パックマン

会社を辞めるのはいいとして、そっから先どうやって食ってけばいいのだろう?
最近そればかり考えている。
やりたいことがあるのに、ここにはいてはそれができない。僕の求めるものはここにない。
このこと自体は立派な理由になる(と思う)。
しかし、それでどうやって日々暮らしていくか。
コンビニの店員だろうか?3流の不動産屋だろうか?
同じIT業界の下請けの下請けみたいな小さな会社だろうか?
今更この年で自分には何ができるのだろう?


進むにも退くにもどっちを選んでもパッとしない未来が待ち受けている。


考えても仕方がないと思う。
考えるのは、実際に行動に出てからでもいいのではないか?

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なぜかふとパックマンのことを思い出す。
あの「パックマン」だ。ナムコの。しかもかなり初期の。


パックマンになりたい。
黄色くて、口ばかりがバカでかくて、
目の前のエサをパクパクと食べ続けて、
モンスターに追われて逃げたり、こちらから追いかけてパックンしたり。
誰かに操作されて、永遠に、あの四角い画面の中で。
動き回って、その大きな口を、開けたり、閉めたり。
プレイされている間は、ずっとそれだけ。
あとは、埃をかぶってどこかの部屋の片隅に転がっている。
もしかしたら電源オフのまま、10年以上ほったらかしにされてるかもしれない。
それでもいい。僕は意識のないまま、眠り続ける。


あー。青森帰ればまだあるんだろうな。
あれは小1のクリスマスだったろうか。
黄色いボディのゲーム機を買ってもらったか、あるいは誰かからもらった。
電池を入れたら今でも動きそうな気がする。
僕は何点取れるだろうか?何面クリアできるだろうか?


今もまだパックマンは進化し続けているのだと思う。
だけど思い浮かべるのは最初期の、最も素朴な形のゲーム。
単純なルール、単純なロジック。単純なグラフィック、単純なメロディ。
単純なコンテクスト。
何も考えなくていい。


なんか、今、そういうのを1日中やっていたい。
どこか誰も知らない部屋で1人きりで、閉じこもって。
1週間2週間が手のひらの砂のように零れ落ちて、過ぎ去っていく。
それでもいい。そんなんでいい。


僕は今、パックマンになりたい。