ブリジット・バルドー/ピーター・フォンダ

会社の机の目の前の背の低い壁というか仕切り板に僕は
ブリジット・バルドーの写真と、
イージー・ライダー」のピーター・フォンダの写真を貼っている。
どちらも取り立ててファンというわけではないが、
中野ブロードウェーで見つけてかっこよかったので欲しくなったものだ。


同じスペースには、あと2枚、
The Velvet UndergroundTalking Heads の絵葉書も貼っている。
メンバーがギターを抱えて、
前者はスタジオのような場所でウォーミングアップをしている、
後者はライブハウスで演奏を行なっているときのものだ。
もちろんこれは大好きなバンドだから貼った。


4枚とも、モノクロだ。


ブリジット・バルドーはいつの頃のだろうか?
50年代の半ばぐらい?
フランスなのか、イギリスなのか、アメリカなのか。
ホテルの中のホールを急遽記者会見場としたのかカメラを抱えた記者たちが集まっている。
(ただし、誰もメモらしきものを取っていないので彼らは純粋にカメラマンなのかもしれない)
どれもこれもカメラはレトロな形のごてごてしたやつで、
傘の丸い電気スタンドのようなフラッシュがコードでつながっていて手持ち。
晩餐会用の大きなテーブルの上に真っ白い分厚いクロスを敷いて、
その上に花柄のワンピースを着たベベ(ブリジット・バルドー)が膝を抱えて座っている。
テーブルの向こうのカメラマンたちの群がっているその反対側に
誰か他のカメラマンがいたのか、
ベベに声をかけて振り向いたところを写真に撮った、という構図。
右手の届くところにまだ口をつけていないカクテルグラス。
左手の方に灰皿。これはカメラマンたちのためのものか。
背中まで届く、野性的なブルネット。開きかけた唇。
はっきりと開いた目で、こちらを見ている。
テーブルの上に投げ出されたカメラ。
壁際に立つ虚ろな男たち。


ピーター・フォンダはどの場面だったろうか?
イージー・ライダー」は学生の頃、もう10年以上前に見たきりだ。
アメリカ国旗を背中に縫い付けた皮のジャンパーを着て、
山の頂あるいは中腹のような場所にて、何かの上に座っている。
(その「何か」はこの写真ではフレームアウト)
はるか地平線の彼方まで山々が連なっている。
ところどころ白くなっているので雪が残っているのだろうか。
ニューオリンズであるとか南部が舞台だったように思うが・・・
それとも山の地肌が見えているのだろうか。たぶんそうなのだろう。
なんとなく、ただこの確認のためだけに「イージー・ライダー」を見返してみたくなる。
背中を丸めて、サングラスをした横顔。
何を見つめているのだろうか?
物語上、彼はその後待ち受けていることを知らない。
その結末を。悲しくてやるせない出来事を。
横顔は無防備で、無邪気なようにすら見える。
僕はあの映画のサイケデリックな色彩を思いだす。
ジャック・ニコルソンデニス・ホッパー。1969年。
ここから先何年か、アメリカ映画は最良の時代を迎える。


ブリジット・バルドーピーター・フォンダ
この2人が偶然隣り合ってるのを眺めながら、僕は普段仕事をしている。
だからそれがなんだ?と言われたらなんとも答えようがないけど、
ただそれだけの話。