最近の若い女の子の歌詞

チャットモンチー「耳鳴り」


最近毎日、毎晩のように聞いている。
特に9曲目の「恋愛スピリッツ」を。繰り返し、繰り返し。
彼女たちの2枚目のシングル。
ものすごく単純な曲。なのに、耳から離れない。
終わるとまた、聞きたくなる。


歌詞がいい。
「これが女の子の気持ちか!」「これが女の子の恋か!」と
都内在住の31才独身男性、青森出身としては思うわけですよ。


ところどころはしょりながら引用。

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今までひとつでもなくせないものってあったかな
今までひとつでも手に入れたものってあったかな
どうか無意味なものにならないでね
今すぐ意味のあるものになってね


あの人がそばにいない
あなたのそばに今いない
だからあなたは私を手放せない


あの人をかぶせないで
あの人を着せないで
あの人を見ないで私を見てね


あの人がそばにいない
あなたのそばに今いない
だからあなたは私を手放せない
だからあなたは私を手放せない
だからあなたは私を手放せない
だから私はあなたを想っている
だから私はあなたを想っている

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これが恋愛を描いた歌詞の真骨頂、最高峰かどうかはわからない。
女性の恋愛の教祖とか他にいるしね。よくわからないけど、古内東子とか。


でもこれが真骨頂でも最高峰でもなくていい。全然いい。
そういうのとは全然別の次元で、
なにか人としての真実ってヤツを描いているように思う。


無邪気に、いろんなことがよくわからないまま、
子供たちは大人たちの世界を垣間見て、足を踏み入れる。
そのドキドキした気持ちと不安な気持ちとが、
ここに100%純粋な姿で描かれている。
僕はそう思う。


ただそれが今、たまたま「恋心」って姿を取っただけだ。

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徳島在住、3ピース。平均年齢23歳。
曲はギターの子が書くけど、詩は3人でそれぞれ書いてる。
こんなすごい曲を書ける女の子たちが
普通に「地元」に暮らして活動し続けているなんて。
すごいよ、すごいことだよ。


僕が最初知ったのは、Rockin'on だった。
徳島にすごい女の子バンドがいる、みたいに熱狂的に書かれていた。
確か山崎洋一郎が書いていたように思う。
「どうしようかなあ」「買ってみようかなあ」とウダウダしているうちに
シングルが出て、アルバムが出て、しばらく経つ。
先月のある日、銀座の HMV で、妙に耳に残る曲が流れていた。
大きな音で。舌ったらずなつたない歌声と、轟音ギター。
「あ、たぶん、これがチャットモンチーではないか?」と思う。
その通りだった。
それが「恋愛スピリッツ」だった。


何が目新しいわけではない。
とてつもない演奏力があるわけでもない。
オーソドックスな3ピース・ロック。
なのに、なんというか、
このバンドは「かけがえのないもの」を
生まれながらにして宿してるわけですよ。
こういうのを人は、「奇跡」と呼ぶのだと思う。