久々の青森帰省③ 「青森コンプレックス」

青森県立美術館


16日(日)の県立美術館訪問、続き。
シャガールを見終わって、常設展へ。
「青森コンプレックス」と題し、青森県ゆかりの芸術家の作品を集めている。
三内丸山遺跡から出土した土器に始まり、
棟方志功澤田教一寺山修司奈良美智など錚々たる名前が連なる。
これら全然方向性につながりがなく、
「青森」というキーワードだけでつながっている人たちの作品を
一度に見れるってのは、青森県の美術館ならでは。
東京じゃ天地がひっくり返っても見られないだろう。
青森県民たるもの、1度は見ておくべきだ。


棟方志功も申し訳程度に飾ってるのではなく、
棟方志功記念館が所蔵する作品を借りてきて2部屋に渡って惜しげもなく展示。
(子供のときに見た棟方志功のドキュメンタリー番組で「変な人だなあ」という印象を受けて、
 それ以来ずっとその印象のままできたけど、
 ここ何年か僕の中でその版画のすごさがわかるようになってきた。
 今日見てさらに思いを強くした。この人はこの人にしかない芸術=神を見出していた)


奈良美智も、「ソウルハウス」という素朴な木造の家まるごとを展示。
それと県立美術館のコミッションワークとして
どでかい(8.5m)「あおもり犬」という真っ白な犬を造っていた。
例のスヌーピーみたいな犬の最大サイズ版。


澤田教一はもちろん戦場の写真。
ピューリッツァー賞を受賞して一躍世界的に有名になった
「安全への逃避」のニュープリント版が飾られていた。
初めて、実物(じゃないけど)を見ることができた。これは素直に嬉しい。


寺山修司天井桟敷の公演のポスターを集めたもの。
「書を捨てよ町に出よう」とか「青森県のせむし男」だとか。


その他、気に入った・気になったものとしては。
なんといっても成田亨の諸作。
ウルトラマンと怪獣たちのキャラクターデザインの原画(!!!)
ウルトラQ  :カネゴン、バルンガ、ピーター
ウルトラマン :ダダ、ゼットン、バルタン星人、ジャミラシーボーズ
ウルトラセブンメトロン星人、ユートム、エレキング
(実際はもっとあった)
これはすごい!すごすぎる!!感激!!!
見れてよかった。嬉しかった。アルコよりも。棟方志功よりも!
僕ら世代にはほんとたまらない。(僕は追体験だけど)
キャラクターデザインを見ると、
これはこれで1つの完成した芸術なのだなあと感心させられた。
冒頭に成田亨の怪獣造詣についての哲学が掲げられている。
・変に奇矯なものとしない(頭が2つあるだとか)
・身近な事物や芸術作品から着想を得る
・傷口がついたり、血を流した姿とはしない
といったようなことだったと思う。
ミュージアムショップで絵ハガキ買いあさって、
感動の余り、限定100部で販売されていた、
遺族が自費出版で出した成田亨の遺稿集も買ってしまった。
いやぁ。バルタン星人もメトロン星人も今、大人の目として眺めると
とても美しいよね。フォルムが。不思議な感覚を湛えてて。
今回の一番の収穫。
あー。東京に戻ったらウルトラマン怪獣図鑑みたいなのを探しちゃいそうだ・・・
(小さい頃むさぼるようにページをめくってた怪獣図鑑が今見つからなくてがっかり)


他には。今回初めて知った人たちばかりですが。
青森の風景や青森に生きる人たちの姿を描いた今純三、高木志朗の版画、
村上善男の幾何学的な「不思議な」としか言いようのない諸作、
(美術館で見たのよりも、図録に載ってる作品の方がいいね)、
そして小島一郎の津軽や下北をタイトルにした素朴な孤独に満ちた写真たち。


シャガールもよかったが、常設展もよかった。これで1800円は安いなあ。


バスに乗って青森市街へ戻る。
服を買って回る。
EVISU」の店ができていた。結構大きい。客が入ってなかったけど。大丈夫だろうか?
いくつか回って、Led Zeppelin のツアーのポスターを模した白い長袖のTシャツ、
黒のアロハ、龍をモチーフにした白のTシャツなどを買う。
高いものばかり買って、結構な出費。
最近ここ何年か、青森に来たときぐらいにしか服買ってないんだよね・・・


3時ごろか、雨が降り出した。
その後夜に掛けて大雨。


昨日同様、「PAX」でCDを買う。
東京で買い逃して中古で探していたやつの続き。
Muse 「Hyper Music」 Neil Young 「Greendale」(DVD付きのほう)
家に帰ってきて、聞く。どちらも、よし。


昼食べてなくて、夕方帰ったらちょうど母がカレーを作ったばかりだった。
半分ぐらいご飯をよそって、カレーを食べる。うまい。一瞬で食べ終わる。
夜も2皿食べた。


昼寝。雨の音を聞きつつ。村上春樹読みつつ。


銭湯に行く。雨が降っていたので空いてるかなと思ったら、逆に混んでいた。
湯船にはゆっくり浸かってられず。
2回目入ろうとしたら、全身、肩から腰まで刺青を入れた男性が小さな子供を連れて
男湯に入ってきた。(小指はあった)
男性は子供に銭湯でのマナーを教え、
その後浴槽でお湯を掛け合ったり「楽しそうに」過ごしていた。
小心者の僕は近づけず。スゴスゴと退散。


さんまのからくりテレビを見ながらごはん。
東京で1人でいるとき、この番組だけは見ていたが、
ここ2年ぐらいで見なくなった。
その間、セイン・カミュはいなくなり、ボビーもブレイク(そして消えていった・・・)。
今は今でバンドをやってる小学生や替え歌合戦とかやっていて面白い。たいしたもんだ。


部屋で音楽を聴きながら本を読んで過ごす。
居間から、テレビを見る母の笑い声が聞こえる。
幸福とは、こういうところにある。