青森のしょうが味噌おでん

今日の朝起きてテレビをつけてNHKのニュースを見ていたら
青森市古川の市場がリポートとして取り上げられていた。
おそらく、新人ないしは若手が研修の一環として製作したものと思われる。
(NHKに就職した大学の先輩からそういう話を聞いたことがある)
自分の所属する放送局の周辺で話題を探して、
カメラマンや音声の担当とディレクターの担当に分かれて取材に出かける。
インタビューを行なって、ナレーションを入れて、1分程度の短いリポートにまとめる。
出来上がった作品は朝の5時台という見てる人の少ない時間帯にそっと慎ましく放送される。
たぶん全国の放送局で作っているだろうからたくさんの作品があって、
採用されて放映されるのもほんの一握りなのではないか?
そしてそのうちの1つをたまたま今日の朝僕が見て、
それがたまたま生まれ育った青森の馴染み深い古川の市場だったわけだ。


3畳ぐらいの小さなおでん屋を1人で30年以上
切り盛りしている72歳のおばあさんが取り上げられていた。
店に入ったことは恐らくないが、
前を通り掛かったことならば数え切れないぐらいあるだろう。


青森の味噌おでんは白味噌にすりおろしたしょうがを入れる。
甘めの味噌にしょうがのピリッとしたほのかな辛さが加わって、独特の味わいとなる。
僕はこれが普通だと思って育ってきた。
味噌おでんとはそういうものだと。
どうも違うってことを知ったのは上京してからで、
全国的には味噌田楽みたいなのを指すようですね。
少なくともしょうがは入れない。一種のカルチャーショック。
(青森は赤飯も「甘い」のが当然だったし。これも驚いた)


しかもこのしょうがのおでんって
「東北地方にだけ広まっている」というレベルの話ではなく
調べてみるとどうも青森市周辺部だけらしい。
リポートではこんなことを語っていた。
ルーツを探ってみると、青函連絡船が就航して賑わっていた戦後の闇市の時代に
寒い冬に船を待つ人の体を温めてあげようと
屋台でおでんを売っていたおかみさんが
すりおろしたしょうがを入れてみたのが始まりであると。


それが瞬く間に広まって、家庭の味となったのだろう。
表立って「青森の味」としてレシピが広まるというのではなく、ただ普通に、口伝えに。


僕の皮膚感覚ではこの「青森のしょうが味噌おでん」は
このところ急速にクローズアップされているように思う。
ご当地グルメのちょっとしたブームだからか。
帯広の豚丼であるとかね。もしかしたら佐世保バーガーもその一種?
おでんで言えば姫路のおでんってのが盛んにアピールしているし、
青森で言えば他には八戸のせんべい汁か。(僕ならじゃっぱ汁の方がいいけどね)
宇都宮の餃子に名古屋メシという全国的に知名度の高いものもあって
それだけで観光客を呼べるようになる、ってことをあちこちの自治体が目指してるんだろうな。


今あれこれネット上を漁ってみると、
八戸せんべい汁研究所」http://www.senbei-jiru.com/
ってとこが主催のB級ご当地グルメの祭典「B−1グランプリ」ってのがあったようだ。
(1位は富士宮のやきそば)


あと、「おでんの街・あおもり構想推進委員会」ってのが発足してた。
http://www.acci.or.jp/oden/index.htm
僕が次に青森に帰ったらそこらじゅうがおでん屋になってたりしないか・・・
青森市のローソンでおでんを買うと、「しょうが味噌にしますか?」と聞かれるみたいだけど。


池袋のナムコナンジャタウンでは
来月まで「おでん博覧会」ってのが行なわれていて、
「青森風おでん」ってのも出品されている。
http://www.teamnamja.com/tp/namjatown/guide/makaroni/d-republic/event/oden_2.html
今年の正月も帰れないので、せめてここにおでんを食べに行こうかな、と思う。