「Eames Films」

昨日、「Eames Films」というDVDを見た。
アメリカの40年代〜60年代にかけて
斬新なデザインの椅子で有名になったチャールズ&レイ・イームズ夫妻は
その生涯の間に100本を超える短編映画を撮っていて、その代表作を収めたもの。


椅子については、以下参照。
今から50年以上も前のものとは思えんね。すごい。
というか2人のデザインの影響下に今でもあるのではないか?
http://www.vivantjoie.co.jp/eames/
http://www.geocities.jp/koca_cola06/eames.htm


「Eames Films」の内容については、amazon の作品紹介を参照。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00005MIG1


僕はどこからこの作品のことを知ったかというと、
R25 を見ていたら Cornelius のインタビューが載っていて
(最近何の雑誌を見ても Cornelius ばかりだ・・・)
その中で好きな作品として挙げていたのが、「パワーズ・オブ・テン」
日本盤も出ていて入手容易だということがわかったので買ってみた。


収録作品は6つ。どれも10分前後。
1.「パワーズ・オブ・テン」(1977)
2.「パワーズ・オブ・テン:ラフ・スケッチ」(1968)
3.「ブラックトップ」(1952)
4.「カレイドスコープ・ジャズ・チェア」(1960)
5.「ハウス:ケース・スタディ・ハウス#8 5年後の記憶」(1955)
6.「おもちゃの汽車のトッカータ」(1957)


特典映像で、2人の孫に当たる映像作家が、イームズ夫妻の亡き後、
閉鎖することになったデザイン工房の最後の日々を追ったものが追加となっている。


圧巻なのは「パワーズ・オブ・テン」
シカゴの公園。芝生に寝転んで休日を楽しんでいる若い夫婦。
この空間をゼロと捉えて、以後10秒ごとに10のべき乗ずつ遠ざかっていく。その映像。
太陽系はおろか銀河系を超え出て行く。
10の14乗だったかな。
行き着くところまで行ってしまうと何もない空間に銀河がポツポツと浮かんでいるだけ。
そこから先は逆回転して行って、夫婦の映像まで戻ってくると今度は逆に視点をミクロに。
10のマイナス14乗まで。
毛細血管が映って、白血球が映って、原子核が・・・となる。


学術映画の頂点だろうね。
68年に1度作って(2.の方)、77年にIBMの要請によりリメイク(1.の方)。
映像の雰囲気は、Eames Office のサイトを参照。
http://www.powersof10.com/index.php?mod=explore
僕はうまく行かなかったけど、フラッシュで見れるページもあった。


映像じゃなく、擬似的に再現するサイトもあった。
http://micro.magnet.fsu.edu/primer/java/scienceopticsu/powersof10/


10分間でこの宇宙のミクロからマクロまで
全てを単純なルールで語り尽くしてしまうってのがすごい。
永遠の古典だろうな。


NHKの教育番組って昔はこういうのを流していたように思う。
今はどうなのかな。
映像と音楽とナレーションで、この世界を描写するようなの。
そういうのを思い出した。
というか、そういうのの原型になってるんだろうな。

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3.4.5.と秀逸な映像作品が続く。
この美しさは見た人にしかわからない。
少なくとも僕には言葉で言い表せない。
こういう映像を50年代に撮っていたなんて・・・


僕が個人的に最も感銘を受けたのは、
6.の「おもちゃの汽車のトッカータ
夫妻のコレクションしていたおもちゃの汽車と
あちこちのコレクターから借りてきたのを集めて撮影した、
おもちゃの人々が行き交うおもちゃの町を背景に
おもちゃの汽車が一堂に会する一大絵巻。
ブリキや木の、様々な形の汽車が画面いっぱいに駆け抜ける。
おもちゃの町のカラフルさ、走る汽車の躍動感。
パワーズ・オブ・テン」と並んで、
短編映画の最高傑作の1つと言ってもいいと思う。

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僕に子供がいるならば、こういうのを見せて育てたいね。
パワーズ・オブ・テン」を見て科学に興味を持つでもいいし、
アートに興味を持つでもいい。

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斬新なデザインのインテリアってものになんとなく興味があったんだけど、
これまでどこを取っ掛かりにしていいか分からなかったので手を出さず。
チャールズ&レイ・イームズから入っていこうかと思った。