小さな幸福

金曜にボーナスが出て、今日は休み。
ともなると向かうは中野ブロードウェー3階の中古CD屋レコミンツ
行くとあれこれ欲しくなる、欲しくなりすぎてお金がかかって仕方がないと
去年から行くのはボーナスが出たあと、年に2回と決めている。
結局今日も10枚以上中古CDを買って1万を越えていた。
これでも何枚かがんばってフルイにかけて落としたつもりなんだけど。
(目安として僕はいつも、片手でつかめる範囲までとしている)


レコミンツを出ると昼、2階に下りて市井の天ぷら屋「住友」へ。
かき揚げ定食の上を頼む。
年老いた職人肌の親父が、息子なのだろうか、あれこれ指図している。
1つ1つ丁寧に揚げていくので時間がかかる。
それまでの間、エビスビールを飲みながら(やっぱちゃんとした店は置いてるんですね)
買ったばかりのCDの解説を読む。
カウンターに座って、天ぷらを揚げるジュワーッという音が目の前で聞こえる。
幸福なひと時。
もしかしたら今の僕にとって最も幸福なシチュエーションって
具体的にこういうことなのかもしれないと思った。


32歳を目前として、独身の会社員。
青森から状況、趣味は音楽コレクションの拡充とうまいものを食べること。
行き着いた幸福な地点はここか、ここだったのか。
世の中にはもっと大きくてもっと華やかでもっと高尚な幸福も多々あるとは思うが、
今の僕はどうもここに落ち着きそうだ。
それがいいことなのかなんなのかは、よくわからない。
アツアツのかき揚げを頬張りながら「これでいいのかもな」と思う。
こういうのがあと何年か続いて、
30代後半になったらそのときの小さな幸福のために生きていく。
余計なことには手を出さない方がいいのかもしれない。
大きな不幸ならば、この世にいくらでもある。


天ぷら屋を出て、地下で福引きを引く。
ガラガラを4回回して、下から2番目の賞が当たる。
テレビ東京賞ってことで正月番組の「忠臣蔵」がパッケージに印刷された日本酒。
桜吹雪の中を稲森いずみ高橋英樹が写っている。
開けてみたら「嘉泉」だった。
今夜はこれを飲もうかと思う。