夕暮の町

夕暮の町を歩いた。
白く色褪せた水色の空には灰色がかった雲が浮かんでいて、
オレンジ色の光を反射していた。


下校途中の中学生たちがはしゃぎながら歩いていた。
その後ろを同じ学校の女子がはにかみながらついていく。
自転車に乗った親子がゆっくりと通り過ぎる。
いつも客のいない床屋のオヤジが暇そうに行き交う人を眺めている。


朝、遅い出社のときに工事現場でいつも見かける女性がいて、
彼女は制服を着てヘルメットをかぶって、赤の誘導灯を手にして立っている。
年は僕ぐらいだろうか。真っ黒に日焼けしている。
恐らくサーフィンであるとか季節モノのスポーツをしていて、
半年かけて金を稼いだら海か山か海外に出かけて
残りの半年を過ごすという生活を送っているのではないか?
今日歩いていたらその工事現場の作業員休憩所のような小部屋から
着替えて出てくるところに出くわした。


年老いた夫婦が駅へと向かう。買い物帰りのまだ若い夫婦。
腕をつかんで歩くカップル。犬の散歩に付き合っている休日の会社員。


僕のように1人で歩いている人もいた。


バイクが、車が、スクーターが通り過ぎる。
運送会社のトラック。配送中の酒屋。
初老の男性が乗ったオープンカーからは
「California Dreamin'」が聞こえてきた。


土曜の午後、夕暮。
今日もこの世界は何事もなかったかのように穏やかに過ぎ去っていく。
始まって、終わりを迎える。
そしてまた明日が訪れる。


明日もまた秋の夕焼けの空なのだろうか?
そう思いながら歩く。