生のサッカーの試合を眺めていたのだそうだ。
「すげーんだよ。感動するよ。オマエああいうの見たほうがいいよ。
 小学2年生か3年生だけど絶対オマエ負けるよ」力説される。


まあとにかく6人のうち5人揃ったのでキリンビールの工場へ。
新子安の駅からまっすぐ大通りを歩いていくと着く。
敷地は広く、工場も大きい。
入口ではニコニコとした警備のおじいさんが
「こんにちは」「見学ですか?」と声を掛けてくる。


受付を済ませる。
割と早く到着したので時間が余る。
ホールのような場所の一角に椅子が並んでいて、
ビデオで日本のビール製造の歴史がビデオ放映されている。
明治の初め、アメリカ人ウィリアム・コープランド
横浜の山手に日本最初のビール醸造所を作ったのが始まりとのこと。
ホールの反対側には日本で初のビール宣伝用の車が飾られていた。
色は全体的に白で、ビール瓶の形をしている。
あと、キリンは「チャレンジカップ」を主宰してるからか
サッカー日本代表への応援メッセージを募集していた。


受付をしていて気付いたんだけど、
これって予約せずにふらっと来て見学することも可能だった。空いてれば。
出来立てのビールが試飲できて、見学料なし。太っ腹。
金のない学生の一団が「ビール飲むか」と思って来たりしないだろうか。
僕が学生だったら、絶対やったと思う。2度、3度。


僕らが申し込んだのはクイズツアーだったこともあって、
「高得点取るべし」と各自パンフレットをかき集めて予習に励む。
なお、ビア・ヴィレッジやクイズツアーについては、↓
http://www.kirin.co.jp/about/brewery/factory/yoko/tour/index.html


時間が来て、工場見学&ツアー開始。ガイドのお姉さんにくっついていく。
エスカレーターで上っていってまずはビール醸造の歴史を学ぶ部屋。
エジプト文明にてビールの原型とされる飲み物が作られるようになり、
中世の修道士たちの間で製法が受け継がれていって、というもの。
スイッチを押すと人形が動いたり、映像が始まったりする。博物館っぽい。


そこから先は工場の各工程を。
材料の説明。麦芽3種類とホップ。黒ビール用のカラメル麦芽ってのがあった。
その次は巨大な漏斗が何個も地面に埋められているかようなものすごく大きな部屋。
どれも同じようでいて「糖化槽」「麦汁濾過槽」など異なっている。4種類あったか。
瓶ビールにして20万本が処理されるのだという。
麦芽を砕いてお湯の中に入れて麦汁を抽出して煮沸して、発酵させる。
そして発酵タンクに移す。
高さ20mの細長いタンクがこの工場になんと139本も立っている。
この中で酵母を加えられた麦汁が寝かされてビールとなっていくわけだ。
1日たつとここまで発酵する、4日たつと、7日たつと、と発酵の過程が図示される。
ここでキムさんがガイドのお姉さんにいい質問をする。
Q「ビールにもいろいろ銘柄がありますが、
  これら麦汁を抽出する工程ではどれも一緒なんですか?」
A「いえ違います。麦汁を抽出する初めの段階から、全然違ってるんです」
なるほど。たぶん麦からして「一番絞り」用、「ラガー」用があるんだろうな。


奥の部屋に進んでいくと、
「では、(ビールではなく)麦汁を飲んでみましょう」と
少量入ったカップを一人一人手渡される。
アルコールも炭酸も入っていない。
麦の匂いが強く、味はものすごく甘い。シロップのよう。
この銘柄を当ててみましょう、と5個の缶が並ぶ。
甘ったるいので「淡麗」のグリーンラベルかと思ったら全然違ってて、「一番絞り」だった。


ここから先の工程は瓶詰め・缶詰め・樽詰め。
まずは瓶詰めのライン。この辺りから小学校の社会見学的雰囲気が強くなってくる。
残念なことに土日であるためラインは停止。
平日ならば瓶のぶつかり合う音でうるさくて、中で働いている人は耳栓をしているのだという。
CCDカメラ7台でまずは瓶を検品。
このラインでは1分間に600本もの瓶詰めがなされる。ビデオで見たけどとんでもない速さ。
「日本の科学技術はたいしたもんだ」と素直に感心する。
缶はもっと早くて、1分間に1500から2000本!
すげーすげー、と心の中で連発。


・・・ってな感じで見学が一通り終わる。
その後はキリンビールの歴史と、環境への取り組み。
横浜の山手にはこの日本最初工場にて使われた水を汲んだ「ビール井戸」があり、
ビアザケ通りってのが今も名前として残っている。などなど。


クイズは8問。各工程ごとに1問ずつ。
初めてじゃない人のことを考慮して問題のパターンはその都度変わるとのこと。
「ビールを濾した後の麦のカスは何の原料となるでしょう?」
「ビール瓶はリサイクルされますが、平均して何回再利用されるでしょう?」
といった問題が出題された。
僕は「けっこう当たったはず、6問ぐらいいけてんじゃないか」と思ったのに
フタを開けてみたら3点だった。でもこれが平均点で、最高点は5点。
この5点がなんと僕らのグループから2人出て、1位2位決定戦を行う。
1位の商品はビアジョッキ。2位は携帯のストラップだった。


最後は出来立てを試飲。待ってました!
ラガーを飲む。さすがうまいね。「喉越し爽やか」ってこういうのだね。
いっきにゴクゴクいっちゃうともったいないのでゆっくり味わって飲んだ。
1人2杯まで。おつまみつき。
ラガーと一番絞りと端麗生と3種類選べる。
ここまで来て発泡酒飲む人なんているのだろうか!?
ラガーでしょ?ラガー。


僕らのグループは多かれ少なかれ変わり者ばっかりだったので
あくまで「試飲」だって言ってるのにくつろいで
お土産コーナーで味玉やチーズやサラミを買ってすっかり宴会モード。
いやー、お金払ってこのまま居続けたかった。


お土産コーナーで売られていたのは
ビール入りのうどんとか、ビールゼリーや麦のせんべい、
イメージキャラクターのぬいぐるみやTシャツ、など。
変わったところではホップ柄のネクタイとか。


いや、ほんと、ビール工場、いいね。
今度は調布のサントリーの工場に行ってみたい。


工場の広い敷地の中で迷って
従業員向けの通用口に着いてしまい、鍵がかかっていて出られなくなる。
無理やり柵越えしようとしていたら従業員のおじさんが通りがかって、開けてもらう。
恥ずかしいことをした。


雨が降り出して、濡れながら駅まで歩く。
途中土砂降りになって完全に濡れネズミ。


(続く)