モンティ・パイソン

伝説の「Jackass」その映画版の続編が公開されることになった。
http://paramount_mtv.weblogs.jp/


僕は「Jackass」の存在を知って以来、心の中で密かに信奉してきた。
つらいときに「Jackass」の DVD を見ると救われた気持ちになる。
・・・余りにもあほらしすぎて。
大の大人が無邪気に「これ、くだらねえんじぇねえの?」「じゃ、やるか」ってんで
その場の思いつきを手間暇かけて、体を張って実行する。
で、まずは自分たちで笑ってる。心の底から。「やっぱくだらねえ」って言いながら。
(日本でも同じような趣旨の番組はいくらでもあるけど、
 僕の場合アメリカ人がやってるってことになぜかピピッと反応するようだ)


僕はもう、この世界のある瞬間、「Jackass」というものが
ある種の勢いと、ハッピーなマインドに則り形作られたというだけで
この世界はまんざら捨てたもんではないなと思う。


早く映画見に行かなきゃ。


で、思い出したのが「モンティ・パイソン
手っ取り早く言うとイギリスのコメディアンのグループで
69年にBBCで始まったコメディ番組「空飛ぶモンティ・パイソン」で絶大な人気を誇り、
その影響は今に至るまで続いている。
たぶん、先進国の間では。


(今 Wikipedia で知ったんだけど、
 プログラミング言語Python」ってモンティ・パイソンから来てるみたいね)


メンバーの1人が後に「未来世紀ブラジル」を監督するテリー・ギリアムで、
「The Rutles」の創始者の1人エリック・アイドルも中心人物だった。
そんなこともあって前々からちょっと気にはなっていたんだけど、
「ま、そのうち」と思いながら早何年。
ふと、amazon で検索してみたら DVD が今でも入手可能なことが分かったので取り寄せてみた。
「ベスト・オブ・モンティ・パイソン」と
映画「モンティ・パイソン・アンド・ザ・ホーリー・グレイドル」


さっそく見てみた。先に「ベスト」の方。「空飛ぶモンティ・パイソン」からのセレクション。
70年前後のものなのでさすがに腹抱えて大爆笑ってことはない。
ところどころクスクス笑うぐらいか。
でも、「当時はこれ、とんでもないシロモノだったんだろうな」ということが十二分に伺える。
ビートルズの初期の曲を聴いて、「録音技術が低いですね」なんて言うのと一緒。
コトの本質はそこにあるのではない。
最初にこういうのやりだしたのは誰か?って歴史的意義。


徹底したナンセンス、破壊的なまでのパロディ、情緒というものを一切無視した諧謔精神。
今となっては「笑い」を取るうえでは当たり前のことだけど、
その基礎を築いてやりたい放題やりまくったのがモンティ・パイソン
Jackass」はその進化系の1つとして現時点での究極だろうし、
(僕はテレビを見ないので日本やアメリカの深夜番組で
 もっとすごい実験は日々行われているのかもしれない)
志村けん松本人志も直接の影響化にあるのかどうかわからんけど、
モンティ・パイソンが切り開いた方向性の先に位置づけられると思う。


僕は国内・海外問わずお笑いの歴史に詳しくは無く、
モンティ・パイソン以前のお笑いのイメージというのは
陽気な音楽に合わせて駄洒落を言ったり変な振付でタップダンスをしたり、
あるいは「奥様は魔女」みたいなきっちりしたストーリー展開で
勘違いが巻き起こす愉快な大騒動を描くというもの。
どこまで行っても明るくて、この世界は眩しいくらいに陽気だと言わんばかりの。
そこに対して異議申し立てをしたのがモンティ・パイソンなのではないか。
この世界は表だけじゃなくて、裏もあるよね。
負の部分があるからこそ、笑えるんだよね。
テレビの中ではきれいごとばかりだけど、
僕ら普段日常生活ではもっと腹黒いことで笑ってるよね。
モンティ・パイソンは初めて、それを公共の放送でやってのけた。ということ。


腹がよじれるぐらいに笑いたいとなったら
現代の他の何かを見ればいいんだけど、
モンティ・パイソンはなんつうか雰囲気がいいんだよね。
「俺たちはこれが面白いと思ってるからやってる」という自信と
「全く新しい面白いものを作ってやるんだ!」という勢いが漲っている。
日本のお笑い番組で時々うっすらと漂ってる「やらされ感」がない。


残念なのはモンティ・パイソンの映画の中で最も評価の高い
「ライフ・オブ・ブライアン」の DVD が現在入手不可なのだということ。
キリストの生涯を徹底的にナンセンスなパロディに仕上げたもの。
見てみたいなあ。