The Beatles 「Love」

ビートルズの「ニューアルバム」である「Love」が発売された。
一応、買った。
前にも何度か書いたけど、
10代の前半の一時期身も心も ビートルズに捧げていた僕からしてみれば
こういうの買うのって税金を払うようなもんである。


聞いてみた。というか今聞いてる。
今、「Good Night」と「Octopus Garden」を掛け合わせた、
リンゴ・メドレーに差し掛かったところ。


ま、はっきり言っちゃうけど、面白くもなんともない。
興味深かったのは、
ジョン・レノンのデモやブートレッグで出回った様々なテイク違いを繋げた
「Strawberry Fields Forever」と
解説でも何度か言及される、「Tomorrow Never Knows」のベースとドラムを
「Within You Without You」にかぶせたヤツ。これぐらいかねえ。


単純な話。
「オリジナルにはかなわない」
ただ、それだけ。
これはただの「お遊び」に過ぎないと思うし、
まあ、ストーンズなら絶対こういうことやらないだろう。


新種のベストアルバムの一種、ぐらいの位置づけでいいんじゃないの?
だいそれたもんじゃない。
話題を提供して、新たな客層をオリジナルの楽曲に
呼び込むことができたらそれでOKなんじゃないかな。


どこかで言われてるような「マッシュアップ」ってほどのことは行われてないし。
解体再構築によるちょっとしたリフレッシュ程度。
同じアーティストの曲同士で組み合わせているのだから、親和性が高いに決まってる。
こういうの、気の利いたDJならこっそり10年前に作ってんじゃないか?
自分用の遊びに作ってみた人は世界中にいるのでは?

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「At The BBC」に始まり、「Anthology」のシリーズ、「Let It Ne ... Naked」
といった発掘音源の数々が90年代以後、ちょろちょろと出てきた。
そのたびごとに買って、1回しか聞いていない。
「Love」もたぶん、これから先2度と聞かない。


オリジナルを聞いてる方がいい。
そうは言っても僕、最近全然聞いてないんだけどね。


小さな頃に初めてビートルズを聞いたときの感動、
その後何度も何度も聞くことで心の中に焼きついたメロディの数々、
その思い出には到底かなわなくて、
その思い出だけあればもういいやって感覚。
ときどき町を歩いて聞こえてくるのに耳を澄ますだけで、いろんなことが甦ってくる。
それで、十分。
倒錯してるかな・・・


オリジナルのアルバムがリマスターされて日本盤が再発されるまで、
たぶん自分から聞くことはないだろう。
果たしてその日は来るのか?
(紙ジャケだったらやだな)

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それにしても、聞いてて思うのは、この当たり障りのなさ。
ジョージ&ジャイルズのマーティン親子の仕事が手堅いからか。
シルク・ドゥ・ソレイユのショーで使われるってことによるものなのか。


シルク・ドゥ・ソレイユって言うと去年「アレグリア2」を見た。
この「Love」ってやつも日本に来るのかな。
自分からチケットかって見ることはないだろうな。


シルク・ドゥ・ソレイユは1コしか見てないけど
僕の中では劇団四季みたいなものであって
完成度が高くて見てる間はなかなか楽しめるんだけど、
僕の人生を変えるような「強烈な何か」ってものは皆無。
万人受け、しかも全世界規模で、となると仕方ないか。
ちょっと考えれば分かるけど、
それができるってのはものすごい努力を要することだし。


そう、今回の「Love」は
「目新しいことをしました、しかも全世界の人にとって口当たりよく」
って佇まいなので、刺激に乏しい。少なくとも僕には。
ビートルズの音楽に新しい視点を、新しい光を、というものでは全然ない。
とにかく、物足りない。

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「While My Guitar Gently Weeps」の最初のジョージの弾き語りはいいね。


だけど、僕が最も好きな曲「A Day in the Life」に至っては落胆。
どこをいじったのかわかんないし、もしかしたらどこも変わってないのかもしれないけど、
大好きな曲がいじられたみたいで・・・