オハイオ隊、遠征(その23)5/7シンシナティ美術館

シンシナティ美術館の中庭


「エデンパーク」という丘の上の住宅地へ。
ここは打って変わってきれいな場所。芸術家たちが好んで住む一角。
こじんまりとした白い木造の家が建ち並ぶ。
僕らが訪れた日は快晴。
燦燦と日光が降り注いでどの家もキラキラと穏やかに輝き、天国のようだった。
余生はここで暮らしたい、と思わせるほどの。


緑多い丘をどこまでも上っていった頂上に美術館があった。
http://www.cincinnatiartmuseum.org/greatart/


入場は無料、特別展だけは有料。
レンブラント展をやってたんだけど、
有料だし時間もないしで残念ながら見れなかった。


入るとまず古代文明の部屋ってことで、
エジプトのピラミッドから見つかった棺(中ではミイラが眠っているらしい)など。
その奥にアフリカ。反対側の部屋にはミロの大きな壁画。
本来はシンシナティのホテルのために描かれたものがこちらに移されている。


1階は2003年にオープンしたばかりの「the cincinnati wing」
シンシナティの芸術家たちの作品)やアメリカの黒人たちの作品を集めたコーナー、
その他アメリカの美術・工芸品の数々(絵画に限らず衣服や食器、家具もあったと思う)。


反対側はアジア(特に西アジア)の美術品となっていた。
日本のコーナーでは刀のツバやツカ、短刀のコレクションがケースの中に。
そしてなぜか、「はっぴ」が飾られている。なぜ?
もっと、こう、他にあるじゃない。日本の着物としては・・・
複雑な気持ちになる。
西アジアってことでは「ダマスカスの部屋」ってのがあって、
18世紀シリアのムスリムの住んでいた部屋を移設。
シンシナティ在住の富豪が買い取ったものを譲ったようだ)


2階はヨーロッパの美術。
宗教画の時代から印象派以後、現代美術まで幅広く展示している。
以下、僕が見た絵のリスト。


Jean-Francois Millet 「GOING TO WORK」(1851-1853)
Edouard Manet 「WOMEN AT THE RACES」(1865)
Claude Monet「ROCKS AT BELLE-ILE, PORT-DORMOIS」(1886)
Vincent van Gogh 「UNDERGROWTH WITH TWO FIGURES」(1890)
Pablo Picasso 「STILL LIFE WITH GLASS AND LEMON」(1910)
Edward Hopper 「SUN ON PROSPECT STREET (GLOUCESTER, MASSACHUSETTS)」(1934)
http://collection.cincinnatiartmuseum.org/results.jsp?view=detail&pos=39&id=77456
Henri Matisse 「THE RUMANIAN BLOUSE」(1937)
Joan Miro 「MURAL FOR THE TERRACE PLAZA HOTEL, CINCINNATI」(1947)
Andy Warhol 「Pete Rose」(1985)
http://www.cincinnatiartmuseum.org/greatart/tour_contemporary.shtml


※これらは美術館のサイトのデータベースにデータあり。
 ホッパーとウォーホルは画像も見れます。
(規約に同意しますか、と聞かれるので同意するを選んでください)


ピカソゴッホやモネなど、有名な芸術家の作品は実物が見たくなったら
(日本に来てれば)都心の美術館で見ることができるけど、ホッパーは初めて。
これは嬉しかった。思いがけなく見ることができて、感激。
一番いい作品の類ではなかったけど。
僕としてはもう何年もホッパーが一番好きな絵描きだ。
ウォーホルの「ピート・ローズ」はシンシナティ・レッズにちなんだものですね。


他、美術館のサイトにデータがないけど、
ぼくが見たってことでメモった芸術家たち。


Peter Paul Rubens, El Greco, Pierre Bonard,
Amadeo Modigliani, Georges Braque, Marc Chagall,
Mark Rothko, Diego Rivera, Rufino Tamayo, Nam June Paik


ナム・ジュン・パイクはもちろん、ビデオ・インスタレーション的作品。
2mぐらいの高さのタンスのようなのが立ってて、
その中にモニターがいくつも埋め込まれていて、
映像のコラージュがチカチカと切り替わっていくというもの。
2階と3階の間の踊り場に展示されていた。
3階に上がると完全に現代アートで、もうわけわからず。
誰も見物客がいなくて、学芸員の男性が相当暇そうにしていた。


1階同様2階もアメリカの19世紀の美術・工芸品が充実している模様。
オハイオ州に本拠地のある P&G のコレクションってのがあったり、
珍しいところでは19世紀末のティファニーシュガーボウルが展示されていた。


あと、全然名前を知らないんだけど、
今回見て気になって、帰りにギフトショップで絵葉書を見つけて買った絵画。


John Singer Sargent 「A VENETIAN WOMAN」(1882)
http://collection.cincinnatiartmuseum.org/results.jsp?view=detail&pos=45&id=89295
Edward Timothy Hurley 「THE MIDNIGHT MASS」(1911)
http://collection.cincinnatiartmuseum.org/results.jsp?view=detail&pos=4&id=24626


最後に、今回見れなかったものの
実はこういう絵画もシンシナティ美術館では所蔵しているというリスト。
貸し出してるのかな。広重も歌麿棟方志功もなかった。


Henri Matisse 「THE RUMANIAN BLOUSE」(1937)
Henri de Toulouse-Lautrec 「AU MOULIN-ROUGE」(1892)
Joseph Mallord William Turner 「LYME-REGIS, DORSETSHIRE, ENGLAND」(Circa 1834)
Pierre Auguste Renoir 「MLLE. JEANNE SAMARY」(Circa 1878)
Paul Cezanne 「THE BRIDGE OF TROIS-SAUTETS (LE PONT DES TROIS-SAUTETS)」(Circa 1906)
Utagawa Hiroshige 「NO. 57, GROUNDS OF KAMEIDO TENJIN SHRINE (KAMEIDO TENJIN KEIDAI)」(1856)
Kitagawa Utamaro 「THE COURTESAN ICHIKAWA OF THE MATSUBA ESTABLISHMENT」(Late 1790s)
Edgar Degas 「DANCER IN HER DRESSING ROOM (DANSEUSE DANS SA LOGE)」(Circa 1879)
Wassily Kandinsky 「KLEINE WELTEN, IV」(1922)
Shiko Munakata 「CHILDBIRTH」(1959)


中庭は美しい庭園となっていて、オープンカフェ
でも時間がなくてコーヒーは飲めず。
駆け足だったのでレンブラント展に限らず、無料の企画展も見れなかったのが残念。
ミニチュアアートや肖像画のだったみたいだけど。
常設展の図録があったら買いたかったのに、売ってなかったのも残念。


見終わって、外に出て、眺めのいい丘の上へと歩いていく。
木々の向こうに、シンシナティダウンタウン、摩天楼。素晴らしい景色・・・
車に乗ってもう一箇所、オハイオ川を見下ろす見晴らしのいい場所へ。
川にかかる黄色の橋がバッチリ見える。
川の向こうはケンタッキー州
ケンタッキー州奴隷制度容認派でオハイオ州奴隷制度反対派。
よって19世紀後半、奴隷たちは川を泳いでオハイオに逃れようとしたのだという。


丘の上に真っ白な教会が建っている。
その周りはこじんまりとした家並み。あちこちの家にベランダがある。
「バルコニーとベランダってどう違うの?」と誰かがふと、素朴な疑問を口にする。
たまたまこの日電子辞書を持ってきていたコムギちゃんが取り出して調べてみる。
その違いは、バルコニーが屋根なし、ベランダは屋根あり。
これまでなんとなく雰囲気で使い分けてた。この違い、知ってましたか?


車に乗って、坂道を下って行って、ダウンタウンへ。
日曜なので通りは閑散としている。教会へ行く人が多いからだ。
近代的なビル街なのに、人の姿がない・・・
現代美術センターの前を通り過ぎる。タフト美術館もこの辺りか。行きたかったな。
スタジアムが2つ、大きいねえ。フットボールのとメジャーリーグのと。
なぜかスタジアム前の交差点の歩道には無数のTシャツが山となっていた。
たぶん、この日行われた「Cincinnati Flying Pig Marathon」の途中で
脱ぎ捨てられたものなのだろう。
川沿いのニューポート水族館近くの橋を渡って、ケンタッキー州へ。
シンシナティのこちら側はニューポートと呼ばれる。


この川沿いにあった「Hooters」はオハイオ州立大学の女学生たちが集まっているので、
オハイオの中でもレベルが高いとのこと。
「Hooters」っていうと僕なんかだと
「朝までダンス」といったヒットを80年代に飛ばしたロックバンドを思い出すんだけど
普通はレストランのチェーンのことを指す。http://www.hooters.com/
http://www.narinari.com/special/200408-01/ こういうサイトが参考になる)
スタイルのいい美女しかウェイトレスに採用せず、制服はタンクトップ。
素晴らしいですね。
今回の旅行の間に何度か行く話は出たのに、残念ながら行けず。
別にメシがうまいってわけじゃないってことで。