焚き火

会社の映画部で今月後半の土日、焚き火をやろうという企画がある。
たぶん場所は、これまで僕が映画の撮影で使ってきた千葉県の上総湊の海水浴場となる。
2年前に「世界の終わりに」という作品を作ったときに
この浜辺で撮影をして、その後焚き火をした。
それが好評だったので「またやりたいね」という話になっていた。


それ以前の作品「砂の映画」「on fire」でも撮影の後は焚き火をやっている。
海辺の撮影の後、焚き火は欠かせない。
砂浜に打ち上げられた木切れを探して火を起こして、
肉や野菜を焼いてビールを飲むために、その行為を楽しむために、
わざわざ海まで行って撮影をしているようにすら思う。


焚き火というものには心そそられる何かがあって、ワクワクさせられる。
しかもそれが日々日常的に行なっているのではなくて年に1度ともなるとなおさらだ。
火を起こすという行為そのものがワクワクするものであって、
うまくいくと「おっ!ついた!!」と素直に嬉しくなる。
こういうのって人としての本能なのかもしれない。原始人と一緒。
そしてその火が少しずつ少しずつ大きくなっていって
ゆらゆらと炎が揺らめいて、
目の前の風景もまた熱でゆらゆらとなっているのをぼんやりと眺める。
楽しいとかそういうの通り越して、時間を忘れてしまう。
串に刺したウインナーにほんのりと焦げ目がついて、
アルミホイルの中の芋が焼きあがって、
ホタテに醤油をかけるとジュワーッという音を立てる。
後はビールで乾杯。


こんな楽しくて手軽なイベントなのに、
残念ながらいつでもどこでもできるってものではない。
今恐らくどこの公園も焚き火禁止だろう。
川原ですらだめかもしれない。
バーベキューをやるにしても場所が限られているくらいだ。
所定の用紙に必要事項を記入して管理事務所に提出する。
様々な注意事項を守って時間内に終わらせること。直火は禁止。


僕らはいつもゲリラ的に焚き火を行なってきた。
よくもまあこれまで咎められなかったものだ。
僕はいつもその場の責任者的立場にあるから、
心の底ではどこかヒヤヒヤしている。
だからこそ楽しいってこともあるんだけどね。


ほんとならシーズンともなれば毎月1回ぐらいやりたいところ。
杉並区焚き火同好会なんてものがあったら加わりたいね。
でも、そんなのあるわけないよなー。
それにそういうのがあったところで
ものすごくものものしいものになるんだろうな。
何事も焚き火指導員みたいな人の指示の元に行なわれ、
「そこの君!炎からは1m以上離れてください!!」といちいち注意されるような。
で、最初と最後に消火訓練。
「こういうのを燃やすとダイオキシンが発生する」と講釈があったり。
(杉並区は諸々の事情により、ダイオキシンに神経を尖らせている)
・・・違う。これって断じて、焚き火ではない。


焚き火ってやっぱその場の思いつきで軽いノリで始めないと。
例え前々から計画していたとしても。


なんか今書いてたら無性に焚き火がやりたくてウズウズしてきた。
早く来ないかなー。